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4.欧州風力エネルギー会議レポート
        古屋将太(Aalborg University PhD student/ISEP fellow)

5月20~23日にかけて欧州風力エネルギー会議がポーランドのワルシャワ
で開催されました。あいにくアイスランドの火山噴火の影響で欧州各地の空港
が閉鎖されていたため、私を含め多くの人たちが現地に行くことができません
でしたが、参加登録者にはインターネット上でのストリーミング中継が提供さ
れ、会議の様子を見ることができました。

初日の後半に行われた「社会的受容性向上のための戦略(Strategies to
increase social acceptance)」のセッションでは、IEA Wind Task28が中心
となって、近年問題が顕在化しはじめている風力発電反対運動を主題として議
論が行われました。

気候変動対策や持続可能な発展の政策目標を達成する手段としての自然エネル
ギー、その中でもすでに成熟した技術である風力発電は、一般的な認識として
は受け入れられているものの、実際に具体的なプロジェクトが地域で実施され
る段階になるとさまざまな角度から反対運動がおこり、プロジェクトを進める
ことができなくなってしまうという状況が世界各地で発生しつつあります。こ
の問題について、IEAWind Task 28では、各国のこれまでの経験・知見を集約
し、どのような論点があり、どのように問題を克服することができるのかを模
索しています。具体的には、「分配正義(DistributionalJustice)」と 「手続
き正義(Procedural Justice)」の2つの論点が提示されていました。

「分配正義」とは、風車の設置によって生じる「利益」と「負荷」がステーク
ホルダーの間で納得のいくかたちで分配されているのかどうかを考える視点で
す。風力発電事業の利益が一部の関係者のみに集中し、地域の人々に負荷(騒
音、生態系への影響、景観への影響など)が集中するかたちでは、地域の人々
は納得できないでしょう。もちろん、負荷は予防・最小化することが前提です
が、まったく社会に影響を与えない技術というものはあり得ないので、この点
でステークホルダーが納得できるかたちをどのように知恵を絞って作り上げて
いくことができるかが課題であるといえます。

「手続き正義」とは、風力発電事業計画の作成、環境影響評価、許認可の取得、
風車の設置、運転開始後のモニタリングなどの一連のプロセスが法令に沿って
実施されると同時に、地域のステークホルダーに対して実質的に説明責任が果
たされているかどうかを考える視点です。風車の設置が地域に何らかの影響を
与えることを100%避けることができない以上、そのプロセスは地域のステ
ークホルダーに対して開かれたものである必要があります。また、法令は必ず
しもすべてのリスクを想定できるわけではないので、法令の範囲外で地域に固
有の問題が生じるようであれば、その問題をプロセスの中で検討できるような
機会を設ける必要があるでしょう。

この数年、日本国内でもこうした問題が顕在化しつつありますが、気候変動と
いうグローバルな課題を視野に入れつつ、風力発電への賛成/反対という単純
な構図を乗り越え、国外の経験にも学びつつ、風力発電の「あるべき姿」と「現
実」とのギャップを埋めるアプローチを模索していく必要があります。

■参考URL
欧州風力エネルギー会議 2010
http://www.ewec2010.info/

IEA Wind Task 28
http://www.socialacceptance.ch/

         古屋将太(Aalborg University PhD student/ISEP fellow)
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