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4. GENシンポジウム
     「京都議定書達成に、自然エネルギーは何が出来るか?」を開催し

                     大久保 望(ISEP研究員)

昨年11月より行われている国の京都議定書目標達成計画の見直しが、重要な
局面を迎えようとしている。予定では8月に中間報告、年末には最終報告が取
りまとめられ、新計画が来年春に決定される。残念ながら、地球温暖化対策と
して重要な自然エネルギーは、目達計画においてもその見直しの議論において
も脇役としての位置づけしかされていない。一方、RPS法新目標は目達計画
見直しが行われている最中に決定され、1.35%(2010年度)から1.
63%(2011−2014年度)と、元々の低すぎる目標からわずか約0.
3%の引き上げにとどまった。このような状況下、日本の自然エネルギーと気
候変動対策の将来はどうなっていくのだろうか。

表題のシンポジウムは、気候変動が深刻化する中で重みを増していく上記の問
いについて議論し、方向性を探っていく機会として「自然エネルギー促進法」
推進ネットワーク(GEN)、自然エネルギー20/20キャンペーン委員会、
そして環境エネルギー政策研究所(ISEP)の共催で7月9日に行われた。

シンポジウムは前半の登壇者による報告と、後半のフロアを交えたパネルディ
スカッションに分かれ、報告では資源エネルギー庁、環境省、東京電力、WW
Fジャパン、そして東京都からお話を頂いた。それぞれがRPS法または京都
議定書目達計画見直し・気候変動対策と自然エネルギーという共通の論題を扱
いながらも、異なる立場からの話が展開された。その中で出てきた3つの論点:
1)京都議定書との関連を含めたRPS法の評価、2)自然エネルギーの熱利
用、そして3)それぞれの組織が持つ長期ビジョン、がパネルディスカッショ
ンで議論された。

RPS法の評価では、余剰電力買い取りをしている電力会社が過度の負担をし
ているという指摘が目立った。自然エネルギー普及のカギとして、公平な費用
負担と効果的な支援措置への組み込みを挙げられるが、RPS法はこのどちら
も実現出来ていない。このままでは自然エネルギーの促進が持続可能な形で進
められないというのが共通認識としてあり、電力会社のみに負担をかけない自
然エネルギー普及の仕組みについての提案がなされた。

自然エネルギーの熱利用については、国レベルでは電気分野でのRPS法のよ
うな利用促進のための政策が何も無いことの問題が議論された。このように、
ある一部分の対策を担う個々の政策はあってもそれらが孤立しており、全体を
バックアップする政策が欠けている問題は、自然エネルギー促進だけでなく京
都議定書目達計画においても存在することがWWFから指摘された。

長期ビジョンの話においては、二つの異なる基本姿勢が浮かび上がった。どの
組織も2050年目標などを持ちながらも、エネ庁、環境省、東電は基本的に
今は出来ることを手堅く積み上げるという姿勢で、WWFと東京都は目指す将
来像を見据え、その実現のために必要な施策を実行・提案する、バックキャス
ティング的な姿勢である。特に東京都の取組は、国に先駆けて大胆な施策を入
れていくという点で、参加者の関心と期待を集めたようだった。さらにその先
進的な取組は、「エネルギー消費を最小限に抑えても豊かな生活が出来る、とい
うモデルを途上国に示し、将来像として目指してもらおう」という狙いにも基
づくことが東京都の報告の中で述べられていた。

「2050年までに世界で温室効果ガス排出を現状比で半減」という大きな目
標をG8サミットで掲げつつも、自国がこの目標達成に貢献するための具体的
な策を世界に示せていない日本。それに対して「東京都」という限られた範囲
で取組を進めつつも、根底では世界へ向けた思いを持つ東京都。

どちらの姿勢の方がより多くの個人や企業、地方自治体などに広がっていき、
その姿勢に基づいた対策が各主体によって取られていくか。それは日本がきち
んと「2050年までに排出量半減」するための役割を果たせるのか、そして
日本の自然エネルギー利用を大幅にのばせるのか、を2050年まで待たずと
もこの先10〜15年の間に決定しうる、重要な分岐点と言えるだろう。

シンポジウムの当日報告資料は下記のウェブサイトから入手できます。
http://www.isep.or.jp/event/070709sympo.html
なお、当日の議事録は間もなくISEPウェブサイトにアップされる予定です。

                     大久保 望(ISEP研究員)


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