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1. 風発:環境エネルギー激動時代の羅針盤として
                       飯田哲也(ISEP所長)

明けましておめでとうございます。引き続きISEPをよろしくお願いいたし
ます。

2007年の振り返りから。昨年は、地球温暖化政策・環境エネルギー政策の
年であった。小職も委員として参加し、1年余かけて議論を重ねてきた国の京
都議定書目標達成計画見直しの合同部会は、12月21日の最終報告を行った
が、「規制的措置」(とくに国内排出量取引)は両論併記となり、事実上の先送
りで幕を閉じた。「嘘も百回言えば・・」の言葉のとおり、「業務や家庭の増加
が問題」「自主行動計画は有効」という産業界のプロパガンダがゴリ押しされた
かたちだ。

その合同部会の議論が始まったばかりの3月に、電力会社と経産省による「新
エネ春闘」の妥結として、国民的な議論がまったく行われないまま、新エネR
PS法の目標値「2014年までに1.63%」が決定された。年末になって、
あらためて再生可能エネルギーへの期待が盛り上がったものの、経産省に再議
の姿勢はいっさい見られない。

一方、7月に柏崎刈羽原発を襲った中越沖地震は、原子力ムラが捏造してきた
「原発神話」をことごとく砕き去った。電力供給の不安定さを浮き彫りにする
と同時にCO2も国家レベルで急増させ、国の耐震基準が信頼に欠けることを
誰の目にも分かりやすく示し、なすすべもなく燃え続けた火災が不安を掻き立
て、あげくに東電を赤字転落させたのである。

また、暮れのバリ会議(COP13)で、福田首相とブッシュ米大統領・カナ
ダのハーパー首相の顔写真がタイタニック号の舳先(へさき)に掲げられた全
面広告で、日本が米・加とともに最大の妨害国となっているさまが批判された。

こうして、国内的にも国際的にも日本の無策ぶりを露呈したまま、マイナス6%
どころかプラス6.4%(2006年度、速報値)でいよいよ京都議定書の約
束期間に入った日本で、唯一の変化の芽は、国の最終報告と同日の夕方に、排
出量取引の導入などを答申した東京都環境審議会と、前々日に新温暖化戦略を
提言した横浜市である。これらは、温暖化対策における政策イノベーションの
芽として期待される。

そして2008年は、情報洪水とも言える「地球温暖化特集」で幕が明けた。
一般市民の関心を高める上で、そしてわれわれ専門職にとっては政治的な優先
度が上がり、かつ政治機会も開かれるために、もちろん「良いこと」には違い
ないが、細心の注意が必要である。注目を集めた多くの社会問題でしばしば見
られることだが、旧来勢力によって「フレームアップ」(でっちあげ)や「スピ
ン」(情報操作)され、「間違った出口」に誘導されることへの注意である。

もう一つ、原油価格がついに1バレル100ドルを突破した。未だに日本のメ
ディアでは、「ピークオイル」(世界全体の原油の生産がピークアウトする状
況)がタブーに近く、ドル安やサブプライム問題から向かってきた投機資金の
側面からの解説に留まっている。これは、日本のメディアの体質によるもので、
数ヶ月以内に、ピークオイルが大きくクローズアップされることは間違いない。
確かに100ドルを超えた瞬間値は投機資金の影響が大きいものの、構造な問
題としてはピークオイルがある。しかも、生産のピーク以前に、輸出余力のピ
ークが顕在化する。このピークオイル問題が顕在化した場合、短期的・国民経
済的の影響とその情報ラッシュは、地球温暖化問題の比ではなく、(これも日本
のメディアのフレームアップする体質から)ほとんどパニック連鎖が懸念され
る。

こうして2008年は、いわば1970年代を再現するかのような「環境エネ
ルギー激動時代」の幕開けがが予見される。ただし、この「大きな問題」に対
して、1970年代のような「大きな答」(理想論としてのあるべき論)は、そ
れが「右」(政府や業界)であっても「左」(批判側、対抗勢力)であっても、
袋小路に陥ることは歴史が証明している。問題そのものを見ない政府や業界は
論外だが、「左」の「大きな答」にもリアル社会へのコミットメントと創造性が
欠けていたからだ。

ムラ社会の日本では、タテマエの空論のもとで、乖離したリアリティが放置さ
れてきた。バックキャスティングという言葉で示される「私たちの目指す理想」
(ビジョン)を掲げることは重要だが、同時に、それをタテマエの空論に留め
ず、リアリティを覆っている薄膜を引き裂き、日本社会のリアリティにこそ規
範性を注入する必要がある。

2008年の年初に当たり、環境エネルギー政策研究所(ISEP)は、こう
した歴史と社会認識を踏まえて、環境エネルギー激動時代の羅針盤の役割を担
っていきたいと考えている。

                       飯田哲也(ISEP所長)


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