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2.求められるのは、成果ではなくて行動。自然エネルギー2004
 (大林ミカ、ISEP副所長)

事前の関連イベントも合わせると、約10日間にわたった「自然エネルギー2004」
が6月4日の現地時間午後1時半に終了した。今回は、本会議への代表団の一人と
して参加できたこともあり、COPなどへの参加とは違う形で、国際交渉と会議の
流れを追うことができた。

まだ総論としてまとめきれてはいないが、今回の会議への評価はさまざまある。

途上国のNGOや政府団を中心に、依然として先進国型自然エネルギーファイナン
スに対する厳しい批判は多い。地球温暖化問題への先進国の対応が進まない現状
やWTOでの議論も含めて、先進国が自らの自然エネルギー促進を具体的年限や数
値目標で約束しなかったこと、途上国への先進国の役割が明記されなかったこ
と、また、自然エネルギーを単にビジネスとして捉える見方が主流となることに
よって、今まで行われてきたように、結局は途上国が借金を払う形で先進国企業
の自然エネルギー導入を助ける形になること、などへの批判である。

しかし、同時に、会議の流れや結果を先進国のNGOとして追った目から見ると、
国連主導ではないイニシャティブで行われた今回の会議では、各国の調整は行わ
れるが、交渉も結果もすべての国にとって無難な国連文書的文脈に落ち着くので
はなく、自然エネルギーと省エネルギーを本気で推進しようとするドイツ政府の
イニシャティブが大きく働き、世界は、自然エネルギーを推進するために一歩を
踏み出したのだと評価したい(6.5.付ISEPプレスリリース参照)。それは、決し
て国連主導の取り組みが無駄であるという文脈からではなく、自然エネルギーな
どの個々の取り組みに関しては、それぞれの国の温度差は考慮するとしても、緊
急性を持って強力な具体的行動が必要であるという意味である。これらは、ドイ
ツのNGOの今回の会議への評価からも読みとることができる。

総じて、今回の会議に対するドイツのNGOの評価は肯定的で、その中には、遅々
として進まないCOPでの交渉への批判も大いに含まれている。つまり、COPの交渉
が10年をむかえる中で、7年前の先進国の約束である「京都議定書」は未だ発効
しておらず公約目標を全く達成できそうにない国もあるが、自然エネルギーの促
進に関しては、各国は明らかに実践を優先している。先進国の「問題政府」をさ
ておいて、中国やフィリピンから野心的な自然エネルギー導入の計画が発表され
たこと、ドイツ政府が自然エネルギーへの追加的な予算投入を発表したことなど
への評価であり、自然エネルギーはテロに対する大きな対抗力となるという位置
づけ(シュレーダー首相の会議での演説)も、COPの流れからは出てこないとし
ての評価である。「わずかだったかもしれないが、少なくとも完結した」。これ
らの言葉が、最初のCOPへのNGOの参加を強力に組織したクリマ・フォーラム(気
候フォーラム。COP3時の日本のNGOの連合体である気候フォーラムも彼らの取り
組みから多くを学んでいる)の中心人物だったサッシャ・ミューラー - クレ
ナー氏から語られたことの意味は大きい。

ベルリンのエコ・フェスティバル(今年は20万人が参加)へ参加し、トリティン
環境大臣と直接話しをした際には、会議を世界の肯定的な意志として評価し、わ
たしたちが充分ではないと批判をする日本政府の取り組みに関しても今後の積極
的意志の現れとして評価していた。主催者としては当然の発言という見方もある
だろうが、難しい交渉を切り抜け、当初は初日に限られていたNGOの発言の機会
を会議過程で増やし、常に市民の視点からのエネルギー政策を目指す彼からの言
葉は、単なるとりまとめ役政府担当者としての言葉ではない。

NGOとしては、途上国の懸念も真摯に受け止めなくてはならない。先進国の取り
組みへの批判だけではなく、わたしたち自身が具体的行動を起こすことも十分可
能である。地域発、市民発の自然エネルギーの実践が、自国政府のエネルギー政
策を変えるだけではなく、国を超えた新しい自然エネルギーの推進力を持つこと
を信じたい。国レベルの約束とともに、双方が合わさって初めて持続可能なエネ
ルギー社会の実現が可能となる。

また、今回の会議を機に、国単位ではない自然エネルギー産業界が集う新しい連
合体結成の動きが生まれている。この動きに関しての詳細は今後伝えて行きたい
と思うが、これらの新しい動きは、文書成果だけで語られがちな会議の評価が充
分ではなく、今回の会議は自然エネルギーの現実的な促進の一歩となったことを
示唆している。

ヨハネスから2年たって、やはりわたしたちは歩み続けているのだと、ここで改
めて確認したい。残された時間を考えると、歩みを加速するための大胆な政策が
必要であることはもちろんだが、その大きな一歩は、今踏み出さなくてはいつ踏
み出すことができるのだろうか。そしてそれは、2006年から2007年にかけての
CSDの議論で評価されることになる。7年前の約束である京都議定書の発効も含め
て、ここで行われた約束がきちんと果たされるために、求められているのは、政
府文書という「成果」ではなく具体的行動である。

*最後になったが、政府間交渉会議初参加ながら、このメールマガジンの発行を
支え、サイドイベントの準備をこなし、国会議員の方やその他の方のアテンドな
ども含めて、充分に活動してくれたISEPスタッフの小圷さんと笹川さんに感謝し
たい。また、同じような働きぶりで活動を支えてくれたドイツ在住の近江さんや
逢沢さん、Greenpeaceの仕事をこなしながらもISEPを助けてくれた中島さん、忙
しい中で文章を提供して頂いた大石さん、長谷川さん、村上さん、逢坂さん、す
べての方々に感謝したい。これらの方々の協力は、わたしにとっての今回の会議
の成果であった。

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