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1. デリー再生可能エネルギー国際会議(DIREC)
ISEP研究部長 エリック マーティノー

2010年10月27日~29日にインドのデリーにて、インド政府主催の「デリー再生可能エネルギー国際会議(DIREC)」が開催された。この会議には政府高官、国際機関、市民団体、民間セクターから1300人以上が参加し、自然エネルギー、エネルギー安全保障、気候変動、経済発展について討議を行った。形式は全体会合、閣僚級会合、ステークホルダーによるフォーラム、CEOによる円卓会議など多岐にわたり、主要な4つのテーマである技術、政策、ファイナンス、遠隔地でのエネルギー供給についての議論が行われた。これと同時にワークショップ、サイドイベント、最新の技術を紹介する自然エネルギー見本市も開かれた。また、閉会にあたっては、デリー宣言も採択され、政府、NGO、業界が多くの取組みを約束し、その約束はデリー国際アクションプログラムに盛り込まれた。

DIRECは2004年にドイツ政府の主催によってボンで開かれて以来、4回目の閣僚級の会合となる。ボン会議の後は2005年に北京で、2008年にワシントンD.C.で開催されている。この一連の会議や政府間やステークホルダー、業界の会合によって「国際アクションプログラム(IAP)」が推進されており、このIAPには先進国と途上国の双方の自然エネルギーに関する自主的な取組み、コミットメント、目標が含まれている。IAPはREN21(21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク:www.ren21.net)によって管理されている。

DIRECはREN21代表のMohamed El-Ashry氏とインドの新再生可能エネルギー省Deepak Gupta大臣によって開会された。El-Ashry氏は2008年のワシントン自然エネルギー国際会議(WIREC)以降の自然エネルギーに関する発展に焦点をあて、先進国と途上国双方からの自然エネルギーに対する政治的なコミットメントが近年増えていることを強調した。また、気候変動による影響は急速し、エネルギー安全保障やエネルギー確保の必要性からも、自然エネルギーの成長は経済不況にも関わらず続いて行くだろうとの見通しを示した。一方、Gupta大臣は政府機関やステークホルダーにデリー国際アクションプログラムへの署名と共に自然エネルギーに関するコミットメントを呼びかけ、こうしたコミットメントがDIRECの成功へと導くであろうと強調した。

会合では「カンクーンへの道」とのセッションが設けられ、特に2010年12月にメキシコのカンクーンで開催されるUNFCCCのCOP16に関連づけて、気候変動の緩和と適応に関する国際的な取組みについて話し合われた。「緑の経済と自然エネルギーの役割」のセッションでは、インドの20~25%の排出量削減計画と豊富な太陽エネルギー源の利用について発表された。「ビジョン2020-エネルギー安全保障、気候変動、経済発展における自然エネルギーの役割」のセッションでは、2020年と2030年に焦点をあて、IEAのWorld Energy Outlookが紹介された。World Energy Outlookでは、2010年から2030年にかけて新しいエネルギーのインフラに対する投資額は5兆ドルになると予測され、R&Dと新しい政策の重要性が述べられている。ヨーロッパ風力エネルギー連合(EWEA)のArthouros Zervos会長は、自然エネルギーは今後のエネルギーシステムの基礎であると述べ、世界での自然エネルギー目標の達成を楽観的に捉えた。また、自然エネルギーの成長は期待を上回るものであり、長期的には経済的であるとの見解も示した。

全体会合の後は、3つのセッションに分かれ、閣僚、ステークホルダー、CEOがそれぞれの立場から自然エネルギーを議論した。エネルギー関連の各国の閣僚が、エネルギーの国際的な取組みに関する問題点、解決に向けての選択肢、また技術によって自然エネルギーがエネルギー産業を支配できるかについて討議した。数人の閣僚は、自然エネルギーの今後の成長の度合いが国によって違うことを認識しつつも、セクター間や国境を超えての協力の必要性を強調した。ステークホルダー間の会議では、「人的資源」への投資、貧困層にとっての新しいビジネスモデルとなることも考慮したエネルギーの供給、政治的な行動を起こさない、あるいは遅らせることによる生じるコスト、今後の自然エネルギー産業の規模(今後20年で40~50兆米ドル)、製造者がクリーンエネルギー技術をさらに吸収することによってしっかりした流通機構が発展することなどが議論された。多くの討論者は自然エネルギーを拡大させるには政府が先導しなければならないと主張した。

