上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
4.代替フロン(HFCs)とヒートポンプ問題
                     船津寛和(ISEP主任研究員)

 フロン類は二酸化炭素の数百~数万倍の温室効果を持つ強力な温室効果ガス
(GHG)である。
 日本でGHGといえば、排出量の94.7%を占める二酸化炭素であり、排
出量1.2%を占める代替フロン(HFCs)に対して有効な政策が取られて
いるとは言い難い。
 しかしながら有効な対策が取られない場合、今後日本国内において、さらに
世界全体としてHFCs排出量の大幅な増加が予測されている。PNAS
(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of
America)の研究によれば、2050年の予測としては、BAUシナリオの場合、
世界の二酸化炭素排出量と比較して9~19%(二酸化炭素換算)、450
ppm─CO2安定化シナリオの場合、二酸化炭素排出量と比較して28~
45%を占めるとされている。世界のGHG排出の半分近くがHFCsとなる
可能性が指摘されている。

■国内の対策とその現状
 フロンは製品分野ごとに、フロン回収破壊法、家電リサイクル法、自動車リ
サイクル法により管理されている。しかしながら、フロンの出荷量とその回収
量を比較した場合、その80%以上が大気に放出されている。今後の市中スト
ック(いわゆるバンク)の増加とともに、この放出/漏洩量はさらなる増加が
見込まれている。

■エアコンのLCCP
 従来、エアコンにおいても省エネ、つまり電力消費量が重視され、フロンの
放出/漏洩は問題とされてこなかった。しかし、産業技術総合研究所の調査に
よると、エアコンの電力消費量は従来の想定値よりも大幅に少なく、フロンの
排出量が大幅に多いことが分かった。LCCP(Life Cycle Climate
Performance)を見ると、総排出量のうち57%がフロンによる。
 省エネが重要であることは言うまでもないが、エアコンに限っては、フロン
対策こそ最優先すべきことが初めて明らかとなった。

■エアコンおよびヒートポンプの問題点
1.高いCOP値を得るための意図的工作
 エアコンの省エネ効率を示すCOP値について、「隠しスイッチ」などを用い
て測定性能をかさ上げする「爆風モード」により、メーカーがその数値を意図
的にかさ上げしていた。
 経産省産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会にて日
本冷凍空調工業会はこれが事実であることを認めた。

2.節電金額表示におけるJIS標準時間と実態との乖離
 JISでは、冷房3.6ヶ月、暖房5.5ヶ月、1日最大18時間エアコン
利用を基準としているが、一般家庭の実際の使用時間はこの5分の1から6分
の1程度にすぎないため、この利用時間を基準とした電気代のお得度は、過大
な表示となっている。

3.冷媒フロンの増量と漏洩
 省エネ効果を高めるため、エアコンに封入される冷媒フロンの量は増加傾向
にある。上述のとおり、フロンの大半は大気中に放出されている。

 環境エネルギー政策研究所など市民団体8団体は当件に関してエアコンメー
カー8社に公開質問状を送ったが、十分な回答が得られなかったため今年8月
に共同で「ヒートポンプ問題連絡会」を発足させた。
http://www.isep.or.jp/kiji/iida_heat_pon100820.html

 さらに大きな問題としては、政府の温暖化対策として、ヒートポンプの導入
推進が強調されている。冷媒のノンフロン化が実現しない限り、省エネ(省電
力、省二酸化炭素)を進めることが、省GHGにはつながらず、むしろGHG
排出量を増加させることになりかねない。
 また、フロンは化学物質としてのリスクも抱えている。
 政府は、最新の知見を基に大きな視野に立って、フロン全廃、市中バンクの
対策強化など、真の温暖化対策を取るべきである。

                     船津寛和(ISEP主任研究員)
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://isepseenarchive.blog88.fc2.com/tb.php/454-8b9ab528
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。