上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2.寄稿:地球温暖化の中期目標~ナンセンスを見抜き、日本人の英知を結集しよう
               平田仁子(気候ネットワーク東京事務所長)

 現在、国内で、地球温暖化の中期目標の議論が盛んだ。
 温室効果ガスを“2050年に世界で半減”するといっても、2050年
に向かって今から大胆な行動に取りかかって削減を進めていく道もあれば、革
新的技術に期待して当面はゆるやかに行動し、2030、40年頃から急激に
削減するという道もありうる。また自国はあまり何もせず他国の努力に委ねる
道だって描ける。しかし、対策を先延ばしにするほど累積での排出量は多くな
り、また、他国に依存するほど国内の低炭素社会づくりは遅れる。長期の目標
に至る、日本としての削減経路を直線的に引いていくことが気候リスクを小さ
く抑えるために必要となる。

 政府の中期目標検討委員会は4月、2020年の中期目標の6つの選択肢と
して「+4%」から「-25%」までの幅で示した。5月16日まで国民の意
見を聞いた後、麻生首相が6月中にも目標を定めるという。
 しかし、このプロセスはナンセンスなことばかりだ。
 例えて挙げれば、京都議定書より弱い目標の選択肢を平然と入れ込んでいる
こと、鉄の生産量や自動車利用の増加を前提にしていること、既存の経済構造・
エネルギー供給構造はいじらないで、個人の活動規制などをちらつかせ、経済
への悪影響を強調していること、「限界削減費用」という指標を決め打ち的に使
用して日本の削減を小さくおさめ、他国で多く削減してもらおうとしているこ
と。そうして、既存のエネルギー多消費経済社会の延長にしがみついて作られ
た結果、野心的な目標ほど日本経済に不都合であるように描かれた。
 この歪んだ土台でつくられた結果から一つを選びなさい、とは、国民もずい
ぶん軽んじられたものである。

 これらの整理の中に、政府自らが呼びかける「低炭素革命」の思想は見られ
ない。
 革命なら革命にふさわしい、新しい時代を築く大胆な発想と、先見性を持っ
た思い切った決断と行動が備わっていいはずだ。たとえば2020年までの期
間に、低炭素型の産業構造への変革へ向けた思い切った産業政策をとったり、
クルマ依存を大きく減らすまちづくりを仕掛けたり、地域分散型のエネルギー
システムへの抜本転換を位置付けることもできたはずだ。しかし、野心的な目
標に向かって低炭素“革命”を起こす、そんな2020年の姿は、今回は描か
れなかった。

 NGOは2020年に1990年比30%削減を提案している。この目標は、
IPCCが示す科学が気温上昇のリスクを小さく抑えるために必要だとするレ
ベルに最も忠実に従ったもの、すなわち、将来世代と生態系のリスクに対する
現代世代としての最も責任ある行動の提起である。
 一方、今議論されているのは、どう気候を守るかではなく、いくらまでお金
を出すかばかり。さみしい限りだ。お金がかかるから出来ない、ではなく、問
題解決にあたって直面する困難や負担をどう乗り越えるかの知恵を出し合うべ
きだろう。
 今、国民に意見を求められているこの課題に対し、私たちは、目の前に示さ
れたナンセンスを見抜く力を持ち、「低炭素革命」にふさわしい行動に向けた決
意を示すことが求められている。
 一部の利益団体の動員による心ない主張は論外として、それ以外の真摯な意
見の中に、日本人の英知の結晶が見られることを望みたい。

               平田仁子(気候ネットワーク東京事務所長)


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://isepseenarchive.blog88.fc2.com/tb.php/376-98b99d0b
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。