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4.2050年自然エネルギービジョンとエネルギー永続地帯
                     松原弘直(ISEP主席研究員)

 今年、日本はG8洞爺湖サミットの議長国として、主要排出国に対し
「2050年までに全世界の温室効果ガス排出半減」への合意を呼びかけ、そ
れに先立つ福田ビジョンにおいては日本の排出削減目標を2050年に60%
~80%と宣言した。ISEPでは、気候変動対策に関する「イノベーション」
の核となる自然エネルギーに注目し、昨年末より国内の自然エネルギー関連団
体と協力して「2050年自然エネルギービジョン」を策定し、その実現に必
要な政策の提言と共に2月の「再生可能エネルギー展望会議」に発表を行った。
本ビジョンでは、2050年に低炭素社会を目指す上で、自然エネルギーに注
目して、日本で2050年までに最大限導入しうる可能性を検討している。そ
の結果、2050年の日本の姿(ビジョン)は以下のようになった。
 ■ 電力需要の65%以上を自然エネルギーにより供給している。
 ■ 熱需要の約30%を自然エネルギーで賄い、家庭部門や業務部門はほぼ
100%となる。
 ■ エネルギー起源の二酸化炭素排出量を75%以上削減(2000年比)
 ■ 一次エネルギー供給のほぼ60%を自然エネルギーで賄い、エネルギー自
給率50%以上
 本ビジョンの検討にあたっては、原則として、各自然エネルギー関係団体か
ら導入可能性やその考え方、必要な政策などを提示していただいた。その際に
自然エネルギー以外の供給想定や全体の需要想定は、基本的に国立環境研究所
の「2050年低炭素社会シナリオ」をベースにして、検討を行った。

○再生可能エネルギー展望会議(2008年2月21日)
http://www.isep.or.jp/event/080221sympo2050.html
○2050年自然エネルギービジョン
http://www.isep.or.jp/event/080603sympo/2050vision080603.pdf
○2050年自然エネルギービジョンの実現に向けた政策提言
http://www.isep.or.jp/event/080603sympo/2050policies080603.pdf

 6月に開催された「自然エネルギー政策会議」において「自然エネルギー促
進法」ネットワーク(GEN)の解散が宣言され、7月には持続可能な自然エ
ネルギー政策の実現に向けて、自然エネルギー関9団体により「自然エネルギ
ー政策プラットフォーム」(JREPP)が新たに発足した(事務局ISEP)。
現在の次の9団体が参加している。全国小水力利用推進協議会、日本風力発電
協会、風力発電事業者懇話会、ソーラーシステム振興協会、日本地熱開発企業
協議会、日本地熱学会、日本建築学会地球温暖化対策推進小委員会、日本木質
ペレット協会、ISEP。上記ビジョンは「中間報告」としての位置付けであ
り、来年のCOP15に向けて、このJREPPと市民エネルギー調査会によ
り需要サイドの見直しや2020年の中期目標などについても検討が進められ
る予定である。なお、6月に発表されたグリーンピースの「エナジー・[R]E
ボリューション日本シナリオ」にたいする協力もISEPとして行っている。

○自然エネルギー政策会議(2008年6月3日)
http://www.isep.or.jp/event/080603sympo.html
○自然エネルギー政策プラットフォーム(JREPP)発足プレスリリース
http://www.isep.or.jp/press/jrepp_press080701.pdf
○ グリーンピース:「エナジー・[R]Eボリューション日本シナリオ」プレス
○ リリース
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20081201ce_html

 一方、現在の地域毎の自然エネルギーの供給状況と民生部門のエネルギー需
要とを比較し、市町村毎のエネルギー自給率を指標化する「エネルギー永続地
帯」の調査研究が、千葉大学倉阪秀史教授との共同研究として進められている。
9月16日には、昨年に引き続き2回目のプレス発表を実施した。今年発表し
た「2007年版」では、前年の「2006年版」には含まれていなかった太
陽熱や地熱などの「熱」が加えられている。その結果、日本の62の市町村で
自然エネルギーによる自給率が100%以上となり、民生用エネルギー需要の
全てを賄っているとみなすことができる。都道府県では、7県(大分、秋田、
富山、岩手、長野、鹿児島)が民生用エネルギー需要の10%以上を自然エネ
ルギーで賄っていることがわかった。エネルギー源別では、小水力発電
(1万kW未満)、太陽熱利用、風力発電、地熱発電、温泉熱利用、太陽光発電
の順で供給量が大きい。今回は、残念ながら最近注目されているバイオマスの
熱利用を含めることができなかったが、次回の2008年版には含めたいと考
えているので、引き続き注目して頂ければ幸いである。

○エネルギー永続地帯ホームページ
http://sustainable-zone.org/
○「エネルギー永続地帯2007年版プレスリリース」
http://www.isep.or.jp/press/20080916SustainableZone.pdf

                   松原弘直(ISEP 主席研究員)


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