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8.信州小渋温泉赤石荘へのチップボイラー導入の意義
      柳沼佑貴(ISEP研究員/おひさま進歩エネルギー株式会社)

 長野県下伊那郡の北東部、大鹿村にある信州小渋温泉赤石荘で、木質チップ
ボイラーが導入された。これは旅館の温泉加温や給湯に利用している燃料を化
石燃料から木質バイオマスへ転換するもので、ボイラーは巴商会社製出力
200kW、地球温暖化の原因物質である灯油の使用量を約7.3kL削減し、
約180tの二酸化炭素削減の効果が見込まれている。この事業はエネルギー
の地産地消から地域の環境と経済の循環を目指したいという赤石荘多田社長の
熱い想いとおひさま進歩エネルギーの市民参加型の自然エネルギー普及の取り
組みが一つとなった協働事業として行われた。

 赤石荘は南アルプスの麓にあり、地域の食材にこだわった郷土料理と、南ア
ルプスの雄大な景色が眺められる露天風呂が満喫できる人気の宿である。以前
から地域にこだわり、循環型社会構築に向けて運営してきており、燃料高騰や
地球温暖化防止の機運の高まりの中、バイオマスボイラーの導入とそれに伴う
地元林業の活性化や地域雇用確保などに大きな関心を抱いていた。

 一方、おひさま進歩エネルギーは、地域のエネルギー環境事務所として、環
境普及啓発や自然エネルギープロジェクトの企画・推進を担っており、市民か
ら出資を募り(おひさまファンド)、市民参加型で地域の自然エネルギーや省エ
ネを普及させる事業で実績を積んでいる。

 この地域でこのような取り組みが成功できた理由として、南信州全体の環境
・エネルギーに対する機運の高まりがある。その一つの動きとして南信州全域
で自然エネルギー・省エネルギーの普及を目指す南信州・地球温暖化防止エコ
推進協議会という推進機関の存在があげられる。これは南信州の15自治体を
はじめ、南信州広域連合、県の出先機関である下伊那地方事務所、地域の環境
NPO、地元の金融機関などで構成され、自然エネルギーの普及啓発と様々な
主体のネットワーク化、そして事業の育成を目的に2007年に設立された。
この協議会の設立は内閣の定める環境モデル候補都市として選ばれるほどの環
境先進地域である飯田市の取り組みを、近隣の南信州という広域に拡大・推進
するという役割を果たしている。

 赤石荘へのチップボイラー導入も、協議会によるネットワークが、飯田市を
中心に自然エネルギー事業のノウハウを持つおひさま進歩エネルギーと、循環
型社会の形成に意欲的な赤石荘が連携させ、先進的な環境エネルギー事業を作
り上げた、新しい官民のパートナーシップ事業(PPT事業)と言える。

 この取り組みには様々な地域社会への恩恵がある。経済的には事業主体の赤
石荘に取っては燃料の転換によるコスト削減がある。さらに今後国内市場が立
ち上がって来るであろう二酸化炭素排出取引市場で、発生する二酸化炭素削減
価値を販売していく準備を進めているまた将来的には大鹿村で燃料であるチッ
プ生産を行う予定で、これが可能になればエネルギーの地産地消が可能になり、
中東などの産油国にお金が流れてしまう従来の化石燃料の消費から、新たな燃
料源である森林・林業にお金が流れるという社会的な仕組みが整うことになる。
林業の活性化は地域内の新たな雇用と、森林整備による環境保全効果にも繋が
り、さらに今後は森林整備による二酸化炭素吸収源としての展開も期待できる。

 今回の取り組みによって赤石荘は新しい地域エネルギーの主体となり、今後
の周辺地域への環境・エネルギーに関わる動向に大きな影響を与えると思われ
る。この取り組みが南信州での環境エネルギー普及のうねりをさらに加速させ
ることに期待したい。

柳沼佑貴(ISEP研究員/おひさま進歩エネルギー株式会社)


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