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3. 政策レビュー 再処理政策の検討が大詰めに
 (大林ミカ、ISEP副所長)

今までのSEENでも度々取り上げてきたが、核燃料サイクル政策を巡る議論が、大
詰めに入っている。原子力委員会の原子力長計検討委員会は、直接処分のコスト
検討を行うことを決め小委員会を立ち上げた。一方で、経産省では、半量再処理
を前提としたバックエンドコスト負担のための制度設計のパブリックコメントが
始まっている(8月13日締め切り)。直接処分に関しては、詳細な議論のための
経産省内部の審議会立ち上げは行わず、9月にも出される予定の原子力委員会の
議論の結果を待つという。つまり、6月から立ち上がった長計検討委員会での議
論が、再処理工場の稼働という、今後数十年ならぬ、プルトニウム管理を考えれ
ば、数百年、数千年、数万年の長きにわたって社会に影響を及ぼす政策の方向性
を定めることになったのである。

しかし、これは全て表向きの経緯に過ぎない。もともと、長計策定委員会の立ち
上がりを検討していた今年の春の段階から、直接処分のコスト検討を行う準備が
始まっており(核燃料サイクル機構が試算し小委員会へ提出予定)、長計が終わ
るのは来年秋であることから、ウラン試験などの再処理工場の稼働スケジュール
に影響を与えないように、今年の秋に「中間報告」という形で一定の方向性を打
ち出すことが決まっていた。このような一連の作業が、直接処分コスト試算隠し
が明らかになったことで、焦点が当てられているに過ぎない。

問題なのは、今回打ち出される方針に、どの程度、この重要な政策変更の機会が
活かされるかである。もともと原子力委員会が目論んでいた全量再処理はしない
が半量再処理は行う(六ヶ所再処理工場の稼働はするが第二再処理工場について
は凍結し中間貯蔵を実施することで対応する)という方針は、単なる問題の先送
りに過ぎない。再処理を行うための論拠だったプルトニウムの有効利用が「もん
じゅ」の事故で破綻したままなのに加えて、もし全量再処理を行わないとすれ
ば、その論拠すらも捨てることになるのである。今の時点では、役所の面子と電
力が今までつぎ込んだ資金の問題以外では、何兆円も費やし、膨大な量の放射性
物質を生み出す再処理工場の運転を進める最大の理由は、使用済み燃料の行き先
の問題しかない。使用済み燃料は、原発が動いている以上、どうやっても生じる
問題であり、再処理工場の稼働ではなんの解決にもならない。この問題に関し
て、環境エネルギー政策研究所では、新聞や雑誌、講演会などを通じ、原発オン
サイト型中間貯蔵や六ヶ所プールの一次利用などの政策オプションの提示を行っ
てきた。原子力委員会でも複数の政策オプションの提示はなされるようだが、議
論の方向性は定まっている感もある。実際にも、電気事業分科会で再処理路線に
懸念を訴えた消費者代表の委員(長計策定委員会の一員でもある)に対して、
「消費者はバカだから」(内藤委員)とか「原子力委員会の議論で変わると思っ
ているのかもしれないが、変わるわけがない。顔ぶれを見たらわかる」(河野委
員)などと発言し、再処理路線堅持派は最初から議論すら放棄している。今、為
政者がすべきことは、原子力委員会の検討に下駄を預けるのではなくて、世論を
巻き込み、国会を巻き込み、あらゆる手法での国民的議論を始め、複数の政策オ
プションを提示していくことであろう。

選挙後の国会では、民主党や自民党の若手有志議員を中心に、公平な議論を行う
ためのバックエンドコスト検討の勉強会が始まろうとしている。また、ロッカー
から出てきた秘密文書に関する国会虚偽答弁に対しても、人事院告発が検討され
る事態となっており、ますます今後の成り行きが注目される。使い道のない核物
質プルトニウムと膨大なコストを生み出す再処理政策の選択は、行ってはならな
い、政治的に最も愚かな政策選択である。数十年後から現在を振り返ったとき
に、まさに賢い選択をしたといえるような政策議論を日本全体で行わなくてはな
らない。原子力委員会の議論は、夏中続けられる予定である。決して目を離すこ
となく、注意深く見守っていく必要がある。

*ISEPは、月刊「原子力eye」で、複数のNGOとリレーで行う連載を依頼されてい
ます。8月に出される9月号では、再処理政策について取り上げています。是非ご
高覧ください。

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