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5.COP15でUN(国連)とデンマークは市民社会の信頼を失った
        古屋将太(ISEPフェロー
           /Aalborg University PhD student・デンマーク在住)

デンマークは市民風車の発祥地であり、オーフス条約に代表される「参加民主
主義」の模範となる国であり、COP15には世界の多様なNGOの参加によ
る「開かれたプロセス」が期待されていた。しかし、その期待は「NGO排除」
によって完全に裏切られた。

12月14日(月)の午前10時に私はコペンハーゲン空港に到着し、その足
で会場のベラ・センターに向かった。すると、そこには入場登録のために数千人
の行列があった。最後尾にいた警備員は「正確にはわからないけど、3時間以
上はかかると思います」と言う。他に入場する手段もないので、午前11時ご
ろに並びはじめたが、その日はアナウンスもないまま、5時間近く寒空のもと
待っていたものの、結局ゲートは閉められ、入場することができなかった。空
腹に加え、両足は凍ったように感覚がなくなっていた。

翌日15日(火)は午前9時から並びはじめ、雪まじりの寒風吹きさらす屋外
で4時間、セキュリティチェックと入場登録の列に屋内で4時間の合計8時間
かかって入場することができた。ちなみに、セキュリティチェックの機械は
20台以上設置されていたが、NGOのチェックには、たったの1台しか使わ
れていなかった。また、入場登録の手続きはパスポートを提示し、受け取った
紙に顔写真を撮影・印刷するという手続きだったのだが、これ自体は5分程度
で済むものであった。しかし、登録の列には数千人がいるにもかかわらず、N
GOの登録手続きカウンターは、たった4つしか用意されていなかった。

そして、16日(水)は、午前11時にベラ・センターに到着したが、私の2
~3メートル手前でゲートが閉じられ、再び列がはじまっていた。すぐ側で
「Climate justice!」と叫ぶ小規模なデモ行進があったらしく、これを警戒し
てゲートが閉じられたとのことだった。そして、そのまま待っていると、NG
O・メディア・国の派遣員にかかわらず、すべて入場が止められ、ゲート付近
は騒然とした。私のすぐ横ではイタリアの大臣が列をかき分けて入ろうとする
が、それもままならない状態だった。1時間近くその状態が続いた後、UN(国
際連合)の担当者が「デモを理由にその日のNGOの入場は不可能となった」
とのアナウンスを行い、大臣とメディアは入場し、NGOはゲート前に取り残
された。結局、この日以降、NGOの入場は実質的に不可能となり、「開かれた
プロセス」は「NGO排除」によって閉ざされてしまった。

そもそも15,000人収容の施設に2倍以上の登録があったことは、ロジス
ティックを担当するUNによって把握されていたはずであり、もっとスムーズ
な対応ができたのではないだろうか。また、閣僚・首脳が集まる段階になって
セキュリティを上げることは理解できるが、その方法にはまったくと言ってい
いほど説明がなく、非常に乱暴な印象を受けた。また、セキュリティを上げた
ところで、私の横で大臣が入れなくなっているようでは、まったくお粗末なセ
キュリティであると言わざるを得ない。

一方で、NGOの参加のあり方も一考の余地がある。デモ行進によって意思表
明を行うことはひとつの方法であるが、そういった方法が馴染まない局面もあ
るということを考える必要があるだろう。

これまでのデンマークでの生活の中で「参加民主主義」を実感することは多々
あったが、気候変動対策の国際交渉という重要な場で「NGO排除」が起こり、
それを自ら経験することになるとは思ってもみなかったことであった。

        古屋将太(ISEPフェロー
           /Aalborg University PhD student・デンマーク在住)
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