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2.連載「光と風と樹々と」(25)
   「崩壊感覚」─────「政権交代」の現実
                長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)

■「仕分け」されるのは鳩山首相───参院選敗北・退陣へ
 普天間問題の迷走の果てに予想されるのは、7月の参院選で民主党が大敗し、
その責任を取る形で直後に、鳩山首相が退陣に追い込まれることだ。今度の参
院選は、有権者が鳩山内閣を「仕分け」する格好の場となろう。民主党の選挙
戦を支えてきた浮動票とゆるやかな支持者と労組票、いずれもが激減するだろ
う。各社の世論調査の内閣支持率急落が示しているように、浮動票とゆるやか
な支持者は5月中旬までの段階で鳩山民主党を見放しつつあったが、5月28
日の辺野古移設の閣議決定は、これらの層の鳩山離れをより加速する。しかも
福島社民党党首の罷免と社民党の政権離脱は、平和労組系の労組票離れをもた
らすことになる。
 この予想どおりなら、安倍内閣以降4代の内閣が続けて1年以内に辞任を余
儀なくされるという異常事態が続くことになる。
 しかも民主党大敗が意味するのは、参院は野党自民党が多数を握るというこ
とである。安倍・福田・麻生の3内閣が、衆院では300議席余りを持ちなが
ら、2007年の参院選に敗れて、参院を野党民主党に握られ、解散もできず
にいずれも早晩行き詰まったのと、民主党と自民党が入れ替わっただけで、ま
ったく同じ事態が生じることになる。政権を失うのがこわいために解散もでき
ないという状況もそっくりとなろう。鳩山首相の次の総理大臣に誰がなるにせ
よ、これから3年間、混乱と低迷が続く。国民は、既視感的な悪夢に再びさい
なまれるのだ(「光と風と樹々と」(23)「新たな「失われた4年」──自民3
00余議席の呪縛(2009年6月)」参照)

■6月初旬の退陣も
 現時点(5月30日に執筆している)で、こうした事態を避ける手立てはあ
るだろうか。先手を打って鳩山を参院選前に退陣させる手があり、実際、渡部
恒三元衆院副議長は29日に鳩山首相の自主的な辞任を求める発言をしている。
この週末に選挙区に帰った議員達から、鳩山=迷走総理の看板では参院選を戦
えないという声が一気に噴き出す可能性も高い。交替させるなら一刻でも早い
方がいいから、6月初旬に退陣というストーリーも予想されないわけではない。
その場合には、鳩山退陣と引き替えに、社民党の閣外協力と参院選での選挙協
力を求めることになろう。
 しかし対外的には、日米共同声明を出した直後に首相が政権を放り出したと
いう形になり、国内的には、選挙目当てに表紙だけ替えたという批判が出るか
ら、小沢幹事長がそこまで踏み切れるかどうか。参院選で民主党大敗というこ
とになれば幹事長の辞任も避けがたい。参院選がひどくきびしいという読みを
すれば、小沢サイドは、起死回生を狙って、参院選前の鳩山退陣という策に出
るのではないか。小沢側近の細野豪志副幹事長が29日に「週明けにはいろいろ
な議論があると思う」と鳩山早期退陣の可能性を示唆したのは、その証左であ
る。

■看板倒れの首相が4人続くと
 すでに多くの紙誌で論じられているように、左右いずれの立場から見ても、
鳩山首相の見通しの甘さやお粗末ぶりは、「悲惨」であり「滑稽」ですらある。
党首としての発言や首相としての発言がゆくゆくどのように政権を拘束するの
かの自覚に乏しい者が、党首や首相としての基本的な資質を欠くことは言うま
でもない。
 期待した「政権交代」や「政治主導」がこんなにも不様で、看板倒れなもの
なのか。多くの国民が愕然としている。そもそも母親から5年間で約9億円の
政治資金の提供を受けながら秘書に責任をなすりつけ「全く知らなかった」と
いうような政治家に、まともな政治ができるわけがないだろう。
 実際知っていて「知らない」ことにしているのなら国民を欺いていることに
なるし、本当に秘書任せで「全く知らなかった」のだとしたら、これ以上、愚
かなことはないだろう。「知らない」ですんでいること自体がおかしい。これだ
けの政治資金の提供を受けながら、母親も本人もお互いに知らないふりをとお
して、政治資金の提供については話題にもしないできたのだとするならば、全
く奇妙な親子関係である。
 鳩山由紀夫という人間の色々な見通しの甘さは、こういう甘やかされて育っ
た生育歴と無縁ではない。基本的な漢字の誤読も正されずに首相になった麻生
太郎と「目くそ鼻くそ」というべきである。
 基本的な資質を欠く首相が4人も続けば、国力が衰退するのは必定である。
総理大臣を祖父に持つ3人の首相(安倍・麻生・鳩山)は、3人とも「不合格」
だった。総理大臣の息子(福田康夫)もまた「不合格」だった。

■野党もまた
 かたや野党はどうか。民主党と同様にタレント候補頼みであることが示すよ
うに、自民党も、新しい政党もいずれも苦し紛れであり「悲惨」で「滑稽」で
ある。「みんなの党」「たちあがれ日本」はひらがな名の中にしか活路を見いだ
せず、「日本創新党」「新党改革」の党名は新しいということしか表明しえてい
ない。わが国における政治を語る言葉の貧弱さの何よりの証拠である。
 参院選挙の投票率は、前回は58.64%だったが、今回はおそらく投票率が
低下し、50%台の前半か50%を下回ることになるだろう。有権者の虚脱感、
白け感は覆いがたい。

■退陣後の引退を約束してきたが
 ちなみに、鳩山首相は昨年7月26日に、首相に就任した場合は退陣後は、
その後も影響力を行使するのを避けるために、その後の衆院選には出馬せず政
界を引退することを明言している。ころころと発言を変える人だけに到底信用
はできないが。
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009072601000521.html

■下り坂を転げ落ちる日本
 坂道を転げ落ちるように、日本の政治と国力は、急激に下り坂を転げ落ちつ
つあるのではないか。わたしたちが見ているのは、ジェットコースターから見
下ろす「坂の下の泥沼」である。
 インターネットのニュースをクリックするたびに、紙面を開くたびに、暗澹
たる「崩壊感覚」を拭いがたいこの頃である(2010年5月30日記す)。

                長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)
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