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4.ベルリンの風 第6回 ハンブルクの戦略
                     山下紀明(ISEP主任研究員
           /ベルリン自由大学環境政策研究センター博士課程)

 11月下旬、いよいよベルリンにも雪が降り出しました。コートはもちろん、
帽子にマフラーに手袋での完全防備が必要です。12月1日のベルリンの気温
は最低マイナス10度、最高マイナス8度。大阪生まれで東京より北に住んだ
ことが無い私には未知の領域に突入していきます。この連載の題名は毎年夏に
ベルリンフィルハーモニーの野外コンサートで披露される楽しげな曲が由来な
のですが、これから冬の間は「ベルリンの雪」に変更してしまう方がよいのか
もしれません。
 と言いつつ、私は12月初旬をスペインのバルセロナで過ごしています。イ
ンタビューに向かう途中の明るい空、東京とそれほど変わらない気温を満喫中
です。(それだけにベルリンに戻るのを一層恐れている面も。)バルセロナでの
調査の様子は来月お伝えしますので、今回は11月中旬のハンブルクでのイン
タビューからの示唆をお届けします。
 本連載の第4回ではハンブルク市民による住民としての意見をご紹介しまし
た。(注1)。今回の訪問の目的は研究機関、NGOのメンバーへのインタビュー
ーです。ハンブルクでは現在、気候変動対策へのマスタープラン作りが進行中。
11月下旬には市から委託を受けた研究機関が基本的な方向性を示すための提
案書を発表。その中で今後ハンブルクが取り組むべき政策分野を明確に示して
います。これまでも数多くの取り組みがありましたが、それらを戦略的に統合
していく指針となるものです。
 電力・熱・交通・産業用熱の4分野に需要側・供給側を組み合わせた8項目
の中で、熱と交通の需要側の2分野を最重点分野に指定。熱については新規建
築物のエネルギー認証制度と既存建築物の暖房システムの改善を提言。ドイツ
全体で新築および大規模改築時の自然エネルギー熱導入義務が2009年から
施行されていますが、まだまだ改善の余地があり自治体として追加施策が必要
という認識です。交通については道路の有効活用と公共交通の整備・魅力増大
が鍵。先月のDIREC2009の都市セッションでも話題になったように多
くの街にとっての共通課題と言えます。
 一方電力については国の普及政策が強力であり、ハンブルクとして自然エネ
ルギー導入への追加的な補助や省エネ施策は進めているものの、今後新たなモ
デルとなるような政策を作り出すことは想定されていません。産業についても
多くの企業が温室効果ガス削減についての協定を市と結んではいるものの、政
策的手法でのさらなる削減は考慮しづらいようです。
 ハンブルクの中長期目標の数字自体はドイツの目標値と同じなのですが、都
市の発展と特性を考慮し、追加的に削減すべき量が推計されています。EUと
国の施策によって温室効果ガスを削減した状態を100とすると、2020年
にはさらに約13%、2050年では約30%分を自らの施策で減らさなけれ
ばなりません。これを少ないと見るか多いと見るかについては意見が分かれる
ところでしょう。ひとつ確かなことは、国の中長期的な目標と方向性が明確だ
からこそ推計が可能なのであり、他の国の調査候補地に比べハンブルクが有利な点です。
 さらにハンブルクが一つの市でありつつ州でもある特別市(Staatstadt)で
あるために、他のドイツの都市と比較して有利なのは州としての規制権限があ
ること、データが得やすいことです。ミュンヘンも環境政策を進めている大都
市ですが、この2点で大きな違いがあります。
 またドイツの著名な研究機関の自治体政策担当者によると、ハンブルクやミ
ュンヘンが計画している電力会社の公共性を高める方策についての両面性を指
摘しています。「自然エネルギー比率」を高めるといった自治体からの要請が容
易になる一方で、公共団体であっても売上の縮小や採算性については組織とし
ての反発が出やすくなります。この点は大きな行政組織に共通した問題の構造
があり、過度の期待への注意を述べていました。
 ハンブルクの地元NGOからは建築および暖房に関する意見がありました。
既存住宅の暖房システムの多くが電気式で、安い夜間電力メニューを提供する
大手の会社から自然エネルギー供給会社への乗換が進まないこと。さらに改修
への補助制度の不備を指摘していました。
 ハンブルクには12月にも自治体の政策担当者へのインタビューを行います
ので、今回得た情報を基に切り込んでいきます。

注1)SEENアーカイブ 2010年10月
http://isepseenarchive.blog88.fc2.com/blog-date-201010.html

                     山下紀明(ISEP主任研究員)
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