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4.≪特別寄稿≫「権威主義」の克服 - 戦後ドイツが学んだこと
(長谷川公一、環境社会学者、みやぎ環境とくらしネットワーク理事)

いよいよ Renewables 2004が始まった。会場の国際会議場はライン河に面した旧
連邦議事堂である。環境大臣トリティンとともに、司会を務める経済大臣の女性
Wieczorek-Zeulさんは、冒頭の挨拶の終わり近くで、「何度も戦場となってきた
ライン河は、今やヨーロッパの協力のシンボルである」と述べた。折しも60年前
の1944年6月6日は、ドイツの敗北への流れを決定づけたいわゆる「D-day」ノル
マンディー上陸作戦の日である。新聞によると、シュレーダー首相は、ドイツの
首相としてははじめて連合国側の祝典D-day60周年に参加する予定という。それ
はドイツにとっての、また周辺諸国にとっての「戦後」の終焉の象徴ではない
か、と私は思う。

はたして私たちが、日本海や東シナ海が東アジアの協力と交流のシンボルであ
る、と心から呼べる日はいつになるのだろうか。「靖国参拝」を続ける日本の首
相との差はあまりにも大きい。日本の世論は、はたしてこのような式典への首相
の列席をどう受け取るのだろうか。

1992年に竣工した旧連邦議事堂は99年7月1日の議会の閉幕とともに、改修された
ベルリンの議事堂に任務を譲ったが、ガラス張りの機能的で美しい建物である。
「民主的な開放性と透明性」をシンボライズしたものと解説にある。会議場のあ
る一角は、日本の霞ヶ関にあたる旧官庁街だが、この一帯を、「われわれの民主
主義をかたちづくった」「民主主義の道(Path of Democracy)」と名付けたの
だと同じプレートにある。首都移転にともなう感傷だと、一笑することはたやす
い。

しかし、日本の国会議事堂や霞ヶ関の周辺を「民主主義の道」と呼びたいと、心
から思っている官僚OBや政治家は日本にどの程度いるのだろうか。そして胸を張
れるのだろうか。

二度の敗戦を克服し、東西の統一をはかること、旧首都ボンは、ドイツの戦後史
の課題に取り組んできたシンボル的な街である。われわれは立派になしとげたと
いう誇りが、この旧議事堂であり、「民主主義の道」という呼び名であろう。

現在ボンは、IPCCの事務局をはじめ、13の国連関係の施設を立地する「国連都
市」を自称している。アメリカが国連に冷淡で、EUの拡大があるだけに、そして
温暖化問題、環境問題の比重の増大にともなって、国連都市ボンの役割は確実に
大きくなっていくに違いない。

そういう場所で開会したRenewables 2004である。ドイツの歴史と未来の中に、
この会議は確実に位置づけられているのである。

この十年あまりのドイツの自然エネルギー政策の成功の政治的背景をひろく捉え
れば、上のような事情が指摘できるのではないだろうか。原子力は政治的な権威
主義と、自然エネルギーは市民的なものと親和的である。

環境大臣トリティンは冒頭の挨拶の中で、自然エネルギーのメリットを幾つも列
挙したが、その中に、gender equalityもあった。

初日の呼び物、この会議全体をとおしての呼び物は、Multi-Stakeholder
Dialogueである。多元的な利害関係者間の対話である。進行役(モデュレー
ター)のHales氏(イギリス)は、civil society (市民社会)という言葉を連
発する。政府(地方自治体も含む)・議会関係者からなるgovernmentと、企業
(business)と、端的にはNGOからなる civil society という三極図式の中で、
Multi-Stakeholder Dialogueが展開されている。

大会プログラムの中で、Multi-Stakeholder は、次のように注記されている。
「女性、NGO、地方自治体(authorities)、労働組合、消費者、投資部門を含む
企業と産業、科学者および技術者コミュニティ、農民、開発と貧困問題に取り組
むアクター、再生可能エネルギーの生産者と供給者(再生可能エネルギー団体を
含む)」。女性が冒頭に来るところが面白い。もちろん男も、stakeholder で
はあろうが、男の視点は、NGO以下のどこかでカバーされる。他のカテゴリーに
は還元されえない、女性の視点があるということを明確に述べた規定であろう。

現在、自然エネルギーがどういうコンテクストの中で論じられているのかを端的
に示すMulti-Stakeholderの定義である。

                          2004年6月1日ボンにて

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