上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
4.いよいよ将来枠組交渉が開始、G8と日本の役割
                       大林ミカ(ISEP副所長
     2008年G8サミットNGOフォーラム環境ユニットリーダー)

COP13では、将来枠組のとりまとめに向けた交渉の行程表「バリ・ロード
マップ」が採択され、米国や中国も含めた交渉が開始されることになった。将
来枠組の議論は、2009年にデンマークで開催されるCOP15で合意する
ことが期待されている。今後わずか2年間で、京都議定書を大きく上回る各国
の責務を、どれだけ具体的な形に落としていけるのか、一つ一つの作業工程が
非常に重要な積み重ねとなる。今年7月に北海道・洞爺湖で開催されるG8サ
ミットにおける日本の役割も、自ずと重要な機会となる。

G8と将来枠組交渉といった括りで少し気になるのが、米国が現在提案・主宰
している「主要排出国会議」あるいは「主要経済国会議」(以下MEM)の行方
である。MEMは、昨年のドイツ・ハイリゲンダム・サミットに向けた日本の
「美しい星50」の提案に触発されるように、米国ブッシュ政権がサミット直
前に突然発表した、大量排出国が集まって地球温暖化防止について話し合う会
議である。昨年9月の国連ハイレベル会合の直後に開催された第一回会合は、
ブッシュ政権の相変わらずの後ろ向きな姿勢が、「まったく中身のない会議で
ある」として欧州や途上国から非難を浴びた。

今後MEMは、今年1月30・31日にハワイでの開催が予定される第二回会
合から翌月はパリと、毎月の開催が予定されていて、今年夏頃には首脳級の会
合を“日本で開く”という。首脳級会合は頻繁に開催できないため、日本のサ
ミットとの融合を想定しているのは明らかで、ブッシュ政権によるサミット乗
っ取り計画にも思えるのだが、実はむしろ日本政府側から生まれた構想である
という。

日本では、未だに、産業界が国内での削減義務政策の導入に強く反対している。
将来枠組のあり方としても、欧州や発展途上国などの主張する先進国の大幅な
削減と国別の削減義務化ではなく、電力や鉄鋼などの産業ごとに省エネルギー
の目標を設定するなどの「セクター別方式」を提案している。サミットとME
Mの同時開催という構想は、同じように温暖化対策に消極的な米国と共同歩調
をとりたいという、経済産業省の意向が働いているらしい。G8そのものへの
賛否は別として、8年に一度、国際政治的に大きな注目を集める稀な機会を、
米国に乗っ取ってもらうことで切り抜けたいというのは、まったく不思議な国
である。しかも、頼りの米国は、来年早々新しい政権が誕生し、現在の消極姿
勢から積極的な地球温暖化対策に転換することは確実視されている。

一方で、昨年末に、福田首相は、1月23~27日に開催されるダボス会議へ
出席し、日本の中長期目標の設定を発表することを明らかにした。相次いで、
高村外務大臣も、2020年頃を目途にした中期目標をG8までに発表する必
要があることを表明した。また、詳細は明らかではないが、報道では、G8で
日本は、各国を先進国、新興国などと分類し、各グループ別に中長期の温室効
果ガス削減の数値目標を算出する「日本新基準」を提案するという。先進国グ
ループ内では、各国の産業別に省エネ技術の進展度合いを加味して各国別の削
減目標を出し「日本の産業界に配慮」するそうだ。

先ほどのMEMの動きと重ねてみると、義務のない国別目標を掲げ、達成には
日本が有利になる計算設定をしたセクター別方式(こちらも目標を掲げるもの)
で対応する、というのが日本の方針だろうか。バリで政府が開催した「洞爺湖
への道」という大仰なタイトルのサイドイベントも、セメント・鉄鋼・電力・
自動車と日本の大産業が揃い踏みで参加しセクター別方式の優位性を説くもの
ではあったが、国別目標についてはさらりと言及されるに留まった。

しかし、目標ばかりを重ねても、具体的方策が無ければ達成できないことは、
現在の日本の状況が示している。まずは、国際的に義務を課された国別の目標、
バリで確認されたように、先進国は2020年頃に25~40%の削減が必要
である。更には日本国内では、現在東京都が準備をしているような産業界への
削減義務化、実効性のある自然エネルギー拡大政策、炭素を排出していること
にコストをかける排出量取引や環境税などの、政策ミックスの導入が必須であ
り急務である。議論の落ち着いた二年後にではなく、今すぐに準備を始めなく
てはならない。

COP13では、責務を負うことに後ろ向きな日本の姿勢は各国から批判を浴
び、すでに日本が国際的な議論をリードできない現状が明らかとなった。地球
温暖化防止に向けて高邁な理想を掲げ、G8で主導権を発揮するというなら、
他国を凌駕する決意を表す、義務を伴った高い削減義務目標と、具体的な方策
の数々を明らかにすべきである。努力をしない国が何を言っても説得力は持た
ない。

「主導権をとらないならこの道から外れてくれ」とは、CO13でパプアニュ
ーギニアが米国に対して放った言葉だが、日本に対しても向けられているとし
て肝に銘じるべきである。もしくは、諸外国からは、すでに道から外れてしま
ったどうでもいい国として見なされているのだろうか。今年のG8は、日本が
温暖化対策で内外に注目される決意を示すことができる、最後のチャンスかも
しれないのである。

                       大林ミカ(ISEP副所長
     2008年G8サミットNGOフォーラム環境ユニットリーダー)


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://isepseenarchive.blog88.fc2.com/tb.php/345-a0acf114
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。