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4.ISEP研究活動報告
                 古屋将太(ISEP共同研究インターン)

ISEPでは、この秋から住友財団の環境研究助成を受け、「自然エネルギーを
巡る新しい対話プラットフォームの形成」というテーマで新たに研究プロジェ
クトを立ち上げました。現在準備を進めており、ここではその研究概要と、3
つの論点を提示したいと思います。

■ 研究概要
自然エネルギーには地球温暖化の防止、化石燃料依存からの脱却など、多くの
メリットがあり、一般的に肯定的なイメージでとらえられています。一方で、
導入量が漸増するにしたがって、問題点も浮上するようになってきました。風
力発電の鳥類や景観への影響はその代表的なものであり、風車の設置が地域社
会やステークホルダー間の紛争の種になってしまうこともあります。紛争化す
るケースでは、「風力 対 自然保護」という対立図式となり、風力発電が潜在的
にもっているメリット(経済的価値だけではない多様な社会的波及効果)が顕
在化されないまま失われてしまいます。これまで、こういった問題は「紛争化
→調停」という形で、その都度後追い的に解決が図られてきました。しかし、
今後さらに導入量を増やしていく上で、事後的な調停という解決方法には限界
があります。
以上の現状認識のもと、本研究では風力発電に関わるアクターの対話から、問
題の発生そのものを未然に防止するための仕組みを構想することを目指します。

■ 論点
第一に、「立地選定における手続きプロセスの透明性」を考える必要があります。
風力発電の事業化までには風況測定や環境影響評価をはじめとして多くの手続
きがあり、それらの透明性を確保することが信頼へとつながると考えられます。
第二に、「リスク・便益分配の公平性」を考える必要があります。デンマークで
は国内の風車の80%が地域住民やコミュニティーによる所有(出資)となっ
ており、その地域に吹く風の恩恵(売電による利益)はその地域の人々に還元
されます。同時に、風車をたてることによって生じるリスク(自然環境や景観
に影響が生じる可能性)も地域の人々が負うことになります。一方で、落下傘
的に企業の巨大な資本によって大規模ウィンドファームが建設されるとなれば、
その地域に吹く風の恩恵はその企業のみに還元されることとなり、地域の人々
にとっては一方的にリスクを負わされることになるでしょう。その場合、温暖
化対策といえども、地域の人々がウィンドファーム建設に反対するのは当然の
ことと考えられます。このような「オーナーシップ」という観点はあくまでも
一例に過ぎないのですが、風力発電事業の「リスク・便益分配の公平性」をい
かにして構築していくのかを考える必要があります。
第三に、「アクター間のコミュニケーション不足」を考える必要があります。風
力発電事業者、地域住民、行政、科学者にはそれぞれの世界があり、それぞれ
の役割を担っているため、自らの世界のことはよく知っていても、他のアクタ
ーがどのような世界でどのような役割を担っているのかについては必ずしも正
確に把握していないということがあります。そのためにコミュニケーション不
足が生じ、結果として不信をベースにプロセスが展開され、導入に失敗すると
いうことが起こります。継続的にアクターが情報を共有し、対話を行う「場」
を設けることで、こうしたコミュニケーション不足を解消することができると
考えられます。
以上は、「風力発電の社会的受容性」を拡大するための論点なのですが、これら
の考え方や「対話プラットフォームの形成」という手法は、風力発電のみなら
ず他の自然エネルギーにも応用可能であると考えられるため、本研究が有益な
成果をあげることができるようにがんばっていきたいと思います。

                 古屋将太(ISEP共同研究インターン)


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