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1.IPCCとバリ会議
 早川光俊(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)専務理事)

12月3日から14日までの予定で、インドネシアのバリで開催された気候変
動枠組条約第13回締約国会議(COP13)と京都議定書第3回締約国会合
(CMP3)は、2013年以降の削減目標と枠組み、それに至る具体的な作
業計画と交渉期間に合意することが最大の課題でした。また、隠れた最大の課
題は、今年2月から相次いで発表されたIPCCの第4次評価報告書(AR4)
を政策決定者である各国政府がどう受け止め、2013年以降の削減目標と枠
組みにどう活かすか、でした。

そのため、バリ会議では、2013年以降の削減目標と枠組みについての決定
に、IPCCが指摘した、温室効果ガスの排出量について、「今後10年から1
5年を排出のピークとして削減に向い」、「2050年までに1990年レベル
から半減し」、「先進国は2020年までに1990年レベルから25~40%
削減する」などの中長期目標を書き込むかが最大の問題となり、そのために会
期をまる一日延長することになりました。

こうした数値を書き込むことについては、アメリカ、カナダ、日本などが強硬
に反対しました。結局、条約のもとでの「長期的な共同行動についての対話」
についての決定では、こうした数値は記載されず、議定書のもとでの先進国の
2013年以降の削減義務に関する決定には、こうした数値が書き込まれるこ
とになりました。

日本のマスコミは、条約のもとでの決定にこうした数値が記載されなかったこ
とで、数値目標が落ちたと報道しましたが、先進国の2013年以降の削減義
務に関する決定に数値目標が記載されたことを評価していない報道は、ほとん
ど誤報です。

先進国の2013年以降の削減義務に関する決定にこうした数値を書き込むか
どうかについては、カナダ、ロシアが反対しましたが、途上国グループ、EU
などが次々と記述すべきだと発言し、結局、カナダ、ロシアが折れて、記述す
ることが決まりました。こうした記述に反対していた日本は、発言しませんで
した。聞くところによると、日本政府はこうした数値には合意していないと言
っているとのことです。外務省が発表しているCOP13、CMP3の「概要
と評価」にも、これらの数値が書き込まれたことは書かれていません。日本政
府代表団が参加していた会議で、反対の意見を言わずに決まった決定に、合意
していないなどというのは、話になりません。

今回のバリ会議では、IPCCの指摘したこうした数値を書き込むべきかどう
かの議論はありましたが、IPCCの指摘が正しいかどうかの議論がほとんど
ありませんでした。1996年のIPCCの第2次評価報告書のときは、IP
CCの報告書の科学性に疑問を投げかける意見が多く出されていましたが、今
回はこうした発言はほとんどなかったことは、今回のバリ会議の大きな成果の
ひとつだと思います。

IPCCは、これまで地球温暖化問題の国際交渉に大きな影響を与えてきまし
た。1990年の第1次評価報告書が1992年の条約を生み、1995年の
第2次評価報告書が京都議定書を生み、2001年の第3次評価報告書が京都
議定書の運用ルールの合意を後押ししました。今回の第4次評価報告書は、2
013年以降の削減義務と制度枠組みの交渉に活かされなければなりません。

アメリカの離脱を乗り越えて、議定書が始動し、将来枠組みについての議論の
プロセスが決まったことは国際社会の健全性を示すものです。こうした成果は、
IPCCなどの科学が政治を動かしてきたこと、そして何よりも世界の市民・
NGOが関心をもち、監視しつづけたことによると思います。

地球温暖化は急速に進行しています。今回、2009年末までに2013年以
降の削減義務と制度枠組みについて結論を得ることが合意されました。これか
ら2年の交渉が人類の未来を決めると言っても過言ではないと思います。

 早川光俊(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)専務理事)


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