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1.自然エネルギー2004の意義再考 (飯田哲也、ISEP所長)

この原稿を書いている目の前で、第3日から始まった閣僚級会議がちょうど最終
セッションを終え、「政治宣言」が拍手を持って合意されたところである。トリ
ティン(ドイツ環境大臣)が閉会の挨拶を述べ、ウガンダ代表が全員の起立を促
すと、大きな拍手が鳴りやまなかった(最終文書は 
http://www.renewables2004.de/ に掲載されている)。

すべての国際会議と同じように、自然エネルギー2004でも、表のアジェンダとウ
ラのアジェンダがパラレルかつ相互作用しつつ走っている。そうした第3日の様
子を詳しく伝えている大林報告よりも半日先になるが、ここでは、終幕にあたっ
てこの会議の意味を再考したい。

まず、自然エネルギーをめぐるこうした「政治宣言」が合意されたことは、率直
に評価したいと思う。自然エネルギー2004は、ヨハネスブルグ・サミットの経緯
から、ドイツ政府が単独で主催した、いわば「半公式な国際会議」なのだが、
154カ国が参加し、多くの懸念材料があるとはいえ、「自然エネルギー」に関す
る政治合意が行われたことは、やはり画期的な出来事であるといえよう。

ヨハネスブルグ・サミット以来、自然エネルギーが国際政治の舞台に上がってき
ている状況は、ちょうど、1980年代末から気候変動が国際政治の表舞台に上がっ
た歴史に、部分的に重なるように思える。ただし、気候変動問題が「削減」に関
する多国間の合意形成であることに対して、自然エネルギーが多面的な便益を持
つ経済開発の側面を持っていてイシューとしての性格の違いがあることに加え
て、国際的に共通の「数値目標」をめぐって決裂したヨハネスの教訓もあって、
従来の国連の多国間合意のプロセスとは若干異なっている。数値目標の重要性は
共通だが、国際的に共通のトップダウンの目標値ではなく、地域ごとや国ごとに
目標値を決めるボトムアッププロセスに大きく変わっている。また、国際行動プ
ログラムに見られるように、ヨハネスブルグ・サミットの「タイプ2」と同様
な、自主的・自発的な取り組みが尊重されている。今後、自然エネルギー2004
は、2006/7年の国連プロセス(CSD)に戻ることになっているが(これにもNGOから
の批判は強い)、ともあれ「自然エネルギー国際政治」が今後どのように展開し
ていくのか、コミットしていく必要がある。

大林副所長が参加したマルチステークホルダーという新しいプロセスも、十分に
機能したとは言えないが、評価できる試みだろう。「政治宣言」に書き込まれて
いる「グローバルポリシーネットワーク」には、政府だけでなく、国会議員、地
方政府、市民社会など、多様なマルチステークホルダーが書き込まれており、今
後のフォローアップでは、欧州主導のJRECや英国主導のREEEPなどともリンケー
ジしながら、国際政治における新しい意思決定プロセスの試みとして発展してい
くことだろう。

基本的に、ポジティブに捉えたい自然エネルギー2004の成果ではあるが、やはり
多くの問題も残した「政治宣言」であった。ブラジルなどが固執するダムをめぐ
る問題は根強く残り、さらには背景に、化石燃料や原子力ロビーも透けて見え
る。開発と環境をめぐる溝も埋まっているわけではない。日本政府やアメリカ政
府の姿がほとんど見えず、それだけに今後のフォローアップが、国連の公式プロ
セス(CSD)に戻っていったときの難しさを予見させる会議でもあった。そうした
成果の概要と分析は、明日の最終号外で詳しくお伝えしたいと思う。

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