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3.第11回アメリカ再生可能エネルギーマーケティング会議
                      中尾敏夫(ISEP研究員)

 2006年12月3日から6日まで、米国サンフランシスコで第11回アメ
リカ再生可能エネルギーマーケティング会議(The Eleventh National
Renewable Energy Marketing Conference)が開催された。この会議は米国の電
力市場に於けるグリーン電力の現状をレビューし、顧客の選択を通して再生可
能エネルギーのリソース開発を増加させるための戦略を探ることを目的に、
1996年から毎年開催されている。米国において最も普及しているグリーン
電力の認証機関であるGreen-eを運営するCenter for Resource Solutions (C
RS)と、米国エネルギー省、そして米国環境保護庁がそのオーガナイザーを担
っている。米国は世界で最もグリーン電力ビジネスが進んでいる国と言われて
おり、その空気を直に感じたくて私はこの会議に参加してきた。

 会議は3日のプレに始まり、6日の問題総括まで、途中で政策、プログラム
管理、製品マーケティング、オンサイトといった別トラックや、その年のグリ
ーンパワーリーダーシップ賞の発表などを挟みながら進んでいった。米国のグ
リーン電力市場に参加する企業やNGO・NPOなどによる数多くの実例を踏
まえたプレゼンテーションと、フロアの間で交わされる議論は、隅から隅まで
刺激に満ちたものだった。幸福なことにこれらのプレゼンテーションの内容は
全て米国エネルギー省のWebサイトで公開されているので、興味を持った方
は是非そちらの詳しい情報を見てほしい。ここでは、Webサイトでは得るこ
との出来ない、その会場に溢れていた空気のようなものを、私は伝えたいと思
う。


 そこには熱気があった。電気事業者もメーカーもグリーン電力証書の仲介者
もNGO・NPOでさえも、「グリーン電力」という新しいビジネスチャンスを
活かそうと目を光らせていた。「地球温暖化防止」「再生可能エネルギーの普
及」という共通の理念を持ちながらも(もちろん、会議で出会った人は皆『不
都合な真実』を見ていた)、激しい生き残り競争に火花を散らせるその姿に私は
圧倒されてしまった。


 ここで「生き残り競争」と書いたのには理由がある。この盛り上がりはバブ
ルの様相を呈していると言われているからだ。私は会場で偶然ある日本人に出
会った。エネルギー関係のベンチャーに投資を行う企業で仕事をする彼が言う
には、今「グリーン電力」に限らず「再生可能エネルギー」の市場に多額の投
資が流入し、数多くのベンチャー企業が生まれている。これらのベンチャーは
投資家から厳しい売り上げ目標を提示され、それと引き替え数年の運転資金を
与えられている。もちろん期限までに目標を達成できなければ追加の融資を得
ることが出来ず、企業は倒産する。「ここにいる企業の内、3年後にも存続して
いるのはほんの数社だろう」と日本人の彼は分析していた。グリーン電力証書
を扱うベンチャーの社員に話を聞いてみても「確かに資金が簡単に集まりすぎ
ている」という意見だった。それでも彼の目はその「ほんの数社」に入る自信
に満ちていた。日本のグリーン電力市場はまだまだ黎明期だが、ここにはビジ
ネスがあった。


 そもそも日本と米国ではグリーン電力市場の規模が違う。日本でのグリーン
電力の年間取扱量は数千万kWhだが、この数字は米国と比べて0が2つほど
少ない。その理由を現地のベンチャーの彼に聞いたら「やっぱり政策の後押し
が大きい」と言っていた。


 京都議定書の批准を拒否したことから、米国は地球温暖化防止政策に対して
後ろ向きであるかのような印象を持つ人がいるかも知れないが、それは間違い
である。日本の都道府県とは違って、強い権力を持つ米国の州の中には、地球
温暖化防止に非常に前向きな政策や再生可能エネルギー利用の高い目標値を掲
げる州が少なくない。今回の会議が開催されたカリフォルニア州でも、
2010年までに電力の20%を再生可能エネルギー由来のものにするという
法律が、昨年の9月27日に成立している。


 翻って日本はどうだろう? 先ほども書いたが日本のグリーン電力市場はま
だまだ黎明期と言わざるを得ない。その発展の重要なファクターが政策の後押
しなのだとすれば、2014年でたった1.77%と、小数点以下について言
及しなければならない目標値を掲げる日本の将来は悲惨なもののように思える。

 しかし、米国でもそうだったように、国よりも小さな行政単位では先進的な
取り組みが始まっている。中でも東京都は、2020年までに再生可能エネル
ギーの利用率をエネルギー(電力に限らず、熱、動力などを含む)の20%に
するという、最も野心的な目標値を掲げており、それに向けた数々の施策を検
討している。また、佐賀県でも同様に10%という目標を掲げ、他にもいくつ
かの自治体が検討を始めている。日本も動き出しているのだ。

 米国のグリーン電力への投資は過熱気味とはいえ、それが再生可能エネルギ
ーの普及、ひいては地球温暖化の防止に貢献することは明白である。日本のグ
リーン電力市場の行く末がどうなるか、それは我々により近い政府の言動をウ
ォッチすることで見えてくる。グリーン電力の利用を促進させる政策を我々が
支持することで、先進的な取り組みがもっと広がっていけば、日本のグリーン
電力市場はこれから面白くなっていくだろう。それは我々が選ぶことが出来る
エネルギーの選択肢を増やし、ひいては我々が選ぶことが出来る未来の選択肢
を増やすことにもつながっていくのである。

(参考)
・National Renewable Energy Marketing Conference :
http://www.eere.energy.gov/greenpower/conference/
・東京都再生可能エネルギー戦略:
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/04/DATA/20g43100.pdf・佐賀
県新エネルギー導入戦略的行動計画:
http://www.pref.saga.lg.jp/at-contents/kankyo/energy/torikumi/pdf/p-
10.pdf


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