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3.「REFORMグループ ザルツブルグワークショップ」
                      山下紀明(ISEP研究員)

今年で12回目を迎えるオーストリア・ザルツブルグで開かれるエネルギー政
策に関するREFORM GROUPワークショップに参加した(注1)。所長
の飯田も理事メンバーであり、筆者は3年連続、インターンの古屋も2年続け
ての参加となった。今年のテーマは「Energy & Climate Policy -Supply Security
in international Comparison」(エネルギーと気候変動政策 ―国際比較で見
る供給の安全確保)(9月24〜28日)であり、プログラムは以下であった。

1日目 国際比較で見る気候変動政策
2日目 電力分野の規制改革、自然エネルギー政策と排出権取引
3日目 博士課程と若手研究者の日
4日目 石油と天然ガス市場 −カスピ海地域のエネルギー政策
5日目 原子力の展望、REFORMグループの研究アイデア

筆者は3日目に「東京都の気候変動政策の発展と国への政策移転」についてプ
レゼンを行った。前号のSEENで紹介した内容をもとに、古くは1950年
代からの大気汚染対策に始まり、2006年の再生可能エネルギー戦略、
2007年の気候変動対策方針の策定と先進的な取組みを行う東京都と国の施
策への影響について発表した。

国レベルの政策研究者による発表が多い中、座長のNicholas Watts氏(ロンド
ンメトロポリタン大学)からは、「都市レベル・中間レベル(intermediary
level)の潜在能力・可能性を示す興味深い事例である」とのコメントをいただ
き、「東京都は、米国におけるカリフォルニア州やEUにおけるドイツのように、
より大きな枠組みを動かしていくリーダーになってもらいたい」との期待が述
べられた。また、「なぜ都環境局が国をリードする姿勢を持ちうるのか?」「自
治体から国の規制を変えるグリーンエネルギー購入フォーラムの取組みの内容
はどうなっているのか?」などについて質疑が行われた(これらについては前
号、前々号のSEENを参照)。

古屋も同日、「日本の自然エネルギーにおける知識生産、技術と政策立案」とい
うテーマで発表を行った。1日目の気候変動政策でも話題になった「日本の国
レベルの政策は技術解に過剰な期待を寄せている」という点を指摘し、その一
方で、自治体レベルでは東京都が実効性の高い(feasible)健全な(robust)
自然エネルギー政策を立案していること、そして、それは長野県飯田市などで
行われている地域エネルギー事業の実践に裏付けられていることを、
"Cognitive praxis"という手法で分析し、斬新な視点からの考察が多くの参加
者の興味をひきつけていた。

今回のワークショップには筆者らを含め4人の日本人研究者が参加しており、
日本のエネルギー政策や電力市場についての発表を行ったが、国際的な議論の
中では日本の状況についてはいずれも少々自虐的に紹介することとなった。

ドイツは先進的であることにより利益を享受することができるという思考に基
づいた戦略的な自然エネルギー導入により、自国およびEUの目標値について
は達成できそうだが、原子力の停止に向けエネルギー需給を考えていく、とい
う更に大きな視点から、今後も継続的な推進が必要であることが議論されてい
た。元来自然エネルギーを促進すべき「新エネ等特別『措置』法」(RPS法)
が、「新エネ等特別『阻止』法」と揶揄される日本との彼我の差を感じてしまう
議論であった。

また、長期的な目標設定、規制、コミットメント、コスト効率的な施策設計な
どを組み合わせたカリフォルニアの政策などをはじめ、EU、英国、スロベニ
ア、カナダ、インドなどの分析を集中的に聞き、議論ができる貴重な場となっ
た。今回得た知見を政策提言に反映するとともに、こうしたエネルギー政策研
究者同士の情報交換の場に積極的に参加していく必要性を改めて感じた。

(注1)昨年のワークショップのプログラム、プレゼン資料はウェブサイトに
て公開。
http://web.fu-berlin.de/ffu/veranstaltungen/salzburg2006/index.htm

                      山下紀明(ISEP研究員)


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