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2.連載「光と風と樹々と」(21)
         温暖化対策の10年――地域発の温暖化対策
               長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)

■京都会議から10年
 一昨日(12月3日、編集注:本原稿は昨年12月にご執筆いただきました)
から、インドネシアのバリ島で、国連の温暖化対策会議(COP13)がはじ
まった。1997年12月の京都会議からちょうど10年である。あれから1
0年も経ってしまったのか、と、当時の京都国際会議場の熱気とともに思い出
される。温暖化対策の歩みは、いかにのろのろした歩みだろうか。
 それでもノーベル平和賞の受賞者が、映画『不都合な真実』のアル・ゴア元
副大統領とIPCCに決まったように、来年2008年からの第1約束期間を
来年に控えて、今年ほど、温暖化問題への関心が一気に高まった年はなかった。
日本やニューヨークはじめ、北半球の異常な暖冬も後押しした。

■宇宙からみた地球
 11月には、1968年12月のアポロ8号の撮影以来、39年ぶりに月か
ら見た「地球の出」が撮影された。宇宙航空研究開発機構(JAXA)とNH
Kが共同で打ち上げた月を回る周回衛星「かぐや」がハイビジョンで撮影した
映像である。世界ではじめて撮影された「地球の入り」の映像も公開された。
灰色の月の大地の上に、まっくら闇の宇宙空間に浮かぶ青い地球は、とてもい
としく美しい。
http://jda.jaxa.jp/jda/p4_j.php?f_id=14479&mode=search&keyword=%C3%CF%
B5%E5+
 土星側から見た地球も印象的である。アメリカが1997年に打ち上げた土星探
査機「カッシーニ」(土星の4つの衛星を発見した17世紀の天文学者にちなん
でつけられた)は2004年から土星軌道を飛んでいるが、2006年9月1
5日に、土星側からみた地球の写真をNASAが公開している。地球は、青白
い小さな点である。とてもいとしい小さな点だ。Our only Earth を実感せずに
はおれない。人類の歴史のいっさいがっさいは、確かにこの小さな点の上での
出来事である。
 http://earthobservatory.nasa.gov/Newsroom/NewImages/Images/saturn_ca
s.jpg
 「小さな点としての地球(Dot Earth)」という発想からの、環境問題につい
ての興味深いコラムがニューヨークタイムズのブログとして大評判を呼んでい
る。その名も Dot Earth 、Andrew Revkin という記者のブログである。
 http://dotearth.blogs.nytimes.com/
 この原稿を書きながら、最新のブログ(12月4日)を見てみると、青空の
もとカリフォルニアの無数の風車群の写真。「次期大統領が温暖化を抑えるた
めにできる幾つかの(百の)事柄」というタイトルである。アメリカの次期大
統領が就任後100日以内に実行できる自然エネルギー導入策など300のス
テップを、コロラド大学の研究者などが中心になってまとめたアクション・プ
ロジェクトの紹介である。

