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1. 風発:よくわかる自然エネルギー(1)
                       飯田哲也(ISEP所長)

・今なぜ自然エネルギーか

 世界中で「グリーン・ニューディール」政策が進む中、その柱として注目さ
れているのが自然エネルギーである。自然エネルギーとは、太陽光発電や風力
発電、地熱発電など自然界でほぼ永続的に資源が再生されるエネルギーを指す。
 自然エネルギーは、第1に枯渇しない純国産エネルギーであり、エネルギー
自給率がわずかに4%しかない日本にとって、最も重要なエネルギーである。
第2に、今や待ったなしの地球温暖化問題に対して、温室効果ガスの主因であ
る二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー源であり、これも2020年
までに25%削減を掲げる日本にとって最も力を入れるべきものである。
 第3に、新しい産業経済の柱として期待されており、とりわけ風や森林や農
業用水など地域の資源を利用してエネルギーを生み出す分散化技術であるため、
地域の活性化に役立つ。世界全体で見ても、自然エネルギー市場は、過去5年
以上もの間、年60%もの成長を遂げ、今や約12兆円もの市場に達しており、
10年後には自動車産業に匹敵する産業に成長するとみられている。
 だが、日本がこの市場を占める割合は2%に過ぎず、世界の潮流から大きく
取り残されている。かつて世界をリードした太陽光発電も、市場が急成長する
につれて、「ウサギと亀」の寓話よろしく、追い越され、今や取り残されつつあ
る。なぜか。
 自然エネルギーを野球にたとえると、日本では未だに、将来の期待された補
欠選手くらいにしか認識されていない。しかし日本を除く世界では、走攻守揃
った大リーガーのイチローと捉えている。それがこの違いを生んでいるのだ。
ちなみに、走とは成長の早さ、攻とは経済効果、守とは温暖化防止とエネルギ
ー自給効果である。
 以下、自然エネルギーを巡って急激に変貌しつつある最新動向や足踏みする
日本の課題を探り、日本再生の展望を示す。

・自然エネルギーとは

 自然エネルギー(もしくは再生可能エネルギー)とは、自然界でほぼ永続的
に資源が再生されるエネルギーを指すもので、中心は太陽エネルギーだ。これ
には太陽光発電や太陽熱利用はもちろん、太陽エネルギーから生み出される水
力・風力・バイオマス(生物資源)なども含まれる。その他に、地下のマグマ
に由来する地熱や温泉熱利用や月の引力に由来する潮力も自然エネルギーだ。
 もう少し正確な定義では、特に水力発電とバイオマスの扱いが論点になる。
いずれも自然エネルギーだが、大型の水力発電は河川環境や地域社会に大きな
影響を及ぼし、バイオマスは森林破壊や大気汚染の懸念がある。このように他
の側面の悪影響が大きい利用形態?すなわち大型ダム式の水力発電と非効率な
バイオマス利用を除いたものを「持続可能な自然エネルギー」と呼び、これが
国際的には徐々に定着しつつある。
 日本では、石油ショックの時に定めた「新エネルギー」という法律定義を長
く引きずった。これは省エネルギー技術まで含む定義で、国際比較もできない
「ガラパゴス用語」だった。
 過小評価されている自然エネルギーの資源量だが、じつは膨大にある。太陽
エネルギーだけでも、全世界で使われている石油・石炭など化石燃料の約1万
倍が降り注いでいる。そのうち化石燃料の数千倍程度は現実的に利用可能と推
計されている。つまり自然エネルギー100%社会は、「できるか」ではなく「い
つまで」の問題なのだ。
 自然エネルギーの最大の特徴は「小さな技術」ということだ。小さくて主力
のエネルギー源にならないと思われがちだが、これは大きな間違いだ。小規模
分散型の技術は、作れば作るほど安くなり、加速度的に普及拡大していく。待
ったなしの温暖化対策や石油対策に、省エネルギーと共に、唯一間に合う可能
性を持つ。
 問われているのは、自然エネルギーを加速度的に普及させるための政策の力
だ。

・地球温暖化と自然エネルギー

 地球温暖化問題の最大の原因は、現代文明を支える石油や石炭などの化石燃
料を燃やすことで放出される二酸化炭素だ。つまり地球温暖化問題とはエネル
ギー問題であり、それを自然エネルギーに転換することは、省エネルギーと並
んで根本的な解決策といえる。
 ところがこれまで自然エネルギーは、地球温暖化対策の中で、あまり重視さ
れてこなかった。なぜだろうか。
 第1に、風力発電や太陽光発電などのように小規模な技術であるため、化石
燃料を代替するものとして充分な量をすぐに確保できないと思われてきたこと
がある。現状、世界全体のエネルギーの約10%が自然エネルギーで賄われて
いるが、その8割が薪などバイオマスの伝統的な利用によるもので、2割が大
型ダム式の水力発電を占め、いずれも問題の多い使い方である。風力発電など
新しい自然エネルギー技術は、まだ2%程度にすぎない。
 第2に、まだ技術開発の途上で、コストも高いと思われてきたことである。
しかし事実は、確かに太陽光発電はまだコストの高い技術だが、昨年に一気に
4割もコストが下がり、競争力が出てきている。風力発電などは、ほとんどの
国で石炭火力発電よりも安くなっている。
 ここにきて一気に状況が変わってきた。
 一つには、自然エネルギーが小規模分散型の技術であるが故に、幾何級数的
に拡大する現実が、ドイツなど欧州や米国、そして中国でも出現してきたこと
だ。その普及拡大に連れて、技術改善とコストダウンも進み、時間との競争に
なっている温暖化対策の唯一の解として期待されるようになったのだ。
 また金融危機と原油高騰に対して、自然エネルギーが代替エネルギーの主力
であると同時に、新しい産業と雇用を生み出すエースとして躍り出てきたこと
も、大きな追い風になっている。
 昨年12月にコペンハーゲンで開催されたCOP15は世界全体で削減する約束
の難しさを見せつけたが、拡大することがさまざまな問題を解決していく自然
エネルギーは、政治的にも突破口となるかもしれない。


「聖教新聞」2010年1月8日号、1月25日号、2月7日号掲載

                       飯田哲也(ISEP所長)
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