CEOによる円卓会議では、パネリストが自然エネルギー産業の目標を発表した。多くのパネリストらが政府に対し、長期的に安定性のある、明確で一貫性した政策ガイドラインを設けるのと共に、国策としての自然エネルギー戦略を明確にするよう要求した。また参加者は、二酸化炭素の価格の有無に関わらず、R&Dによってエネルギーのコストは下がり、太陽および風力エネルギーのコストも従って競争力をつけるであろうとの確信を示した。二酸化炭素に標準価格を設けるのは難しいため、代わりに二酸化炭素の排出規制を強化してはとの提案も出された。太陽光市場は固定価格買取制度を通じて数カ国によって拡大しており、多くの場合太陽光コストはピークロードの生産時のコストに匹敵しているとの指摘もあった。

2日目は技術、政策、ファイナンス、遠隔地におけるエネルギー供給についての4つのトラックが同時並行で進み、3日目の全体会合においてまとめられた。技術に関するトラックでは、過去20年間の自然エネルギー技術の進歩について言及される一方で、温室効果ガスを450ppmに抑えるには一層の努力が必要であるとの警告がなされた。また、「スマートグリッド」、グリーン建築設計、電気自動車、次世代バイオ燃料、地域冷暖房における自然エネルギー、製造とマーケティングの重要性についても討論が行われた。

政策トラックでは、今後自然エネルギー利用の割合を50~100%にするとのシナリオは技術的にも財政的にも困難ではあるが達成できるとの結論に達した。各国は今後のエネルギーの系統を計画して行く上でも、政策だけではなく技術革新をも必要とするような政策の成功例を相互に学びあう必要がある。ファイナンスのトラックでは、産業界と政府が自然エネルギーに前例のないやり方で協力しながら投資をしていることについて言及されたものの、金融の流れを促進するためには新たな政策が不可欠であり、また、自然エネルギー政策は環境政策よりもむしろ産業と輸出の政策に照準をあてなければならない。世界の新しい金融イニシアチブが見直され、強化された。

 DIRECは「DIREC宣言」を締結して閉会した。「DIREC宣言」は以下の通りである。

・自然エネルギーの恩恵はさまざまである。特に貧困層に対するエネルギーの供給や、雇用の機会、大気汚染の改善、エネルギー安全保障などがある。

・自然エネルギーの成長は政策によって後押しされている。

・自然エネルギーが一次エネルギー供給に占める割合は世界全体では低く、導入地域も偏っている。また、世界の人口の大部分には近代的なエネルギーが供給できていない状態が続いている。

・2030年までに近代的なエネルギーサービスを供給するための目標が国連事務総長のエネルギー及び気候変動に関する諮問グループによって公表されたが、これは賞賛すべきものである。

・DIRECは、UNが2010年をエネルギー供給の国際年とすることを要求する。

・DIRECは、費用効率が高く、より革新的な技術に対する研究、開発、設置(RD&D)への投資の重要性と国際協力を再認識する。

・政府による一貫性のある政策は技術開発に好影響を与え、さらには自然エネルギーが普及するのに役立つであろう。

・DIRECは、発展途上国の人や組織の能力を強化するために、国際的な取組みを歓迎する。

・公的資金は保証やリスク負担などを通じて、大型の民間投資を発展途上国へ呼び込むのに役立っている。

・DIRECはデリー国際行動プログラムを歓迎する。この国際プログラムは政府、国際機関、民間企業、市民団体などが自然エネルギーの拡大を目的として、自らの権限や責任において自主行動を起こす事を奨励するものである。

 結論として、DIRECは多くの異なるステークホルダーや政府高官が会した重要なフォーラムであったといえる。同時並行で進められたセッションやイベントも多様であり、また全てのセッションが堅苦しいプレゼンテーションではなくパネルディスカッションであったため、高いレベルでの交流ができた。DIRECによって、自然エネルギーの国際的な発展と対話へのきっかけがもたらされた。
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