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2.COP15/COPMOP5における交渉の概要、
                  そして、NGOの交渉への関与
         澤木千尋(ISEPインターン
           /Lund University, IIIEE master course student)

 12月7日から18日まで、COP15/COPMOP5がデンマーク、コ
ペンハーゲンのベラ・センターにおいて開催された。今回の会議では、気候変
動による被害が各地で発生している中、気候変動枠組条約京都議定書に続く
2013年以降の枠組に関して合意するための重要な会議であった。

今回の会議では、以下の6つの会議が開催された。

 1.気候変動枠組条約締約国会議(COP)
 2.京都議定書締約国会合(COP/CMP)
 3.実施に関する補助機関会合(SBI)
 4.科学的、技術的助言に関する補助機関会合(SBSTA)
 5.条約の下での特別作業部会(条約AWG)
 6.議定書の下での特別作業部会(議定書AWG)

 最も注目を集めた、京都議定書の2013年以降の次期枠組に関する交渉は、
条約AWGと議定書AWGで行われた。

■一週目
 8日(火曜)、英国のガーディアン紙がスクープした、デンマーク・テキスト
(ラスムーセン・テキストと呼ばれていた)が話題となり、会議2日目から会
場内はざわめきだった。これは、政治的なコペンハーゲン合意を目指すという
もので、内容は非常に弱いものであり、更に交渉のプロセスを無視し、透明性・
公平性の欠如するものであった。
 しかし、1週目の12月11日(金曜)に、議定書AWGと条約AWGの議
長から、それぞれの成果を報告する合意文書案が議長により提示された。この
草案は、バリ行動計画の5つの要素(長期ビジョン、適応、緩和、資金、技術
移転)について、各国の意見を基に作成された。条約AWGの草案は、途上国
および先進国双方の意見をとりいれていたが、日本・アメリカ・オーストラリ
ア・カナダなどの先進国は、緩和の項目や起用と議定書第二約束期間は受け入
れられないとして、強く反対した。これに対しツバルは、翌日12日(土曜)
のCOP総会において、涙で途上国の受ける気候変動の影響を訴え、法的拘束
力のある結果を条約・議定書の両方で採択するためのコンタクトグループの設
置を求め、会場からは大きな拍手が揚がった。

■二週目
 二週目に入り、条約AWG及び議定書AWGのドラフティング作業も、ほと
んど進展できないまま、その作業を終えるべき15日(火曜)を迎えた。議定
書AWGは、ほぼ変化のない文書をもって会合を終えたが、条約AWGは夜9
時半に開催されると予定された会合が翌日の午前4時になってようやくスター
トされた。
 16日(水曜)に、全体会合において、コニー・ヘデゴーが議長を辞任し、
ラスムーセン首相に引き継ぎがなされた。同日から、インフォーマルな閣僚級
会合が始められたが、会合の透明性などに疑惑の声が上がり、交渉は難航を示
した。17日(木曜)には、COPおよびCOPMOPの総会において議定書
AWGと条約AWGのそれぞれにコンタクトグループが作られ、コニー・ヘデ
ゴーが議長を務めた。18日(金)に、コペンハーゲン協定の文書案が出され、
頻繁に修正された。しかし、COPにおいて、コペンハーゲン協定の留意が採
択され、また、条約AWGの議論をCOP16まで延長することが合意された。
COP/MOPでも、議定書AWGの延長が合意された。また、各国の首脳の
演説が行われた。会議が終了したのは、予定よりも1日延長された、19日(土
曜)であった。

このように、結果としては「コペンハーゲン協定」も採択できないままCOP
15は閉幕したが、今回目指されるべきであった合意形態、そして、合意内容
は以下のようなものであったことは留意されたい。

■目指されるべきであった、特に重要な合意内容
・気温上昇を2度未満に抑え、温室効果ガスの濃度を最終的に350ppmに
抑える。そして、2013-17年の間に排出のピークを迎え、2050年に
は1990年比で少なくとも80%削減する。
・途上国の適応及び削減目標達成のために資金援助を約束する。
・法的拘束力、強制力を伴うコペンハーゲン合意を採択する。そのために、強
力な遵守メカニズムと、広範な支援を有する京都議定書の第二約束期間を継続
する。

■目指されるべき合意の形態
 目指される法形式として、1)一つの議定書か、2)京都議定書の改正及び
新しい議定書の2つの形式があげられる。双方メリット・デメリットがあるが、
重要であることは、野心的で拘束力のある、きちんとした内容が含まれている
ということである。すなわち、特に先進国の目標の強化、アメリカの野心的な
目標の設定、主要途上国の行動をMRV(測定・報告・検証)し、積極的な行
動を担保し、約束の実質的な拘束力を確保することである。
 そして、上記のような法的拘束力のある議定書が採択されるために、コペン
ハーゲン合意として、政治合意ではなく、法的拘束力のある合意が求められて
いた。

■ 国際交渉におけるNGOの活動
 気候変動枠組条約京都議定書において、NGOのオブザーバーとしての参加
が規定されており、会議の実質的な透明性、そして、NGOを通しての市民社
会への説明責任の担保のために、NGOの参加は非常に重要な役割を果たして
いる。
 Climate Action Network(CAN)は世界80カ国、500団体近くのNG
Oが参加しているネットワークであり、CAN Japanとしては8団体が
参加し、ISEPもその一員として国際交渉において活動している。
 CANでは、気候変動政策や交渉の分析、会議場におけるロビー活動、ニュ
ーズレター「ECO」の発行、そして、その日一番交渉を妨げた国に捧げる化
石賞を授与するなど、気候変動問題への関心を高める啓発活動も行っている。
また、CAN Japanでは、毎日のミーティングで最新の情報を共有し、
政府との意見交換、プレスブリーフィングなどを行っていた。
 今回日本でも注目されたが、各国においてNGOが政府代表団に入ることも
しばしばあり、これは、NGOの高い専門性が評価されているということであ
ろう。
 このように、NGOは国際交渉において多くの役割を担っている。そのため、
今回のNGOに対する対応は、条約交渉におけるNGO参加の歴史における悪
しき事例と言わざるを得ないであろう。

         澤木千尋(ISEPインターン
           /Lund University, IIIEE master course student)

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