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2.連載「光と風と樹々と」(27)
   「小沢的なるもの」からの脱却なるか─民主党代表選の歴史的意義
                長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)

■小沢が負けたら
 民主党代表選は、菅直人首相と小沢一郎前幹事長の一騎打ちの形で争われる
ことになった。この選挙戦は色々な意味で注目される。「脱小沢路線」が鮮明に
なることによって、民主党の、日本の政治の分岐点になるかもしれない。
 各紙の世論調査で支持率の多い菅首相が勝ったならば、これまで幻想を抱か
せてきた小沢の政治力は一気に低下することだろう。民主党分裂の事態も危惧
されているが、少数の離脱は例えあったとしても、大分裂というようなことは
ないのではないか。小選挙区比例代表制のもとでは小党は不利だからであり、
民主党から飛び出した小沢らと、自民党から飛び出した与謝野馨・桝添要一な
どが、公明党などとも組んで、大きな旗印のもとに第3極の形成をめざすとい
うようなことは、考えがたい。平成になってからこの22年間の間にいろいろ
な新党が出来たが、成功したのは、民主党だけだったといっても過言ではない。

■小沢が勝ったら
 小沢が勝ち、そのまま首相の座に着いたならば、どうなるだろうか。党内は
名実ともに「小沢支配」が現出するだろう。しかし世論の支持率は低迷し、早
期に解散・総選挙という事態に追い込まれるのではないか。「政治とカネ」の問
題を抱え、国民向けの説明力に乏しい小沢首相が国民的な人気を博するとは考
えがたい。次の総選挙に民主党は敗北し、自民党を中心とした連立政権の復活
という事態になるのではないか。
 いずれにしろ、できるだけ表に出ないことで政治力を演出してきた小沢一郎
は、首相の座に直結する代表選に立候補したことで退路を失い、その政治力が
どの程度のものなのかを、代表選の票差という形で、白日のもとに曝すことに
なった。
 8月31日までの経過を見ていると、小沢自身が、本当に代表選に出たかっ
たのかどうか、必ずしも明確ではない。31日17時50分頃からの記者会見
を帰宅途中のラジオで聞いたが、出ると言いたいのか、出ないと言いたいのか、
終わり近くまでわからなかった。
 なぜこの機に、小沢が代表選に立候補し、総理の座をめざすのか。3ヶ月前
に、「政治とカネ」の問題の責任を取らされて、幹事長職の辞任に追い込まれた
人が、その後も何ら説明責任をはたすことなく、代表選に立候補することほど、
厚顔なことはあるまい。
 出るぞ出るぞ、と言いながら、最後は、矛をおさめて、人事上の取り引きを
することが小沢の戦術だったのではないか。その意味では、世論の支持を背景
に、談合を避けて、選挙戦での決着を選んだ菅は、小沢の底意を見抜いたと言
える。

■ボクは道化師-鳩山の滑稽
 事実上小沢の立候補の御膳立てをし、最後に仲介に失敗した鳩山由紀夫前首
相の一連の言動は、さらに滑稽の極みだった。9月1日付け読売新聞によると、
31日夕、鳩山は「周辺に「ボクはいったい、何だったんでしょうね」とぼや
いた」というが、その答えは道化師以外の何ものでもない。小沢への「恩返し」
発言をはじめとして、鳩山の発言や行動は、今回も支離滅裂だ。約60人とい
う鳩山グループなるものは、はたして本当に一致団結して、鳩山の指示どおり
に、小沢を推すのだろうか。

■小沢-反小沢が軸であってよいのか
 1989年8月に海部俊樹内閣のもとで、小沢が47歳で自民党幹事長に就
任して以来、22年間、日本の政治のかなりの部分が、小沢-反小沢を軸として、
小沢一郎への好悪や小沢からの距離、離反をめぐって動いてきた。1993年
8月の細川連立内閣の成立、1994年4月の同内閣の瓦解、6月の自社さき
がけ連立政権の誕生、2007年7月の参院選での勝利、ねじれ国会の現出、
9月の安倍退陣、11月の福田首相との大連立構想、2009年8月の総選挙
での勝利などである。
 平成になってから22年間の日本の政治の混迷に、小沢一郎は大きな影を落
としている。日本の政治の「貧困」とも、小沢は無縁ではない。
 結局、彼は何をしたいのだろうか。何を、どのような理念を実現したいのだ
ろうか。彼がリベラルでないことははっきりしているが、新保守主義との関係
はどうなのか。環境問題などに積極的な発言をしてこなかったこと、NPOな
どに関心がないことは理解できるが、どういう日本をつくりたいのだろうか。
 横路孝弘衆院議長や輿石東参院議員会長ら、小沢は、旧社会党系議員グルー
プと仲がいいが、これもわかりにくい。
 非論理的でわかりにくい、説明力に乏しい、小沢的なるものからの脱却、ま
た奇々怪々の鳩山の影響力の消滅、代表選を含めて、そういう方向に、今後民
主党は動いていくのではないだろうか。
(2010年9月1日記す)。

                長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)
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