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1.風発:環境エネルギー革命のグランドデザインを
                       飯田哲也(ISEP所長)

 環境エネルギー分野が賑やかになってきた。まずは、金融危機・気候の危機・
エネルギー危機という「3つの危機」に対する処方箋として期待されるグリー
ン・ニューディールだ。就任後、1ヶ月も経たないうちにグリーン・ニューディ
ール政策を議会に提出したオバマ米政権に続いて、日本もようやく「日本版グ
リーン・ニューディール」を取りまとめた。
 そのオバマのグリーン・ニューディールの目玉の一つであるスマートグリッ
ドも、にわかに脚光を浴びている。スマートグリッドとは、インターネットな
ど情報通信技術と太陽光・蓄電池などの分散型エネルギー技術を活用して、電
力ネットワークシステムを革新するもので、大きな構造変革の芽として期待さ
れているものだ。
 2月に経済産業省が突然打ち出したフィードインタリフも話題を集めている。
太陽光発電からの余った電気を電気料金の2倍で買い取るという提案で、ドイ
ツなどで大成功してきた制度だ。7年前に、大論争の末に異なる制度を選んだ
ときの因縁から、経済産業省がずっと議論すら避けてきた制度なのだが、かつ
ては普及も生産も世界一を誇った日本の太陽光発電の退潮がはっきりと誰の目
にも見えてきた結果、導入に踏み切らざるを得なくなったものだ。
 そして、官邸に設置された検討会で議論されている中期目標。京都議定書の
「次」の目標を定めるものだが、議論は真っ二つに割れている。「京都の失敗を
繰り返さない」よう、低めの目標水準で頑張る経済界と経産省に対して、国際
的に求められている最低限の水準を目指す環境派と環境省。しかし、「科学的」
と言いながら、実は旧い経済モデルを前提とする現実味のないエネルギー経済
モデルのパラメータサーベイを提示しているだけであり、とても国家戦略の議
論とは思えない。
 こうした全体を眺めてみると、それぞれがバラバラで、しかもその場限りの
ツギハギ的な対応に終始していることが気にかかる。フィードインタリフだけ
を見ても、従来の支援法の特例(太陽光発電のみ2倍の扱いをする)を残した
まま、今年から復活させた補助金も残し、地方自治体毎の補助金に期待しつつ
も、電力会社の自主的な余剰電力の買取を大前提としている。「部分最適」にす
らなっておらず、「局所最適」が継ぎ接ぎされた制度では、統一性がなく複雑極
まりない上に、今後の見通しも不安定だ。
 日本の環境エネルギー政策および環境エネルギー市場は、このようなツギハ
ギではまったく対応できないほど、制度疲労を起こし、時代遅れとなっている。
今日の独占的で中央集中型のエネルギー市場構造は、インターネットどころか
コンピュータもほとんど見られなかった時代に、重工業中心の高度成長期には
大きな役割を果たしたことは確かだ。
 しかし今や、情報通信技術が高度に発達してきたことに加え、経済のあり方
も、金融・財政の分離や郵政民営化・4分社化に見られるように、既得的な独
占が認められてきた時代から、規制緩和一辺倒の時代を経て、役割に応じた経
済主体の分化と説明責任の時代へと展開してきている。エネルギー市場、なか
んずく電力市場における経済主体の分化は、あらためて議論されてもよいだろ
う。
 また、長く重厚長大の経済産業に軸足を置いてきたエネルギー政策のあり方
も、地球温暖化問題と分散型の自然エネルギーやエネルギー効率化を中心とす
る環境エネルギー政策へと、大きく転換するグランドデザインが必要ではない
か。現在は100年に1度の危機だが、同時にまったく新しい産業と新しいエ
ネルギー市場構造が誕生しつつある「100年に一度のチャンス」でもあるの
だから。

                       飯田哲也(ISEP所長)


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