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3.ベルリンの風 第5回 個人と自治体による選択
                     山下紀明(ISEP主任研究員
           /ベルリン自由大学環境政策研究センター博士課程)

 10月31日に夏時間から冬時間へと切り替わり、家中の時計の針を1時間
遅らせました。いよいよ冬の始まり。さっそくクリスマス商戦のチラシが郵便
受けに届いていました。友人からは「ベルリンの冬は暗くて寒いから。楽しみ
はヴァイナハテン(クリスマス)とジルベスター(大みそか)の大騒ぎくらい」
と口を揃えますが、音楽・映画・演劇といった屋内イベントはこれからがシー
ズン本番。この季節を待ち望んでいる方もたくさんいるようです。
 さてベルリンで現在の家に引っ越してから、まだ行っていない手続きがあり
ました。それは電力会社を選択すること。SEENを毎月ご覧の皆さまには改
めてご説明することもないかと思いますが、ドイツでは電力自由化が進められ
一般家庭(アパートの一世帯であっても)でも電力会社やメニューを選択して
契約できます。日本ですと各家庭が電話会社を指定する感覚に近いでしょうか。
 ドイツでは1998年ごろからの電力自由化により当時8社あった大手電力
会社が4社に統合されていきました。規模が大きい順ではE.ON、RWE、
Vattenfall Europe(以下V.E.)、EnBW。このうちベルリンでは三番手の
V.E.が基本となります。V.E.では化石燃料を含む通常の電気、コジェ
ネレーション中心、ノルウェーの水力発電100%といった5種類のメニュー
を用意しています。どれも毎月の基本料金が5?7ユーロ、加えて従量料金が1
kWhあたり20セント前後という値段設定です。
 また、ドイツでは大手電力会社以外に自治体や独立系の電気事業者、地域エ
ネルギー供給会社もあります。なかには自然エネルギー由来の電力供給を専門
に行うGreenpeace energy、Naturstrom、LichtBlickなどもあり、相互にメニ
ューや料金を比較できるウェブサイトも作られています。上記の会社が供給す
る電力も7割方は水力発電ですが、V.E.同様北欧の大規模水力によるもの、
ドイツ国内の小水力を主とするものなどその内実は異なります。また残りの3
割についてもバイオマスや風力、コジェネレーションなどの組合せがあります。
 今回私はEWS Schoenauという電力会社を選びました。電源は新規開発の小水
力を中心としており、電気料金の一部を太陽光などへの投資に回すグリーン料
金プログラムも準備している点を考慮して決めました。その分値段は他より少
し高く、今回私が滞在する10ヶ月間での総費用を推計してみるとV.E.の
通常電力と比べると1万円ほど上乗せとなります。留学中の苦しい懐事情と相
談しながらも、せっかくの電力会社とメニューを選ぶ機会ですので、比較検討
してみたうえでの選択となりました。
 こうした自然エネルギー電力供給会社の顧客数は数万から数十万世帯程度が
多く、ドイツ4000万世帯と比べれば一部です。しかしながら自然エネルギ
ー法で着実に国内の自然エネルギー供給源を増やすとともに、電力会社とメニ
ューの選択によってさらに一人一人の市民の需要側からも電力源の選択に参加
できることは大きな意義があると感じます。
 研究の面では、10月8日に会議での発表を行いました。私の所属する環境
政策研究センターが毎年開催する「Berlin Conference on the Human Dimensions
of Global Environmental Change」(地球環境変化の人的側面についてのベルリ
ン会議;筆者訳)でのことです。今年の副題は「環境変化と環境ガバナンスの
社会的側面」。そのなかの「重層的ガバナンス:地域の反応(第二セッション)」
において「太陽熱市場における東京都の役割:重層的ガバナンスの観点から」
として供給側、需要側の双方の観点から気候変動政策を進める東京都の政策作
りとそれを取り巻くアクターについて報告しました。
 また同様のテーマを持つ研究者の発表を聞き、大いに刺激を受けました。最
も興味深かったのはブラジルの2大都市の事例報告です。ブラジルという振興
経済国でもサンパウロ、リオデジャネイロという大都市が積極的な気候変動対
策を行っており、リーダーシップや他の自治体との関係性などからサンパウロ
がより進んでいると述べていました。
 自治体が外部状況と内部状況を勘案し、どのようにして供給側と需要側の政
策を選択していくのかは社会的にますます重要性を持っていくはずです。今月
末からハンブルクやバルセロナを訪れ、自体帯の政策担当者やNPOなどに直接
インタビューを行い、その答えを探ってきます。

                     山下紀明(ISEP主任研究員)
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