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2.寄稿:IRENA不参加をめぐる日本政府のドタバタ劇
               井田徹治(共同通信社 科学部 編集委員)

 昨年末から今年初めにかけ、国際再生エネルギー機関(IRENA)に参加
するか否かをめぐって霞が関はドタバタ劇を繰り広げた。そこからは、風力発
電や太陽光発電の拡大に消極的な経済産業省の本音、エネルギー政策や環境政
策をめぐる機能不全や相変わらずのアメリカ追随外交など、今の日本政府が抱
えるさまざまな問題が見えてくる。
 政府の中でIRENAへの加盟が議論されたのは昨年10月末、マドリッド
で開かれた会議で各国が設立条約案に合意し、年明けの正式発足が決まったこ
ろからだった。環境省など一部に正式参加を求める声があったものの、強い参
加不要論を唱える経済産業省、特に資源エネルギー庁の「拒否権」であっさり
と年明けの会議への参加見送りが決まった。
 「経済産業省出身者が事務局長を務めている国際エネルギー機関(IEA)
と仕事の内容が重なる」「日本がIEAを軽視していると思われたら、事務局長
の再選に差し障る」というのが反対論の根拠で、「IRENAはドイツ政府のイ
ニシアティブ。反原発派が根強いドイツ政府に引き回されることになる」との
声も聞かれた。外務省も、IRENAへの出資が国連分担金の比率に基づくと
規定され、参加した場合の日本の出資額が5から6億円になることを理由に、
消極的。当時のブッシュ政権がIRENAにまったく関心を示していないこと
も一因だった。
 風向きが変わったのは年末から年初にかけて。自民党の河野太郎衆院議員や
塩崎恭久元官房長官ら与党議員から、日本の不参加を問題視する声が相次いで
上がった。年末、再生可能エネルギー開発に熱心な米国のオバマ大統領の政権
移行チームからは、米国がIRENAへのオブザーバー参加を決めたとの情報
が、首相官邸にもたらされた。官邸にはこの時までにIRENAの件がまった
く知らされていなかったという。
 結局、官邸からの働き掛けによって一月六日、経産、外務、環境の三省に農
水、国土交通の二省も加えた関係省庁の会議が催され、正式参加は見送るもの
の、オブザーバーとして参加するとの方針が急きょ、決まった。この場で、環
境、農水の両省は正式参加を主張したが、外務、経産両省の消極姿勢は変わら
なかったために意見はまとまらず、この決定、両派の妥協の産物である。ある
外務省幹部はこの段階になっても「IRENAはドイツのイニシアティブでイ
ギリスやフランスなどは後ろ向き。既に事務局長人事や事務局の場所などの交
渉が進んでおり、今、参加しても金を払わされるだけ。米国が正式参加するな
らば、共同戦線を組める余地はあるが」と、あくまでも正式加盟は米国次第と
の立場だった。
 といっても参加国数が当初の予想を超える七十五カ国に達し、二十八の先進
国で組織するIEAを大きく上回ったことなど、IRENAは大きな存在感を
見せつけた。一部に依然として残る反対論を抑え、日本が正式参加を決める日
もそう遠くはない情勢となっている。その時「こんなことなら最初から正式参
加しておけばよかったのに」と思うのは筆者だけではあるまい。

               井田徹治(共同通信社 科学部 編集委員)


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