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1.風発:「新しいルール」の創造必要
                       飯田哲也(ISEP所長)

 ■緑の分権改革

 日本全体に疲弊感や後退感が漂っている。短期的な要素としては、リーマン・
ショックから立ち直る間もなく襲いかかったギリシャ発の世界経済不安もある
だろう。だがやはり、戦後、工業製品の輸出一辺倒でやってきた「ものづくり
日本」がここにきて世界に通用せず、自信を失って立ちすくんでいるようにみ
える。「ガラパゴス」という皮肉交じりの比喩(ひゆ)がその象徴だろう。しか
も経済の回復は、輸出産業という「旧いビジネスモデル」に頼らざるを得ない
と考え、ますます日本経済がモノカルチャーの度合いを増すという悪循環に陥
っているのではないか。さらに、地方のそれは輪をかけてひどく、場所によっ
ては「荒廃感」も漂う。これは欧州の地方都市のにぎわいや高質な景観と対比
すれば歴然としており、一部ではアジアの都市にも「負け」つつあるという感
想を耳にする。

 ◆縦割りと規制の壁

 そうした中、原口一博総務大臣の肝いりで、「緑の分権改革」がスタートした。
自然エネルギーをはじめとするそれぞれの地域資源を最大限活用する仕組みを
地方自治体と市民、NPO(民間非営利団体)などの協働・連携により創り上
げていくことで「地域から人材、資金が流出する中央集権型の社会構造」を「分
散自立型・地産地消型社会」「地域の自給力と創富力を高める地域主権型社会」
へと転換することを目指すとしている。

 まことに「わが意を得たり」の取り組みであり、委員も拝命したので全力で
取り組みたいと考えているが、この先の道の険しさは容易に想像できる。エネ
ルギー分野は、ただでさえ閉鎖的かつ独占的な市場となっているほか、国自ら
の強固な縦割りと不透明な裁量規制があり、進める地方自治体にも鏡写しのよ
うな縦割りがある。何よりも地方行政には変革を構想し、突破し、実現する「変
革マネジメント」の経験を積んだ人材が乏しい。こうした困難が重なり、容易
には実現しないのだ。

 ◆自然エネルギー普及のために

 ほぼ同時期に、行政刷新会議に設置された規制・制度改革分科会のうち、グ
リーンイノベーションにも参画したのだが、残念ながら、緑の分権改革との連
携は乏しい。むしろ逆行しているかもしれない。

 例えば、風力発電や地熱開発に対する自然公園法や温泉法の「規制緩和」が
強調して取り上げられた。もちろん、風力発電や地熱発電を一層普及・拡大す
ることは大賛成なのだが、他方で地域では「風力発電からの低周波騒音」や「地
熱によって源泉が影響を受ける」といった不安があることも確かだ。地域の目
線に立って、そうした不安にも向き合いながら、地域で望ましい開発のあり方
を探る必要があるのだが、どうも、かつての市場原理的な規制緩和が色濃い。
このように、規制改革でも「新しい哲学」が見いだせていないのだ。世界で最
も「風車密度」の高いデンマークでは、風車に反対する声はほとんど聞かれな
い。2つの理由がある。第1に、デンマーク全土が風力発電に関して、地域社
会の合意のもとで土地のゾーニングが行われているからだ。これで大半の紛争
は予防的に回避できる。第2に、ほとんどの風車は協同組合や土地の所有者な
ど地域社会のオーナーシップとなっているため、「外からの開発」ではなく「マ
イ風車」という感覚なのだ。

 「緑の分権改革」が指し示すとおり、今後、小規模分散型である自然エネル
ギーは地域社会に急速に普及していくことが期待されているし、そうでなけれ
ばならない。その「新しい現実」には、デンマークに倣った「新しいルール」
を必要としている。ちょうど携帯電話やインターネットが普及する前には存在
しなかったルールを今、私たちが受け入れているように。

SankeiBizより転載
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100604/ecc1006040501000-n1.htm

                       飯田哲也(ISEP所長)
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