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6.映画「ミツバチの羽音と地球の回転」
       ─上関原発に反対する祝島の人々が気づかせる本当の幸せ
                       竹村英明(ISEP顧問)

・「ハート形」の島
 「ミツバチの羽音と地球の回転」は、瀬戸内海の西、山口県の南端に中国電力
が建設を予定している上関原発と、それが破壊する貴重な自然、生態系、漁業、
そして原発建設に反対する人々の暮らしをそのまま取材したドキュメンタリー
である。
 建設予定地は瀬戸内海の生態系がほぼここだけ残されているホットスポット。
魚介類、海藻、昆虫そして植物も絶滅危惧種のオンパレード。スナメリの貴重
な生息域でもある。沖縄の普天間基地移設が予定される辺野古のジュゴンと共
に上関・長島の海のスナメリも、日本の自然にこれ以上人間が手を入れぬよう、
静かに主張している。
 予定地の対岸には小さな島がある。空から見るとハート形のその島は「祝島」
というめでたい名前をしている。漁業と農業だけで生きている島である。周辺
の海は魚介類が豊富で、島はその加工品を全国に配送している。島の漁協は漁
業権を売っていない。5億4000万円という漁業保証金も突き返し、漁場を
守ろうとしている。

 原発の計画が持ち上がったのは28年前。2基270万kWという巨大な発
電所はバブルに向かう前の当時は「現実的」だったかもしれないが、電力需要が
伸び悩む現在では必要性は疑わしい。公式な数字とは別に裏費用を含めた建設
費用は1兆円を超えるだろうし、中国電力に取って負担でしかないと思われる。
なぜこんな愚かなことが続けられているのだろうと、改めて考えさせてくれる
映画である。

・原発は温暖化対策か
 中国電力だけではない。この愚かな計画は、山口県知事が埋め立てを許可し
ないと決断すれば止められる。が、知事は祝島の漁民の気持ちはわかると言い
つつ埋め立てを許可。それからは埋め立て工事のための強引な海洋調査が、原
子炉設置許可が出ていないにもかかわらず、はじめられようとしている。
 原子炉設置許可を出すのは資源エネルギー庁。計画の必要なしと言えば止め
られるのだが、エネルギー政策基本法などの政策でむしろ強要している。いま
都合良く使われているのが「地球温暖化」である。鳩山元総理の二酸化炭素削減
方針が原発推進の大号令に使われている。資源エネルギー庁は今後、「温暖化対
策」として2030年までに14基の原発を増設するのだという。
 地球温暖化は2030年まで止まっているわけではない。何もしないで、こ
れから10年もかけて原発をつくっているうちに状況は決定的に悪化するだろ
う。14基にかかる費用は周辺工事を含めて1基5000億円と見積れば、総
額7兆円を超える。自然エネルギーにつぎ込んで、2メガの風車が2億円で建
設できるようにすれば3万5000本も建つ。1基の年間発電量を控え目に
400万kWhとすれば、総発電量は1400億kWh。新設原発の年間発電
量はせいぜい90億kWh(稼働率80%以上)で1260億kWhにしかな
らない。本気になれば、風車の方が数年で実現できることだが。
 風車だけではなく、小水力や地熱、バイオマスに太陽光と7兆円を投資すべ
き先はたくさんある。映画はスウェーデンの取材も交えながら、原発ではない
エネルギーの解決先をきちんと示してくれている。
 仮に14基がちゃんと建設できても、日本は活断層だらけの国である。直下
型地震に見舞われると柏崎刈羽原発のようにほぼ使用不能になる。再稼動でき
てもそれまでに何年もかかる。その間は石油に頼り二酸化炭素を倍加させる。
地震は必ず起こる。それを前提にすると原発は必ず二酸化炭素を増やす。どう
してそのことに気づかないのだろう。

