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3.連載「光と風と樹々と」(24)-中国NGOのダイナミズム(1)
               長谷川公一(環境 社会学者 東北大学教員)

 この7月19日から26日まで、中国社会学会年次大会に 招かれて、西安と
北京を訪れた。北京では、私の教え子で、長春生まれで、駒沢大学で教鞭をと
り、日本と中国のNGO/NPOの比較研究をしている李妍ヤン(ヤンヤン:
2つめのヤンは火が3つの漢字)さんの案内で、2つのNGOを訪れて、とて
も印象深かった。

■風力発電急増のダイナミズム--中国と日本の好対照
 中国のダイナミズムといえば、2008年末の中国の風力発電の設備容量は
1221万kWと米・独・スペインに次ぎ、インドを抜いて第4位に躍進した。
http://www.thewindpower.net/
 2003年末時点では56.7万kWで、日本(50.6万kW、当時10
位)を抜いて9位だったが、04年末76.4万kW(前年比34.7%増)、
05年末126.6万kW(同65.7%増)、06年末259.9万kW(同
105.3%増)、07年末591.2万kW(同127.5%増)と急増を続
けている。08年末は前年比106.5%増だった。この3年間、驚異的な倍々
ゲームを続けてきたのである。この5年間で、21.5倍にも増大した。
2009年末にはスペインを抜いて、世界第3位に躍り出る可能性が高い。
 02年末まで中国よりも上位にあった日本は、03年末と08年末の比較で
は3.7倍増にとどまり、フランス、ポルトガル、カナダにも抜かれ、03年
から施行された「新エネルギー利用特別措置法」が経産省・電力会社の思惑ど
おりの「成果」をおさめ、13位へと「着実に」後退している。近年堅調なオ
ーストラリア、アイルランドに抜かれ、15位に後退するのも時間の問題だろ
う。

■中国の台頭と日本の後退
 オリンピックのメダル争いのような記述で気がひけるが、現在世界第3位の
中国のGDPは、早ければ09年末には日本を抜いて、世界第2位になるので
はないか、と予測されている(IMFのデータ)。
 今年の4月にロンドンで開かれたG20の金融サミットの国際プレスセンタ
ーでは、これまで世界の3大金融センターとして、アメリカ東部(ニューヨー
ク)とロンドンと東京の時間が表示されていたのが、今回から東京に代わって、
北京時間が表示された。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090402/chn0904022304007-n1.htm
 経済面でのアジアの代表は、これまでは日本だったが、中国が日本をしのぎ
つつある。
 中国のダイナミズムというと、このように環境関係や経済関係の話題が多い
が、ここでは草の根的なNGO/NPOのダイナミズムにも注目したい。

■グローバル化社会の中国のNGO
 最初にたずねた Shining Stone Community Action は、2002年12月に
発足したNPOで、都市コミュニティでのガヴァナンス改革を組織の目的にし
ている。李妍ヤンさんはこの団体の顧問の1人である。
 ガヴァナンスは中国語では「治理」と表記する。日本におきかえれば、政令
市の区の下の支所レベル(中国では「街道」という)での地域づくりや地域支
援の活動を行うNPOである。コミュニティ・リーダーやソーシャル・ワーカ
ーの研修や養成、コミュニティ(日本では小学校区的なものをイメージすれば
いいだろう)レベルでの住民参加の推進が主な活動である。
 スタッフは12人、中国語と英語が同量の48頁の Annual Report を出して
いる(日本で、海外援助活動を行うNGOや国際的なNPOを除いて、しっか
りした英語のAnnual Report を出しているNGO/NPOがどれだけあるだろ
うか)。2008年の財務報告をみると、フォード財団から119万元
(1785万円(1元=15円で換算))、アジア財団から52万元など、
海外の財団から少なくとも8件、計214万元(3210万円)もの助成を受
けている(07年向けの助成金も含む)。収入の88%は、海外の財団の助成金
による。同行した横浜のアリスセンター(まちづくり情報センターかながわ)
監事などを務める早坂毅さんともども驚いた。仮に北京の物価水準を日本の
2/3程度とすると、年間予算3000万円規模の日本のNPOに相当すると
みることができる。私が理事長を務める、常勤スタッフ6人の、財団法人みや
ぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)とほぼ同規模の予算額である
(ストップ温暖化センターみやぎ(宮城県地球温暖化防止活動推進センター)
分を含む)。
 海外援助や国際的な活動に特化した団体を除くと、日本のNGO/NPOの
ほとんどは、国内志向的であり、海外から助成金を得ることはまずあるまい。
だから英文の Annual Report の必要性は低い。地域支援活動に特化した草の根
的なNPOが、これだけグローバルな資金を受けていることは日本の感覚では
信じがたい。ドイツのNGOから毎年アドバイザーの派遣も受けている。昼食
をともにしたドイツ人アドバイザーは、数年学んだだけだというが、とても流
暢に中国語を話していた。英文の Annual Report も、ドイツ人アドバイザーの
支援の賜なのだろう。
 中国にはNGOがないという類の言説は、中国には自然エネルギー発電がほ
とんどないというのと同じようにもはや古い神話である。
 いわば日本の東工大に相当する清華大学の近くには、「谷歌」(グーグルの中
国語表記)やマイクロソフト社などのIT産業のオフィスが集中している。そ
の前で、リヤカーが桃やすももを売っていた。いろいろなレベルで、1950
年代と2000年代が隣り合わせで、同時に併存している所に中国のダイナミ
ズムがある。

   「谷歌」(グーグル)のビル前リヤカーの桃すもも    冬虹(とうこう)

               長谷川公一(環境 社会学者 東北大学教員)


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