■宮城県から61件、全国から1052件――地域発の多彩な取り組み
 さて日本。この10年で温暖化対策の何がどれだけ変わったのだろうか。こ
こにも、もう一つの「失われた10年」がある、とうそぶきたくもなる。経済
産業省や経団連、電力会社の対応ぶりを見れば。
 けれども、地域レベルではいろいろな取り組みがひろがりつつある。詳しく
は、新刊の『地域発! ストップ温暖化ハンドブック』(水谷洋一ほか編、昭和
堂)を参照されたい。例えば、市民風車をはじめ市民共同発電所の発展ぶりも、
この10年間の大きな変化といえるのではないか。
 今回紹介したいのは、都道府県レベルでの温暖化対策のコンクールである。
日本では、各道府県に地球温暖化防止活動推進センターが設置され(ただし東
京都・徳島県・鳥取県にはない)、県知事が地球温暖化防止活動推進員を委嘱し
ている。地球温暖化防止活動推進員は全国で約6000人が研修などを受け、
学校や地域の集会などで出前講座をするなど、主に啓蒙的な活動を行っている。
意欲があって、ベテランの推進員は、自分のことばで、温暖化問題を語れる「草
の根のアル・ゴア」といえる。
 この各道府県の地球温暖化防止活動推進センターが受け皿となって、「スト
ップ温暖化大作戦」という、地域での温暖化対策を表彰するコンクールを開催
している。都道府県レベルでの大会を実施し、さらに全国大会を行うという仕
組みである(私は2003年から、宮城県のセンター(ストップ温暖化センタ
ーみやぎ)のセンター長を務め、昨年7月からは、全国の地球温暖化防止活動
推進センター連絡会の代表幹事を務めている)。
 各都道府県の大会は、できるだけ各県の自主性・地域特性に委ねるかたちで
運営している。宮城県では「エコdeスマイルコンテストin みやぎ」の名のも
とに募集し、全国で2番目に多い61件の応募があった(応募は、団体でも企
業でも学校でも自治体でも個人でもいい)。9月上旬の第一次審査(書類選考)
で入賞20団体を選び、10月6日の「最終選考会」で9分ずつプレゼテーシ
ョンをしてもらった。
 昼食の休憩をはさんで審査時間も含めて、11時から16時までかかったが、
いずれもレベルが高く、まったく飽きない、あっという間の20団体の発表だ
った。
 パワーポイントを使った堂に入ったプレゼンテーション、小・中学生の大人
顔負けの発表、芝居仕立ての大学生の発表等々、ユーモアもあり、バラエティ
も豊かだった。内容的にも、バイオディーゼル燃料関連の取り組み、省エネ・
ゴミ減量活動、環境教育・啓発事業、地域活性化など、多岐にわたった。
 海・島・山・河川・温泉・農業、そして商都であり学都である仙台。登米市
や白石市、女川町などの自治体による全市的・全町的な取り組み。宮城県の地
域の総合力を再発見した大会でもあった。
 「環境問題に終わりはありません」という仙台市北六番丁小の6年児童の発
言に、心の中で喝采を贈った。同小のエコスクールの取り組みは、都市河川の
梅田川・商業地区宮町という同小周辺の地域環境を十分配慮したものだった。
朝顔の葉っぱの表と裏の温度差(2度もある!)をはかったり、東北工業大学
のスタッフの指導もあって科学する心にも満ちていた。全国的にみてもトップ
クラスのハイレベルなエコスクール活動である。
 お葬式や法事などで、必ず環境問題に触れるというエコ法話。お盆を仏式キ
ャンドルナイトと位置づけているという寺院の取り組みは、コミュニティの拠
点としての寺院の新しい可能性を示していた(入賞20団体の中に、寺院が2
つ入った)。
 ファッションビル・141ビルや東北リコーの徹底したゴミ減量の取り組み
は、商業ビルと企業の可能性を再認識させてくれた。障害者の自立支援とマイ
箸運動を結びつけた取り組みも好評だった。
 激戦を勝ち抜いて、10人の審査員の全員一致で宮城県知事賞に選ばれたの
は、塩釜水産加工業協同組合である。水産練り製品生産量日本一という「魚の
町」塩釜では、揚げかまぼこ製造時に出る年間54万リットルにのぼる廃食油
をバイオディーゼル燃料に転換し、運送用の車や市の公用車等で利用している
(プラントは2006年8月から稼働)、さらには島(松島湾に浮かぶ400の
島がある)との渡船の燃料にも導入を進めようと実験を開始している。海から
陸へ、陸から海へという地域循環型の広がりがある。温暖化ガスの削減効果は
年間約1200トンと試算されている。
 このような地域特性をふまえた各地での真摯で多彩な取り組みは、県や国の
温暖化対策に対して、「もっと真剣な政策的取り組みを」と、地域からボールを
投げ返すものともいえる。
 私は選考委員長を務めたが、試行錯誤の取り組みではあったが、募集から審
査までのプロセスをつうじて、市町村レベルの団体とのつながりが深まったこ
とも大きな成果だったと思う。
 ストップ温暖化センターみやぎのサイトを参照。
http://www.melon.or.jp/melon/contents/Global_Warming/index.htm
 全国では、予想を大きく上回る1052件の応募があった。環境大臣賞を決める
全国大会は、2月9・10日開催である。
http://www.jccca.org/daisakusen/
 ストップ温暖化大作戦メールマガジン 『すいマガ』も、毎週水曜日に刊行
されている(講読申込は、daisakusen@jccca.org)
 温暖化対策は、少しづつではあるが、地域レベルに着実に浸透しつつある、
といえるのではないか。そして、これが、温暖化という言葉が人びとに浸透し
たこととともに、この10年間のもっとも大きな変化ではないのか(2007
年12月5日)。

               長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)


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