・幸せの新しい尺度を教えられる
 映画は山戸孝くんという若い青年が、祝島に戻り暮らしはじめるところから
はじまる。孝くんは島の原発反対運動の中心である山戸貞夫さんの息子だ。で
も反対運動に魅力を感じず、島を出て働く。島の生活は漁業と農業だが、ひと
たび抗議行動や選挙などになると、それを中心に生活が回る。島の暮らしは反
対運動そのものなのだ。
 若者がそんな暮らしに嫌気を感じるのは当然。父親も反対運動を強制せず、
子供の生きたいように生きて良いと願った。そして島を離れて10数年。孝く
んは結婚相手を連れて島に戻る。外から客観的に「原発ハンタイ運動の島」を眺
めながら、自分が生きて行く場所は「この島」だと悟った。
 島に仕事はない。いまさら漁業を担うたくましさはない。島のおばちゃんた
ちがはじめた海産物の通販の仕事を、得意のパソコンを操りながら手伝いはじ
める。そして子供が生まれ、親子3人が暮らすにはギリギリの収入で、それで
もとても自信を持って力強く生きている。奥さんのお腹には二人目の子ができ
た。孝くんに迷いはない。
 孝くん以外にも、大学の先生を辞めて島に戻り養豚をはじめた人など、何人
かのUターンした人々が紹介される。養豚の豚は荒れ地の開墾もしてくれる。
この方の親は原発推進派であったという。親が亡くなり、その畑を耕しに「原
発ハンタイの島」に戻った。
 反対運動28年という月日は長い。山戸貞夫さんのように人生の大半を反対
運動の中で生きている皆さんが大勢だ。反対と賛成で島が二分され、日常もお
祭りなどの祝い事もズタズタにされたことも経験している。それでも、この徹
底的に闘う漁師さんやおばちゃんたちの姿に、生きることが抵抗というあっけ
らかんとした明るさ、楽しさ、真の自立というものすごさを感じる。だからこ
そ、島に戻る人が生まれはじめているのだろう。
 その人たちに向かって「もう皆さんも年寄りばかりだ。跡継ぎもいないでし
ょう。原発をつくれば皆さんの暮らしも良くなるんですよ。」と、埋め立てのた
めの測量を強行する船上から呼びかける(おそらく人の良い)中国電力社員の
「頑迷な古い尺度」との落差に、一種爽快な滑稽さを見た。そんなすごい映画
だった。

以下に東京周辺での上映会

日時:2010年7月24日(土曜日)
場所:ベルブホール(多摩市立永山公民館) 多摩市永山1─5
042─337-6661
TAMA映画フォーラム特別上映会「ミツバチの羽音と地球の回転」
http://www.tamaeiga.org/
参加費:前売・インターネット予約1000円
    当日:大人1200円 当日こども500円
主催:TAMA映画フォーラム実行委員会 *詳細が決まり次第、随時お知らせ。
問合せ先:http://www.tamaeiga.org/modules/contact/

日時:2010年7月25日(日曜日)
 昼の部:12時30分 開演(12時受付)、夜の部:17時開演(16時30分受付)
 各回上映後、トークセッション!
会場:座・高円寺(B2F/第2ホール)JR総武線「高円寺」駅北口徒歩5分
「ミツバチの羽音と地球の回転」上映&スペシャルトークセッション!in座 高円寺
http://www.connectedcafe.org/
ゲスト:藤村康之(非電化工房)、Yae(半農半歌手)、中村隆市(ウィンドファーム代表)、鎌仲ひとみ監督
参加費:予約1500円、当日1800円(未就学児は無料)
※ 地域通貨『ナマケ』『アースデイマネー』300円分使えます。
主催:『ミツバチの羽音と地球の回転』7.25上映実行委員会
共催:ナマケモノ倶楽部、スロービジネススクール、種まき大作戦実行委員会、Connected Cafe事務局、自治市民'93
問い合せ先:「ミツバチの羽音と地球の回転」7.25上映実行委員会
要予約:メールにて連絡:mitsubachi0725@gmail.com

                       竹村英明(ISEP顧問)
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