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【第3部 「望ましい固定価格買取制度(FIT)への円卓会議」】
                     井田瑞(ISEPインターン)

 この「円卓会議」には、各省庁や自治体の関係者、電力会社を始めとして金
融機関、各自然エネルギー発電事業者、消費者関連団体、環境NGO等の専門
家、総勢17名が登壇し、ISEPとしても空前の規模の円卓会議となった。
まず、民主党政権が地球温暖化対策基本法案や新成長戦略の中で掲げている全
種全量の固定価格買取制度について、経産省のプロジェクトチームでの検討結
果をもとに、経産省資源エネルギー庁の斎藤圭介氏より、後に議論される基本
的な制度のオプションが示された。その後、主催団体でもある環境エネルギー
政策研究所 所長の飯田哲也氏は、世界で急激な発展を遂げている再生可能エネ
ルギー市場の概況と、日本における市場拡大の必要性について述べ、経産省オ
プションに関する様々な論点や課題を指摘した。

・経産省説明資料
http://www.re-policy.jp/sympo20100701/301METI.pdf
・ISEP説明資料
http://www.re-policy.jp/sympo20100701/302ISEP.pdf

 以上の説明に対して国家戦略室の平竹雅人氏からの新成長戦略に関わるコメ
ントを皮切りに、朝日新聞の竹内敬二氏がコーディネーターを務めて、固定価
格買取(FIT)制度の重要な論点について2時間以上に渡り17名の登壇者
による議論が行われた。
 この「円卓会議」の登壇者は次のとおりである。

・行政
増山壽一氏
 (経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部政策課長)
立川裕隆氏(環境省 地球環境局地球温暖化対策課調整官)
平竹雅人氏(内閣官房 国家戦略室)

・自治体
谷口信雄氏(東京都環境局 都市地球環境部)

・電力会社
影山嘉宏氏(東京電力株式会社 環境部長)

・金融機関
竹ヶ原啓介氏(株式会社日本政策投資銀行 CSR支援室長)

・消費者関連団体
辰巳菊子氏(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 常任理事)
麹谷和也氏(グリーン購入ネットワーク 事務局長)

・太陽光発電
田中良氏(株式会社NTTファシリティーズ ソーラープロジェクト本部)

・風力発電
永田哲朗(日本風力発電協会 代表理事)

・地熱発電
安達正畝氏(日本地熱開発企業協議会 評議員)

・小水力発電
中島大氏(全国小水力利用推進協議会 事務局長)

・バイオマス発電
泊みゆき氏(バイオマス産業社会ネットワーク 理事長)

・環境NGO
池原庸介氏(WWFジャパン 気候変動オフィサー)

・市民出資関連団体
鈴木亨氏(NPO法人北海道グリーンファンド 事務局長)
飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所 所長)

・コーディネーター
竹内敬二氏(朝日新聞社編集委員)

<議論1 買取価格の考え方>
 FIT制度の導入においては買取価格および買取期間の設定が重要である。
太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマスの事業者団体から各発電源の特徴と
コスト、適切な価格や期間についての具体的な数値が提示された後、日本政策
投資銀行の竹ヶ原氏から、ローリターン・ローリスクのビジネスとしての再生
可能エネルギーの実現のためのFIT導入に、期待を寄せるコメントがあった。

・太陽光発電 事業者説明資料
http://www.re-policy.jp/sympo20100701/303NTTF.pdf
・風力発電 事業者説明資料
http://www.re-policy.jp/sympo20100701/304JWPA.pdf
・地熱発電 事業者説明資料
http://www.re-policy.jp/sympo20100701/305GEO.pdf

<議題2-1 他の制度面のポイント─全量と余剰>
 現在既に実施されている住宅用太陽光発電の余剰買取制度と、ここで議論さ
れた全種全量買取制度の整合性や、全量か余剰のどちらが制度として望ましい
かなどの議論があった。東京電力の影山氏は、余剰買取制度における家庭での
省エネインセンティブを利点として指摘したが、それに対して飯田氏は余剰買
取が引き起こす不公平性が問題であるとした。

<議論2-2 他の制度面のポイント─環境価値の行方>
 環境価値取引の具体的な政策として、キャップアンドトレードやグリーン証
書などが挙げられた。一方で、経済産業省資源エネルギー庁増山氏の、日本で
自然発生的、草の根的に生まれた環境意識を大切にしたいという思いは、多く
の登壇者が共有していたようである。環境価値には、二酸化炭素削減以外にも
様々な価値が含まれる。個人の意思に基づいて多様な価値を選択できるような
政策の必要性を、東京都の谷口氏が指摘した。

<議論3 系統制約と系統整備>
 全量全種の買取を行うにあたって最も大きな課題の一つが、電力系統の整備
である。日本風力発電協会の永田氏は、電力会社と事業者の電力系統について
の情報の非対称性が、風力発電等拡大のハードルになっていると述べた。さら
に優先接続、優先給電導入による再生可能エネルギー普及拡大の可能性に言及
した。北海道グリーンファンドの鈴木氏の話では、風力発電に非常に有利な地
域である北海道でも、風力発電の建設が抽選制になっているなど、系統制約が
大きな問題であるという現状が伝えられた。
 
・北海道グリーンファンド説明資料
http://www.re-policy.jp/sympo20100701/306HGF.pdf

<議論4 国民負担の考え方>
 負担に対する消費者の納得をいかにして得るか。消費者の代表として、日本
消費者生活アドバイザー・コンサルタント協会の辰巳氏は「透明性のある国民
負担」が重要とし、消費者団体とISEPが共同で作成した「消費者と気候変
動問題コンセンサス文書」を紹介した。さらに、グリーン購入ネットワークの
麹谷氏は「理解しやすくシンプルな制度」を挙げ、WWFジャパンの池原氏は、
過度の負担を回避するために、制度導入後の頻繁な見直しが必要であるとした。

・消費者と気候変動問題コンセンサス文書
http://www.isep.or.jp/press/100528GEPFpress.pdf

<議題5 その他の議論─地域社会合意、金融支援>
 自然エネルギーは列島に偏在していることから、地域社会合意は導入のカギ
となる部分である。特に地熱発電は温泉や公園との社会合意が難しく、地熱の
ポテンシャルが活用されていない点について、日本地熱開発企業協会の安達氏
から伝えられた。経産省の増山氏、全国小水力利用推進協議会の中島氏、環境
省の立川氏からは、地域の人々を新しいプレーヤーとして巻き込む地域還元型
の事業を支える政策の方向性が示された。

 3時間に及ぶこのセッションでは、時には厳しい質問や意見が飛び交ったも
のの、FIT導入については各ステークホルダーが大筋で合意しているようで
あった。しかし、課題は多く残っている。谷口氏の言葉を借りれば、再生可能
エネルギーは我々が考える以上の豊かな価値を持っている。利害や感情の衝突
を越える、将来を見据えた慎重かつ積極的な制度設計への一歩として、ここで
の議論が活かされることを期待する。

                     井田瑞(ISEPインターン)
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