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4.(新連載)あおもりエネルギー紀行 第1回「これほどトラブルが多いとは。」
                   森 治文(朝日新聞青森総局次長)

 青森県六ケ所村の日本原燃・使用済み核燃料サイクル施設からは、排風機が
故障しただの、蒸気ボイラーが緊急停止しただの、といった「発表」がしょっ
ちゅう聞こえてくる。お恥ずかしいことだが、東京にいたときには気づかなか
った。全国ニュースにはならなくても、ローカルでは報道されていることがた
くさんあった。
 もちろん、それが直接重大な事故につながるとか思っていないし、いわゆる
フェールセーフとしての措置であることも理解している。また、どんな小さな
トラブルも情報も開示しなければ、国民の理解が得られなくなるという意識も
たしかに伝わってはくる。
 だが、こうした類の「ヒヤリ・はっと」が積み重ねられれば、いつしか大き
な問題が発生するのでは、という危惧を抱いてしまうのは素人の浅はかさか。
少なくとも東京のメディアには乗らなくても、青森の県民はいつもこうした情
報を耳にしながら生活している。もしかしたら、小さなトラブルは「耳たこ」
になってしまって何を聞いても驚かなくなってしまったのか、それとも圧倒的
なカネの力に、黙っているしかないのか……。
 それにしてもいくつものトラブルを抱え、少なくとも情報開示は進んできた
ようにみえるが、もっと素直になれないものかと思ったのが、4月30日にあ
った日本原燃の児島伊佐美社長の会見だった。
 相次ぐトラブルや5件もの保安規定違反の原因について、伝え聞くところで
は、「スケジュールをめぐる議論が現場へのプレッシャーになった」と話したと
いう。つまり、トラブルによって繰り返し延期をせざるを得なくなったことが、
これ以上延ばすわけにはいかないという焦りを生み、マニュアルの手順通りの
トラブル処理を怠り、手を抜いたということだ。だから、これからは安全を最
優先にするという。
 と言いながら、ガラス固化の不具合などで試運転の中断が長引き、5月再開、
8月に試運転終了というシナリオがだれが見ても崩れているのに、延期すると
いう話は「今は議論する時期にない」というのだ。
 それは、また延期に次ぐ延期を言い出せば再びプレッシャーが生じるという
配慮なのだろうか。でも、「安全最優先だから、屁の突っ張りみたいなスケジュ
ールは返上して、もっとゆっくりやりまっせ」と言った方が、現場の肩の荷が
下りると思うのだが、そうとは言えない事情の方が重いということなのか。
 青森県は、4月19日に鹿内博・新市長が誕生した。「核燃料廃棄物搬入阻止
実行委員会」の共同代表だった人である。市長選に出るにあたって、共同代表
を降り、市長として反核燃を訴えることはないというが、「反対の気持ちが薄れ
たわけでもない」「市民の安全のために言うことは言う」とする。
 だから、市長選で電力業界は相当、反鹿内票を集めるために動いたとあちこ
ちで話を聞いた。だが、5期20年務めた現職市長の評判が悪すぎたこともあ
って、最後はさじを投げたらしい。
 市に核燃施設があるわけではないが、何と言っても県庁所在地だ。核燃料リ
サイクルの今後に、その重みはきいてくるような気がする。市民が反核燃に一
票を投じたわけではなくても、意識はするだろう。

         ◇

 4月に東京から青森に赴任しました。原発だけでなく風力も全国一というエ
ネルギー集積地から月一回、みなさんに何かしら示唆に富むお話を提供できた
らと思っています。よろしくお願いします。

                   森 治文(朝日新聞青森総局次長)


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