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2. 寄稿

シンポジウム:自然エネルギーのための政策と税制(2004.6.1)について
松下和夫(京都大学大学院地球環境学堂)

さる6月1日、「自然エネルギー拡大のための政策と税制」というテーマで東京
・神楽坂でシンポジウムを開催しました。6月1日はドイツのボンで「自然エネル
ギー2004」が開幕した日です。

言うまでもなく風力・太陽光・バイオマスなどの自然エネルギーの拡大は、単に
代替エネルギーや地球温暖化対策としてだけでなく、持続可能な人類の未来を切
り開く意味できわめて重要です。ところが不思議なことに日本の主要マスコミは
全くと言っていいほど「自然エネルギー2004」については報道しません。ま
た日本政府の会議への取り組み姿勢はきわめて消極的です。それはどうしてなの
か。そんなことを考えながら、レスター・ブラウン氏来日の機会をとらえてワー
ルドウォッチ・ジャパンの織田さんと一緒にこのシンポジウムを企画しました。

幸い環境経済政策学会からも後援が得られ、会長の佐和隆光京大経済研究所所長
に出席していただきました。NGOからは気候ネットワークの平田仁子さん、そし
て産業界から太平洋セメント専務取締役や屋久島電工社長を務められ資源問題や
水素エネルギーの実務に詳しい谷口正次さんがパネリストとして加わってくれま
した(なお、シンポジウムの詳細な議事録は今後ISEPのHPにも掲載してもらう予
定です)。

シンポジウムの準備と周知期間が非常に短かったにもかかわらず、当日の会場は
満席で用意した資料がすべてなくなるという盛況ぶりでした。

レスター・ブラウン氏の話は食糧・水不足、それに気候変動をつなげ、自然エネ
ルギーがもつ可能性に触れ、最後に「市場に生態学的真実を伝えるために外部経
済の内部化が必要」というものでした。アメリカの大統領選挙の話題も出まし
た。平田さんは政府の地球温暖化対策大綱の問題点(環境税導入の遅れ、エネル
ギー転換策の不在、密室的政策形成など)を指摘しました。谷口さんは世界の各
地で進行する環境破壊の実態に関する知識の共有が必要であると強調し、さらに
資源採取税を提案。佐和さんは環境税など経済的手段を強調。北欧などと比べ日
本で温暖化対策が進まないのは、実は日本人が豊かでもなく教育水準も高くない
からであると指摘しました。

原発も議論になりました。 佐和さんは「原発を作る必要なし」と明言し、「東
電などは普通の会社になると原発はできない、大政奉還すべき」との発言。レス
ター・ブラウン氏も、「サッチャー時代にイギリスで民営化を進めたが、原発を
買う会社はなく、ただでも引き取り手はなかった」とのエピソードを紹介。これ
に関連して佐和さんが、「エンロンが四国電力買収すべく周到な準備をして、買
収直前までいったが、四国電力が原発を持っていることを知って、直前で取りや
めた経緯がある」との事例を紹介しました。

会場からは、大阪市民ネットワーク代表の藤永さんが、経済的な採算性が厳しい
状況でも市民共同発電所はどんどん増えていると報告し、参加者を勇気づけまし
た。

今回のシンポジウムはレスターの講演に加え、パネリストの人選と発言内容も充
実していて、手前味噌ながら、日本における数少ないボン会議と連携した活動と
してささやかな役割を果たしたと思います。

おそらく自然エネルギー2004国際会議に関心を抱いている人は潜在的には大勢い
たはずです。しかし、実際に会議に参加することはなかなか困難です。また、日
本政府の熱意のなさを反映してしまったのか、日本のマスコミもほとんど取り上
げませんでした。ただ私自身会議中意識的に情報収集してあらためて痛感したの
は、現在はこのような国際会議の内容を、インターネットなどを通じて居ながら
にして詳細に知ることができることです。悲しいほど時代認識の欠落した「日本
政府とマスコミの壁」を、ITを活用することにより越えることができるのです。
自然エネルギー2004国際会議の公式サイト(http://www.renewables2004.de/)、
IISDが発行する地球環境交渉(ENB)の自然エネルギー2004国際会議版
(http://www.iisd.ca/sd/ren2004/)などをみると公式文書のみならず、日々の会
議の様子、会場の写真など臨場感にあふれる詳細な報告が見られました。

今回飯田さん、大林さんを中心としたISEPチームは、自然エネルギー2004に日本
の市民セクターを代表する形で参加し、きわめて重要な活動をされました。心か
ら敬意を表します。ISEP諸兄姉の戦略的かつ献身的な活躍がなかったら、自然エ
ネルギー2004における日本のプレゼンスが著しくいびつかつ異常なものになって
しまっていたでしょう。またISEPが現地から連日発行したメールマガジン(SEEN)
号外No.1からNo.6により、日々の会議の論点、日本とのかかわりなどを如実に
知ることができ、世界の大きな流れと日本とのギャップを考えさせられたので
す。

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