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3.連載:あおもりエネルギー紀行 第2回 「国民の負担ってなんだ?」
                     森治文(朝日新聞青森総局次長)

 青森に来てみて気づいたのは、街中でよく自転車が倒れていることだ。コン
ビニの前に自転車を止め、ちょっと立ち寄って出てくると、あれまあ、という
具合である。お行儀よく等間隔で駐輪しても将棋倒しの目に会い、年老いた女
性が起きあがらせるのに一苦労している光景なども見かける。
 だれかによる悪質ないたずらというわけではない。いや、いたずらというべ
きか。そう、犯人は「風」だ。本当によく吹く。地元の人に聞くと、私が転勤
したての4月はそれでもまだ緩やかなほうで、冬はもっと強いという。青森市
内でそうだから、山間地や海沿いは推して知るべしだろう。
 果たして、青森は風力発電の導入量が最も日本で多い県である。まだ、原子
力発電1基の4分の1程度の約28万キロワットだが、ポテンシャルは大きい。
先日、東北電力が今年度に新たに買い取る風力発電の募集状況を発表した。そ
れによると、募集枠16万キロワットに対して、応募は112件、221万キ
ロワットに上る。対象となる東北6県と新潟県の7県で、青森はダントツの
69件、142万キロワット。現在稼働している分の5倍である。中には冷や
かしに近い応募もあるかもしれないが、それだけポテンシャルがあることの何
よりの証明だろう。
 関係者に言わせると、風況だけでいえば、太平洋に面した県北東部の下北半
島、日本海側の津軽半島ともによいそうだ。
 だが、例の新エネ特措法(RPS法)が、せっかくのエネルギー供給能力を
ドブに捨てるようなムダを招いている。太陽光発電をこれから飛躍的に増やす
といっておいて、風力はこのままとは、政府は何とアンバランスなことをやる
のかと思っていたら、今月10日、あのダミ声がテレビから聞こえてきた。温
室効果ガスを2020年までに90年比で8%しか削減しないという、201
2年までに6%削減する京都議定書の約束など忘れてしまったかのような、あ
の会見である。
 「これ以上削減目標を大きくしようとすると、例えば太陽光パネルの付いた
家しか建ててはいけないとか、また、大量の補助金を出し続けるといった事態
になりかねないと存じます。また、国民の負担も余りに重たいものになってし
まうのではないでしょうか。私は責任ある立場として、このような選択肢を国
民にお願いするわけにはいきません」
 「国民生活や産業活動に対する負担の大きさを示すことなく、削減量が大き
ければ大きいほどいいといったような精神論。そういったものを繰り返すこと
は、国民の皆さんに対して無責任であると私は考えております。そのため、私
はこの場で国民の御負担についても率直に申し上げたい」
 「国民の負担」を人質に、これ以上の要求は飲めないといわんばかりの開き
直り。90年比8%減をやろうとすれば、1年に7万円ものお金が1世帯あた
り消えていくというが、そんな単純なものだろうか。
 例えば青森で風力を増やす。RPSではなく、買い取り制度を設ければ、そ
れは今、これだけの応募がある事業が採算ベースに乗ることを意味する。それ
は回り回って、都会の住民には負担になるかもしれないが、地域にとっては新
しいエネルギー資源でビジネスが発生するわけだ。単純にお金がマジックのよ
うにこの世から消えるのではなく、潤う人も出てくる。
 官邸の主は、地方と中央の格差の是正といい、そして、日本版グリーンニュ
ーディールで雇用の創出などとうそぶく。だが、有効求人倍率が全国最低の
0. 27の青森から見れば、温暖化対策にもなり、地方の底上げにもなるよう
1. な「環境・エネルギー政策」も打ち出さずに、「国民の負担」を言われてむ
なしい。
 「太陽光パネルのついた家しか建ててはいけないといった事態」というネガ
ティブシンキングではなく、もっとポジティブに考える発想ってないものか。
実際に、建物の省エネ基準はどんどん規制が強まって、「省エネの家しか建てて
はいけないといった事態」という状況になりつつあるのだから、インセンティ
ブをつくって、「太陽光パネルのついた家を建てたくなる」とか「風力発電を増
やしたくなる」事態にした方が、よっぽど精神的にも健全だと思うが。
 オバマ大統領は、今こそ”Chage”が必要で、”Yes,we can!”と国民を鼓舞し
た。でも、だみ声のあのお方が言うには、日本はいくら”Chage”といわれても、
”No,we can’t”っちゅうことか。
 あ~、なんと後ろ向きな。やだやだ。

                    森治文(朝日新聞青森総局次長)


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