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「自然エネルギー100%コミュニティー」
~クレタ自然エネルギー島会議に参加して~ 
研究員 中島正明


5月26-28日の3日間、ギリシャのクレタ島で、「島のための自然エネル
ギー、観光、水資源に関する国際会議(International Conference, RES
for Island, Tourism & Water)」が欧州再生可能エネルギー協議会の
主催で開かれた。31カ国から総勢 175人 の研究者、事業者、政治家、
学生などが集まり、技術、政策など様々な視点から、島 という環境にお
いての自然エネルギー導入についてのプレゼンテーションや意見交換を
行った。会議では、島における自然エネルギーの導入、海水淡水化、3)
観光、という持続可能な島社会の構築に深く立体的に関わる3つのテー
マに分けられて議論が展開された。
会議の中で何度も強調されたことは、島での自然エネルギー利用と島
の持つニーズが お互いに呼応しあうということである。島嶼地域では特
有の地理条件など様々な要因 があるため、自然エネルギーの利用や
エネルギーの効率利用が大変重要な意味を持 つ。比較的高価なエネ
ルギーコストの削減、外部からの資源への高い依存体制の緩和による
エネルギー供給の安定化、設備導入や管理運営に伴う雇用の増加、エ
ネルギー の輸入量削減による資本流出防止や自然エネルギー産業に
よる経済の活性化、 そして 高い環境保全効果等、自然エネルギーの
導入は島に多くの利点をもたらすことができる。逆に言えば、外部から
の化石燃料に依存し続けることは、資金の外部への流出、 環境破壊を
引き起こし、エネルギーの安定供給を揺るがすことになり、持続可能な
開発とは外れた道を歩むことを意味する。
G8再生可能エネルギータスクフォースなどの報告書では、自然エネル
ギーの導入の障壁は、経済的なものというより、政治的あるいは単にネ
ットワーキング不足、そうした技術の情報共有不足ということも指摘され
ている。こうしたことは島に限らず、 様々な形のコミュニティーでも同じで
あろう。日本も7,000近い島々からなる世界有数の島嶼国であり、一次
エネルギーの80%以上を外部依存している状況は、一刻も早く改善され
なければならない。このため、上記様々な要因も含め、島などのコミ ュ
ニテ ィーのレベルで自然エネルギーを促進していくことは大変望ましい
といえるし、欧州の持つ制度や概念は参考になる。
欧州委員会は、2010年までに再生可能エネルギーによる供給を12%
へと倍増させる数値目標を伴った政策(白書)を、1997年に公表した。
この中では、エネルギー政策だけでなく、環境政策、雇用政策などの
様々な政策領域を超えた政策統合の必要性を強調し、再生可能エネ
ルギーの促進を地域発展の根幹を成すものとして位置づけている。20
01年には指令が採択され、加盟各国に導入目標値が割り当てられ、
これが今日の欧州の自然エネルギー政策やプログラムの基本をなす
ものとして機能している。
欧州ではマーストリヒト条約からも読み取れるように、地域からの取り
組みを重視しており、様々な政策によって地域が主体的に自然エネル
ギーの普及を行いやすい土壌が整えられているといえる。会議の中や、
廊下での話でも欧州委員会と自治体や後述する環境エネルギー事務
所の距離感が日本に比べて近く感じられた。また、制度を見ても日本
が参考にできる点があると感じた。欧州では、欧州委員会の定めた自
然エネルギー普及のための地域主導型のプログラムや指令を加盟国
または自治体が実施していくという体制を基本的にとっている。そして、
この協力関係の受け皿として重要な役割を担っているのが、エネルギ
ー環境事務所である。エネルギー環境事務所 は、地域による主体的な
活動が重要という観点から、すでに欧州全域で 200箇所を超える地域
に設置されており、住民の合意形成や他地域との対話促進、そしてプロ
グラ ムの実施などを行っている。また、アイルネットなどのこうしたエネル
ギー環境事務所をつなぐネットワークも存在し、情報共有などを効果的に
行っている。
日本でも、地域との本当の意味での協力関係を構築し、自然エネルギー
100%コミュニ ティー構想を立ち上げることは可能なはずだ。上記したよう
な環境エネルギー事務所を設置または併設し、地域が任意で自然エネ
ルギー導入、省エネルギー達成目標値などを設置して透明性や情報公
開、市民参加を保障しながら相互的に協力しながら取り組んでいく。そし
て情報交換や交流のためのネットワークを形成する。こうしたことが可能
になれば、経済効果、地域活性化、そして環境保全、そして日本に適合
しながらも必要かつ新しい風土の導入など多大な効果が期待できる。
日本のエネルギー政策を国に任せておくのではなく、より多くの自治体
が自然エネルギー導入計画 を自分たちで策定し、様々な効果を生んで
いけるような日本になること。そして今回のクレタ島であったような会議
も日本で開催され、デモクラシーを伴った自然エネルギー導入が促進さ
れる日が来ることを願う。


Sources:
「Towards 100% RES Supply on Samsoe, Denmark」Soren Hermansen
「北欧のエネルギーデモクラシー」飯田哲也
「Proceedings of RES for Islands, Tourism, Water」 EREC
「2010年自然エネルギー宣言」「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク
「Final Report」G8再生可能エネルギータスクフォース
「エネルギー・経済統計要覧」 日本エネルギー経済研究所 計量分析部編
COM(97)599 final (26/11/1997) 「White Paper for a Community Strategy
and Action Plan」 欧州委員会
「Treaty on European Union」

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