上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
4.ベルリンの風 第7回 バルセロナの実践とイメージ
                     山下紀明(ISEP主任研究員
           /ベルリン自由大学環境政策研究センター博士課程)

 昨年末は雪のベルリンでWeihnachten(ヴァイナハテン=クリスマス)と
Silvester(ジルベスター=大晦日)を迎えました。12月24日は店もほぼ閉
まり街がひっそりとしている中、ベルリン大聖堂のミサに多くの家族連れが参
加しており、厳かな光景を垣間見ました。対照的に大晦日の夜は花火がそこか
しこで鳴り響く大騒ぎ。昨年のサッカーワールドカップ(W杯)の熱狂を思い
出させます。振り返れば昨年6月、W杯開幕頃にベルリンでの生活を始めまし
たが、あっという間に年を越し滞在期間は残り2ヶ月程。残りの貴重な時間で
精一杯動き回りたいと思います。
 さて、今回は昨年11月下旬から12月初旬にかけて行ったバルセロナにつ
いてのインタビューの様子をお届けします。
 2年ぶりにバルセロナを訪れて気付いたのは、市民用貸し自転車の大幅な増
加。自転車専用レーンは2年前もありましたが、赤と白に塗られた貸し自転車
が街中の至る所に並び、それを利用する姿も頻繁に見かけました。市の太陽光
/太陽熱の教育施設も新たに出来ており、非常にわかりやすい展示に感心。合
わせて海岸にそびえる巨大な太陽光パネル(440kW)も見学できました。
さらに市立歴史博物館、カタルーニャ歴史博物館を訪れ、「ここはスペインとは
別の国だよ」と言い切る市民達の感覚を少しはつかめたように思います。
 バルセロナは今年行われた欧州環境首都2012、2013コンテストにて
最高得点を記録しました。残念ながら環境首都には選ばれませんでしたが、
2011年首都であるハンブルクと並び総合的に高い評価を獲得。そんな街の
実像に迫るべく、今回は地元NPOを中心に話を聞きました。
 これまでにも書いてきた通り、バルセロナで最も興味深い制度は2000年
に導入された太陽熱義務化条例(S.O.)です。トップダウン型で何をするに
も中央=マドリッドにお伺いをたてなければならないスペインにおいて、温熱
部門という国の政策のギャップを見抜き、独自にS.O.を定めそれが各地に
広がっていったのは極めて例外的なことでした。マドリッドの自然エネルギー
コンサルタントも「バルセロナのS.O.導入はスペイン全体にとって重要だ
った」とその意義を認めています。しかし今回のインタビューでは、その時期
を境に行政と地域ネットワークの関係性が薄れていったことが浮き彫りになり
ました。
 2000年以前は市議であり、S.O.を含む環境政策の立案に尽力した
Josep Puig氏によれば「2000年以前と以降は大きく状況が変わってしまっ
た。」それまで進めていたアジェンダ21の内容は大きく弱められ、市のエネル
ギー計画は現状延長型で政策的な追加措置はなされず、地域エネルギーセンタ
ーも官僚的になっていると嘆きます。S.O.についても改善の余地があり、
制度対象外である既築ビルへの対策も課題のまま、バルセロナには総合的な気
候変動戦略が不在。さらにこうした停滞の背後には巨大ガス会社の存在がある
と指摘しています。
 またバルセロナに拠点を置くあるNPOによれば「この10年で太陽熱や太陽
光の導入は進んでいるが制度的な発展は無く、協働関係も無くなってしまっ
た。」最近、彼らが市民出資の太陽光設置の仕組みを作りあげ、大きく展開する
ための協働の提案を行ったが、市側に断られるということもあったそうです。
 一方でなぜ環境都市としてのバルセロナの評価はこの10年で大きく上昇し
たのか? 上記のNPOは「他都市での取組みが非常に乏しいこともあり、
2000年までの議論をもとに多くの施策をすでに導入済みという点ではスペ
イン随一と言える。しかしそれ以上にこの街が持つ芸術・文化・観光都市とし
ての良いイメージとの抱き合わせで、実情以上に名前が売れてきているので。」
と語っています。
 今回のインタビューで評価と実情との差を把握できたことは大きな収穫でし
た。1月末には市と地域エネルギー事務所へのインタビューを予定しています。
NPOとは異なる意見をどこまで引き出せるのか、十分に準備して臨みます。
 最後に、今回話を聞いた方々が逆境の中であっても常に街の発展のための取
組みを試みている姿勢に勇気をもらいました。SEENへの掲載許可への感謝
の念とともにここに記します。

                   山下紀明(ISEP主任研究員/
            ベルリン自由大学環境政策研究センター博士課程)
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://isepseenarchive.blog88.fc2.com/tb.php/477-592cb301
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。