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3. 政策レビュー

環境省と経済産業省、大綱の見直しに関するパブリックコメントを募集中
(大林ミカ、ISEP副所長)

環境省は中央環境審議会の中間取りまとめへの意見募集という形で9月10日ま
で、経済産業省は産業構造審議会地球環境小委員会の中間取りまとめへの意見募
集という形で9月15日まで、地球温暖化防止大綱の見直しに向けたパブリックコ
メントを募集している。

今回の大綱の見直しは、2010年の京都議定書の削減目標達成を目指して、2005年
度からの地球温暖化対策の第二ステップを定めるための重要な基礎となり、特
に、環境税や国内排出量取引の導入など、根本的かつ主要な温暖化防止政策の導
入如何に関わるものである。

日本の公約は、2008年から2012年の間に、90年レベルで6%の温室効果ガスを削
減するものだが、日本の温室効果ガスの総排出量は2002年では、90年レベルを
7.6%上回っており、達成はほぼ無理である。しかし、産構審のとりまとめは、
このような状況をもたらした現行の施策の踏襲から踏み出しておらず、これで
は、どう考えても目標達成はできそうにない。

エネルギー需要の削減については、エネルギー利用効率化(原単位の改善)が旨
とされているが、総量としての削減がなくては需要は削減できない。今後の方向
性においては「国民の生活水準を落とす対策や産業の海外移転を促すような対策
は選択されるべきではない」とし、生活水準とは何か産業の転換とは何かなどの
論拠も挙げずに根本的構造改革を促す新たな施策の導入を予め阻んでいる。その
上で、このような施策では目標達成は不確かなので京都メカニズムの運用を行う
という。また、追加的施策としてあげられている、これまでの対策の「徹底」、
「情報提供」、「努力の促進」などでは、まったく実効性は望めないし、産業部
門に至っては現状と同じ対策を挙げているのみである。唯一有効な新しい施策と
して期待される環境税や排出量取引などの経済的手法に関しては、「慎重に検討
する」という極めて消極的な記述に留まっている。これでは、基準年の40年後
(!)の2030年に需要が減るという「長期エネルギー需給見通し」の見通しす
ら、実現する可能性が危ぶまれる(「見通し」への代替案は、市民エネルギー調
査会のシナリオをご参照ください)。

一方の環境省による中間とりまとめでは、京都議定書の意義と6%削減の再確認
を行っており、また、エネルギーの分析に関して、担当官庁である経済産業省よ
りもよほど現実的かつ細やかな記述が随所にみられる。事業者による排出量の算
定・報告・公表制度などの提案も重要である。経団連の自主行動計画を単なるボ
ランタリーな行動のみに任せず、評価に関わる透明性の確保を求めていること、
政府との間で協定を結ぶことが検討されるべしとされていることなど、一歩前進
といえる。また、国内排出量取引制度の導入や環境税(温暖化対策税制)につい
て、積極的な提案をするなど、新しい対策への取り組みも評価できる。ただし、
これらの提案が、産業界や経済産業省に受け入れられるとは考えられないし、
「成立」する過程での形骸化も懸念されるため、制度的枠組みを十分に検討し、
真に削減効果の上がる対策の実現が早期に望まれる。そして、市民側では、大綱
へのパブリックコメントへの取り組みを強化したい。コメントに関しては、気候
ネットワークが、意見提出への一助を提供しているので参照されたい


ところで、同時に、12月にブエノスアイレスで開催されるCOP10での交渉を睨ん
で、地球温暖化防止を阻害する動きも始まっている。その一つが、経済産業省の
産業構造審議会の将来枠組み検討専門委員会での議論である。京都議定書の第一
約束機関が終わる2013年以降は、温室効果ガスの数値を伴った削減義務を「各国
内の削減努力の動機付けとして導入される、補完的な約束」という努力義務へと
貶めていく、というものである。拘束力が強いから離脱したアメリカや、途上国
である中国やインドの参加がしやすいようにという理屈を述べているが、一度は
約束した国際的公約を腕力で押し切ろうとする者の理屈を認め、その機に乗じて
自らの削減目標を逃れたい(達成できないし、したくない)意図が見え見えであ
る。第一約束機関でも達成不可能な策を並べ立て、その次も達成しないつもりな
のだ。また、これらの放言を、あたかも削減の実効性を担保できる施策であるか
のように評価し、すでに政府方針として決まった事であるかのように報道する一
部マスコミの姿勢も厳しく批判されるべきだろう。


中央環境審議会・中間とりまとめ:


産業構造審議会地球環境小委員会・中間取りまとめ:  


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