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3. ボン政治宣言:世界は自然エネルギーの一層の促進を約束した
 (大林ミカ、ISEP副所長)

SEEN号外でお知らせしたドイツ・ボンでの「自然エネルギー2004国際会議」の模
様とISEPの声明に続いて、今回は「ボン政治宣言」に関する簡単なレビューを行
う。「ボン政治宣言」の日本語訳は、ISEPウエブ(http://www.isep.or.jp)から
ダウンロードできる。

そもそも、政府間交渉での成果物としての文書、特に政治宣言などは、議論に次
ぐ議論の紛糾で、各国の妥協の産物となるのが相場である。会議の裏舞台ではさ
まざまな交渉が行われ、宣言のドラフトが幾つかかわされたのだが、今回も、ド
ラフトのバージョンが進むに連れて、持続可能なエネルギー社会の実現にとって
望ましい言葉が抜け落ちてしまっていくのを、歯がゆい思いで見守っていた。先
進国から途上国への支援について書かれた箇所が「すべての国の間で」となって
しまって先進国の責任の度合いが薄められたり、自然エネルギーが市場で公平に
競争できるように「平等な立場をつくる」という、その他のエネルギー源への補
助策などに言及した部分が単に「エネルギー市場における障害の除去」という一
般的表現に落とされたりした(EUは最後まで抵抗)などである。しかし、幾つか
の妥協はあったにせよ、今回の会議の政治宣言は、どうでもいいような内容に貶
められることなく、実質的な促進策を盛り込むことに成功している。また、この
会議は、自然エネルギーだけに関する世界初の大規模な閣僚級会議であり、全体
では非常にポジティブな空気が会議場全体にあった。宣言の細かい表現の評価は
あるが、自然エネルギーを促進しようという強いメッセージを、随所に感じるこ
とができる。

ヨハネスブルグでの合意が出発点となっているために、ボン政治宣言の文章は、
随所に工夫は見られるが、WSSDで採択された「実施文書」などの内容が基本と
なっている。具体的には、自然エネルギーの促進に関する記述で、具体的目標年
次ではなくかなり緩慢な表現となる「緊急性に鑑み」の部分、具体的な数値目標
を伴った自然エネルギーの促進と、非持続可能なエネルギーに対する投資の削減
を盛り込むことができなかったことなどがそれにあたる。しかし、今回、ヨハネ
スよりも「後退」したのではないかと思われるのは、WSSDでは日本政府の頑張り
(と取引)によってなんとか入った京都議定書に関する記述が見あたらないこと
である。前回は環境省の頑張りがあったが、今回は経産省対応だったためだとい
うのは、穿った見方だろうか。会議が自然エネルギーに特化しており、アメリカ
・ロシアの参加など、政治的状況も含めてなかなか入れようもなかったのだろう
が、地球温暖化問題との絡みが重視されるのであれば、やはり言及が欲しかっ
た。

一方で、ヨハネスブルグからの前進と思われる表現もある。例えば、ヨハネス実
施文書では、「水力を含む自然エネルギーとともに、化石燃料などをふくめ含め
た、先進的で、よりクリーンかつより効率的で、供給性があり、費用効果の高い
エネルギー技術を進め、途上国へ移転させ、エネルギー供給の多様化をはか
る。」となっており、結局は化石燃料も推進しましょうという文書になってし
まったのだが、ボンでは、自然エネルギーのみの推進をきちんと謳うものになっ
ている。また、成果物という点を見ても、ヨハネスの「政治宣言」が、ほとんど
中身のないお約束文書にすぎなかったのに比べて、ボン宣言は、各国の
commitment(公約。あるいは具体的な深い関わり)を強調し、フォローアッププ
ロセスに関しても、CSD(CSDで充分かどうかはまた別の話だが)と「グローバル
・ポリシー・ネットワーク」の2つを揃えている。議題がいくら他にもたくさん
あったとはいえ、ヨハネスの「政治宣言」より、何十ページもの「実施文書」よ
り、自然エネルギー促進に関しては、このわずかA4で2ページのボン宣言に書か
れている内容は重い。

「グローバル・ポリシー・ネットワーク」に関しては、ステークホルダーたちの
一部を集めてのフォローアップが、もう具体的に計画されているということだっ
た。NGOの連合体CURESでも、新しい地域コーディネーターが加わり、また、国際
電話会議の開催を7月中に行うなど、次のステップが始まっている。CURESでは
「国際行動プログラム」に盛り込まれた内容の評価とウォッチングも行う。

つまり、2006・2007年を待たずとも、フォローアップは始まっているのであり、
もう既に「ボン宣言」そのものが動き始めていると言って良い。ボン宣言からく
み取れる自然エネルギー促進の動きを、地域レベルや政策レベルでの議論を喚起
しながら、日本国内でも実現することが必要だろう。

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