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5.「ベルリンの風」第1回─ベルリン自由大学環境政策研究所
                       山下紀明(ISEP研究員)

 6月からのベルリンは、サッカーワールドカップ(W杯)で持ち切りです。
ほとんどのレストランやカフェにテレビが設置され、多くの人が試合を楽しん
でいます。ドイツの試合がある日には黒、赤、金のドイツカラーに身を包んだ
人々が街を行き来し、ファン・マイレ(Fanmeile)と呼ばれるパブリックビュ
ーイングでは試合展開に大歓声と大絶叫。点が入るとまさに狂喜乱舞で、飲み
かけのビールも宙を舞います。ドイツが快勝した日には、帰りの電車内や駅で
も応援歌を歌ったりでこれまた大騒ぎ。一方でニュースでは政治や経済の話題
が少なくなり、新大統領の誕生という一大イベントも霞んでしまっているよう
です。

 そんな6月のベルリンで、私も同級生達とW杯を楽しみつつも、諸々の手続
きを済ませ無事にベルリン自由大学(FU:発音は「エフ・ウ─」)政治・社会
科学の博士候補生としての登録を終えました。大学の図書館や学内用インター
ネットでのデータベース検索等も可能となり、いよいよ本格的な勉強の為の環
境が整ったところです。そこで今回は、私が主に滞在する環境政策研究所(F
FU:「エフ・エフ・ウ─」)について紹介します。

 FFU設立に大きく貢献した初代所長は「成功した環境政策 エコロジー的成
長の条件」で有名なマルティン・イェニッケ氏(Martin Jaenicke)。現在の所
長はミランダ・A・シュラーズ氏(Miranda A. Schreurs)であり、私の指導
教官でもあります。米国出身のシュラーズ氏は、「地球環境問題の比較政治学─
日本・ドイツ・アメリカ」を書いた著名な比較政治学者であり、英語、日本語、
ドイツ語を自在に操ることも彼女の強みです。また自然エネルギー研究で著名
なルッツ・メッツ氏(Lutz Mez)が長く活動していることから世界でも有数の
研究拠点となっています。
 FFUでの研究活動の特徴的な仕組みとして、コロキウム(Kolloquium 英
語ではColloquium)があります。毎週水曜日の18時から、一人が研究テーマ
の構想や進捗状況について45分程度のプレゼンを行い、1時間ほど全員でデ
ィスカッションを行います。ただし、日本のゼミのような堅い雰囲気ではなく、
軽食と飲み物を用意し自由な雰囲気で行うサロンのようです。これまで私が参
加したコロキウムでの発表テーマは下記です(※()内は筆者の補足)。

 1.「韓国とドイツにおける自然エネルギー政治」(特に風力発電の社会的合
意形成について)
 2.「REDD(森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減)に関するUN
FCCC(国連気候変動枠組み条約)交渉におけるEUのアクター能力の分析」
 3.「省エネ証書 政策の選択と設計における専門家の知識の役割」
 4.「自然エネルギーイノベーションの政治的誘因 地熱発電開発の過程」

 これらはISEPでの研究や活動と重なる議論も多いため、双方への有意義
な情報提供を行えると確信しました。

 博士課程の研究プロジェクトは長く、紆余曲折があるものです。コロキウム
でも、そうした悩みがしばしば投げかけられます。その際にミランダ氏が常に
問うのは、「What is your puzzle?」(何があなたにとっての謎なのか?)です。
その謎は時としてとてつもなく単純であってよい。例えば、なぜドイツでは地
熱発電が進まないのか。次にその謎が社会的に重要な問題である(Is it
relevant?)かが問われます。重要であるからこそ研究に取り組む価値があり、
その成果が社会にも貢献するものとなるということです。その謎を適切な研究
設問に洗練させ、理論と方法論をもって仮説を検証していく。これが博士課程
でなすべきことであり、研究過程で行き詰まったときに、理論や方法論を付け
替えることに傾きがちですが、その端緒であるpuzzleについて常に心に刻んで
おかねばならないということでしょう。私自身も今、「東京のような大都市の先
進的な気候変動政策はどれほどの意義と重要性を持ちうるのか?」という私に
とってのPuzzleを改めて確認しています。

 FFUでの学びと人々との出会いはこれから10年、20年と経つにつれ、
ますます重要になっていくことでしょう。ドイツに居る期間は他の学生の半分
以下ですが、彼らと切磋琢磨しつつ、社会に貢献できる研究に仕上げていくつ
もりです。

FFUウェブサイト(英語サイト)
http://www.polsoz.fu-berlin.de/en/polwiss/forschung/systeme/ffu/index.html

                      山下紀明(ISEP研究員)
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