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2)「永続地帯研究会」の一年目が終了して
     馬上丈司(千葉大学人文社会科学研究科 ISEPインターン)

 1980年に発表された「世界保全戦略」において、「持続可能な開発」
(Sustainable Development)の概念が公表されて以降、社会の持続可能性をど
のようにして確保するかが全世界的な関心事となっている。永続地帯
(Sustainable Zone)とは、再生可能な更新性資源を基盤とした経済社会への
転換を進めるための指標であり、ある区域内で分散的に得られる資源によって、
その区域におけるエネルギー需要および食糧需要のすべてを賄うことが出来る
区域として定義されるものである。更に、永続地帯のサブ概念として「エネル
ギー永続地帯」と「食糧自給地帯」という二つの概念が提示される。永続地帯
指標の社会的な役割や意義については別稿(「永続地帯―更新性資源ベースの地
域経済指標」計画行政 第29巻 第4号 P10)に譲るとして、今回は私が従
事した2006年度の永続地帯研究会における、エネルギー永続地帯の研究に
ついて述べさせていただく。

 エネルギー永続地帯とは、その区域における自然エネルギーのみによって、
その区域におけるエネルギー需要をすべて賄うことが出来る区域である。この
研究会では、エネルギー永続地帯概念にかかる指標の推計方法の検討に始まり、
実際に日本国内の全市区町村のエネルギー需要および自然エネルギー供給につ
いてデータ収集を行い、暫定的ながらエネルギー永続地帯指標の推計値を算出
するに至った。エネルギー需要として家庭や業務用の民生部門の電力、自然エ
ネルギー供給については発電施設に限定して指標の推計を行った。今回の研究
では、自然エネルギーによる電力供給手段として、太陽光発電、風力発電、地
熱発電、バイオマス発電、小水力発電を対象とし、この中で私自身が担当した
のは、区域内の自然エネルギー供給量のうち、一般住宅用太陽光発電、事業用
太陽光発電、事業用風力発電、地熱発電の四種類のデータ収集である。この四
種類については、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)やNEF
(新エネルギー財団)、RPS管理システムなどで設備所在についての詳細な資
料が公表されているため、自然エネルギー供給設備をリスト化する作業は行き
詰まるということはなかった。問題は、供給設備からそこで実際に生み出され
るエネルギー量を推計する作業である。自然エネルギーの発電設備では、事業
用でも実際の発電量が公表されていることが少ないため、設備容量から発電量
を推計しなければならない。例えば、太陽光発電では年間日照時間や日射強度、
風力発電では風況をはじめとし、推計のために勘案すべき条件は多岐に亘るこ
とになる。更に、それを国内の全市区町村で行うのである。研究会では幾度も
議論を重ねて推計式を組み上げ、半年を要して自然エネルギー供給については
一応の完成を見ることが出来た。自然エネルギー供給の部分における今後の課
題としては、可能な限り多くの設備データを収集し、実際の供給実績量に近く
なるような推計式を組み上げることにある。

 今回、国内の全市区町村の自然エネルギー供給のデータに触れることとなっ
たわけであるが、整理された設備容量の数字だけを見ても、各々の地域におけ
る自然エネルギー利用の現状が見えてくる。例えば、風況の良い場所には既に
大規模なウィンドファームがあり、日照時間の長い地域ではやはり太陽光発電
設備の導入が盛んであるし、人口に比べて設備数の多い地域では行政の補助政
策や市民による普及活動が進められていた。このような特徴をいち早く見いだ
し、より伸ばす方向へと向かわせる意味でも、永続地帯指標は意味を持つので
はないだろうかと感じている。


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