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2. 寄稿

向かい風の風力発電
鈴木亨(北海道グリーンファンド)

いま北海道では、風力発電がやや逆風に直面している。自治体の風力事業の失敗
や、野鳥の風車への衝突事故などがメディアを通して頻繁にクローズアップされ
ているためである。なかでも相次ぐ自治体の失敗事業の報道は、その苦しい財政
状況や市町村合併問題など揺れ動く自治体環境とあいまって、風力事業に懐疑的
な風潮を広げる結果をもたらしている。

事件として取り沙汰されているのは恵山町、江差町、小平町(事業者は民間)の
風力事業である。字数の制約上詳細な報告は避けるが、共通しているのは予想さ
れた発電量が得られず、開始2~3年で事業が破綻、もしくは継続が困難になっ
ているというものだ。そうした状況をもたらした原因は単純明快である。たしか
に納入業者、コンサル頼みで精査を怠ってきた自治体には、事業者としての責任
能力が問われるところだ。しかし、自治体に営業を仕掛けてきた工事請負業者の
責任も重大である。通常風況の観測結果を適切に精査すれば、少なくとも予想値
の3割、2割しか発生電力量が得られないなどという結果は考えられないのであ
る。

そもそもこうした問題が起こる背景には、現在の補助金制度が設置費用への補助
となっているために、工事の受注をめざす業者の「積極的な営業」が生まれ、結
果高い買い物になっているということがあるのではないだろうか。また、今回の
自治体での事態に限らず、最近大手資本による企業利益優先の候補地争奪型開発
が激しさを増し、地元への配慮や社会性の欠如したプロジェクトまで見受けられ
る。こうした状況が放置されれば、風力発電の普及そのものがいずれ行き詰るの
は目に見えている。景観問題や生態系への影響を始めとした地元住民との「価値
の対立」は、そうした文脈でとらえる必要がある。つまり、今後の風力発電の普
及にとって、これまでの量的拡大の追及だけではなく、事業形態を含めたプロ
ジェクトの「質」が鍵になっていくのではないだろうか。

その意味では、6月に開催された足利工業大学主催の風力セミナーで講演された
環境エネルギー政策研究所の笹川桃代氏によるデンマークの調査研究報告は、重
要な示唆に富んでいた。「導入地域との調和や住民参加など、社会と調和のとれ
た導入のプロセスである。デンマークで普及している風車事業は、地域住民は風
車立地にともなう景観破壊などの不利益だけでなく、出資者として事業収益の配
当を得ることができる。こうした公正な開発形態が風力発電事業に対する賛成者
を多数派とさせ、結果として風力発電の導入計画の円滑な遂行に結びつくことが
できていた」ということである。

日本の風力発電事業が社会的に調和のとれた、健全な市場として形成されていか
なければ今後の普及拡大はありえない。その意味で私たちが実践する「市民風
車」の価値は、より高まるものと考えている。いよいよ9月末には石狩市民風力
発電所の着工が始まる。現状に新たな一石を投じるプロジェクトとするために
も、多くの読者の参加を呼びかけたい。

風車は向かい風を受けてこそまわるのだ。追い風ではけっしてまわらないのであ
る。

*石狩市民風車の出資募集は、本年10月1日スタートを予定しています。乞うご
期待!

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