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1.風発:低炭素社会に向けた「第3のネットワーク」
                       飯田哲也(ISEP所長)

 「スマートグリッド」が熱くなっている。スマートグリッドとは、インター
ネットなど情報通信技術と太陽光・蓄電池などの分散型エネルギー技術を活用
して、電力ネットワークシステムを革新するという構想である。オバマ米大統
領のグリーン・ニューディール構想に盛り込まれて以来、脚光を浴びている。
 スマートグリッドが実現すれば、風力発電や太陽光発電などの分散型の自然
エネルギーが普及して行くとともに、そうした発電の変動を電気自動車のバッ
テリーが調整する機能も果たすことで、「分散型エネルギー革命」が進展すると
考えられている。また家庭には「賢い電力メータ」が備えられ、無駄な電気が
削られるなど省エネルギーも進むと考えられている。
 交通ネットワーク、インターネットなど情報通信ネットワークと並ぶ「第3
のネットワーク・インフラ」であり、今後の低炭素社会で欠かせない社会イン
フラとして、インターネットで見られた産業と社会のイノベーションの核にな
ると期待されている。
 ゼネラルエレクトリックなどの重電メーカはもとより、早くから名乗りを上
げているグーグルに加え、IBM、シスコといったIT界の巨人が次々に参入
し、早くも戦国時代の様相を呈しはじめている。日本でも、経済産業省や電力
会社、そして重電メーカ、IT企業などが目の色を変え、雪崩を打って参入し
つつある。
 ただし、実現の道のりは平坦ではない。カギは「4つのオープンシステム」
が握っている。もちろん第1には電力ネットワークだが、従来のような供給側
(大規模な発電所)から需要側に一方通行に流れるのではなく、必要に応じて
双方向に電力が流れる「賢い送電網」でなければならない。第2に、発電や需
要の情報を流通させるインターネットだ。第3に太陽光発電や蓄電池などの「分
散型エネルギー技術」、そして第4にオープンな電力市場だ。
 最も重要な電力ネットワークは、どこの国においても歴史的に「規制と独占
の固まり」である。1990年に欧州、そして米国で始まった「電力市場改革」
を通して、発送電分離(発電機能と送配電機能との分離)や送電機能の独立化・
中立化が進展してきたが、なお途半ばである。まして日本は、大きく立ち後れ
ている。
 また従来は、需要側が必要とする電力を供給する、という「安定供給」を至
上命題としていたが、これが双方向で、しかも「必要な時に利用できるところ
から」という、まったく新しい発想に変わることになる。これまでの専門家や
業界の人ほど、発想の転換に時間がかかるのではないか。さっそく、「日本はす
でにスマートグリッドだ。」、「日本型スマートグリッド」といった発言が聞こえ
てくるようになったが、とんでもない勘違いである。むしろ日本は、スマート
グリッドの要件である「4つのオープンシステム」の、どれ一つとして「オー
プン」ではなく、実現からほど遠い状況にある。
 「バカなネットワーク」という言葉がある。ネットワークが「バカ」(できる
だけ単純なルールや決まり)であればあるほど、イノベーションを引き起こす、
という意味だ。道路は鉄道よりも「バカ」だったから、自動車はこれほどまで
に発達した。インターネットも「単純なプロトコル」が、現状の隆盛を生んだ。
逆に、かつてアメリカのAT&Tは、「ピンが落ちた音も聞こえる」という高性
能な電話ネットワークを築こうとしたが、見事に失敗した。
 スマートグリッドという「賢いネットワーク」をどれだけ「バカ」にできる
か。そこに「智恵」が求められている。

                       飯田哲也(ISEP所長)


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