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1.自然エネルギー2004第2日:さまざまな「中間領域」(飯田哲也、ISEP所長)

自然エネルギー2004の基調テーマは、やはり「目標値」と「政策措置」である。
本会議での動きは明日からの報告でお伝えする予定だが、私自身もパネリストと
して参加して2日に行われたWWIサイドイベントで、日本の自然エネルギー電力
の目標値が2010年でわずかに1.35%と1ポイント増にすぎず、これは毎年ではな
く全期間にわたる目標であると述べると、会場からは思わず失笑が漏れた。さら
に、5月17日に総合資源エネルギー調査会が報告した2030年の見通しでは、1.35
%が1%に減るシナリオがあることを説明すると、会場は反応を失い、しんと静
まりかえったのである。それもそうだろう。自然エネルギーは現実に急増しつつ
あり、それをさらに加速させるために、政策、ファイナンス、ビジネスはどうあ
るべきかを議論している中で、長期的に自然エネルギーが減るということは、エ
ネルギー政策に保守的な層ですら、想像だにしないことなのだ。なお、このWWI
サイドイベントは、ISEPも共催して、日米欧それに途上国の成功例や失敗例から
の教訓を共有する場としてデザインされたもので、概要は小圷報告を参照してい
ただきたい。・・と、ここまで書いたところで、欧州委員会のレポートが配布さ
れたのだが、そこには「欧州連合(EU)は2020年までに自然エネルギーの比率を
20%に高める努力をする」という目標が書き込まれていた。

こうした「異質な日本」はさておき、自然エネルギー2004全体をとおして、さま
ざまな「中間領域」を見ることができる。たとえば、一つは「政治」から「ビジ
ネス」への流れである。とりわけ、IEA(国際エネルギー機関)が今後30年で電
力分野に生じる投資の約50%、5兆ドルもの投資が自然エネルギーに行われると
いう見通しをうけて、本会議の中でも、また主要な関連イベントでも、「自然エ
ネルギーへのファイナンス」が大きな関心事となっていることは、新しいトレン
ドである。内容は村上報告に譲るが、本会議場から直線道路で200m離れている
ポストタワーと呼ばれるファイナンスイベントの会場は、ボンには似つかわしく
ないガラス張りの高層ビルで、シティやウォール街の「ビジネス・エグゼクティ
ブ」といった風情のオランダや英米からの参加者が多いのに対して、欧州的な政
治家や各国代表、それに市民団体の入り交じった本会議場とは、微妙に「空気」
が違っている。この政治からビジネスへの遷移的な「中間領域」に、たとえば途
上国に対して金融の専門的なスキルを持った「ファイナンスNPO」が登場するな
ど、興味深い萌芽をみることができるのである。

また、初日の大林報告にあるCURESと呼ばれるNGOの活動では、気候変動のロビー
イングを行っている各国のNGOが中心となっているのだが、ここにも微妙な「中
間領域」がある。気候変動のロビーイングを行っているNGOは、国際交渉のプロ
であり、論点をうまくフォーカスし、政府にさまざまなチャネルで交渉すること
が得意である。これがCURESの強みであり、政府に圧力をかけるには有効なのだ
が、一方で自然エネルギー2004には、こうしたアプローチだけではカバーしきれ
ない領域がある。前述の「ファイナンスNPO」や自然エネルギーの普及プロジェ
クトを実践している「コミュニティNGO」、そして自然エネルギー事業を行って
いる「ビジネスNPO」などは、この場から新しい協働やイニシアティブやアイデ
アが生まれることを期待している。こうした、「ロビーイングNPO」と「プロ
ジェクトNPO」のパラレルな存在が気候変動交渉との最大の違いであり、面白い
「中間領域」と言えよう。

「政府」と「政治」との中間領域もある。笹川報告にあるように、2日は、世界
国会議員フォーラムが行われ、日本からも4名の国会議員と1名の県会議員が参
加し、透明人間のように日本政府の存在が見えない本会議とは対照的に、大きな
プレゼンスを示していた。中でもすべてのスピーチをとおして最大の拍手で歓迎
された河野太郎議員のスピーチは、(私自身は後で録音を聞いたのだが)内容も
さることながら、「ようやく国際政治のなかで、規範性において対等以上の役割
を果たせる日本の政治家が登場してくれた」という深い感慨とともに、新しい時
代の扉が開く予感を感じさせてくれたのである。実際に、初日の報告でも述べた
とおり、政府そのもの非効率で障害となっていることは、あちらこちらで指摘さ
れている。ファイナンスイベントでであった日本の某金融関係者も、「政府が非
効率なのはこちらも同じだが、日本政府もせめて補助金ではなく、欧州のように
はっきりとした政策スキームをつくって欲しい」と訴えていた。レスター・サラ
モンの指摘する21世紀社会における「政府の後退」と「第3領域の台頭」は、自
然エネルギーの世界では明瞭になりつつあるようだ。

<< 6月2日(水)本会議プログラム >>
テーマ:【各国の成功事例報告】

(9:00-10:30)
本会議IV A 自然エネルギー市場を育てる政策(電力部門)
(11:00-12:30)
本会議IV B.自然エネルギー市場を育てる政策(熱と運輸部門)
(14:00-15:30)
本会議V A. 自然エネルギーに対する投融資オプション
(16:00-17:30)
研究開発(R&D)、制度、能力開発(キャパシティービルディング)

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