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3.飯田市おひさまレポート
       「飯田市美術博物館の省エネ工事はじまる」
                  竹村英明(おひさま進歩エネルギー)

 おひさま進歩エネルギーの「まほろば事業(環境と経済の好循環のまちモデ
ル事業)」は事業年度の最終年である三年度が終ろうとしている。初年度が太陽
光発電の設置、二年度、三年度がエスコ事業の省エネ工事実施。おひさまは、
この2事業を対象に匿名組合契約による市民出資を集めた。予定した事業規模
は約4億円で、ほぼこれに匹敵する規模の事業実績を残せる見込みである。
 二年度目に、おひさまにとっては不可抗力の事情が発生し、環境省交付金を
まったく受け取れないという事態があり、出資者への最初の現金分配が予定の
満額分行えるかは、まだ検討中であるが、契約年度を通じての返還・分配はまず
予定通り行えるものと、正直、胸をなでおろしている。

・飯田市美術博物館の空調交換

この1月から、環境文化都市飯田の象徴でもある「飯田市美術博物館」の省エネ
工事がはじまった。展示室を含む全館の空調を行っている、大きな古い空調機
の交換を中心とした省エネ改善で、総事業費で2億3千万円を超える事業であ
る。
 この美術博物館は、1988年に竣工し、およそ18年間順調に営業を続け
ている。美術館では菱田春草の「春秋」をはじめ著名な絵画を所蔵し、博物館で
は飯田市周辺から出土した魚介類の化石などから、太平洋プレートによる造山
運動と南アルプスなどが出来上がったメカニズムをわかりやすく解説している。
来訪者は年間およそ6万4千人で、10万人都市にあって堅実な営業実績を残
している。正面入り口手前の庭には、巨大な安富桜(エドヒガン)が鎮座して
いる。樹齢は350年、樹高20m、枝ぶりの直径は同じく20メートルはあ
ろうかという見事な古木で、桜の季節には大勢の見物客が訪れる。
 そんな美術博物館の命ともいえる空調システムが、この5、6年トラブル続
きで修繕をしながら「だましだまし」使っている状態だった。思いきった空調
機交換を何度も飯田市に要請していたが、数億円は必要という予算規模に市も
とても予算化できないで来ていた。その一方で、多い年には1千万円を超える
修繕費がかかったりしていた。
 美術博物館からこの空調交換をおひさまエスコでやってくれないかという打
診があったのは昨年夏のことである。そもそも当初に予定していた規模とはか
け離れたものであり、最初は躊躇があった。環境省が認めてくれるのかという
不安もあった。
 しかし、「自然エネルギー.コムグループ」としては、空調機交換について備
前グリーンエネルギーでの実践経験もあり、技術的には可能との判断があった。
環境省を訪問した機会に打診を繰り返し、その省エネ削減量の大きさが認識し
てもらえたからか、補助金対象として認めてもらえて、思い切って挑戦をする
ことになったのである。

・市の税金を使わず巨大改善工事の初期投資費を捻出

 省エネ改善工事の中心は、屋上と1階にある3つの古い空調機を撤去し、新
たに屋上に高効率の空調機を設置することである。屋上の機器は古く18年た
って寿命をむかえていた。1階の機器は10年ほど前に追加された高効率機器
で、高度な温度湿度管理を行えるもので、本体と補助用の機器2台で構成され
ていた。
 当初計画は、屋上に省エネ型本機1台、補助用機器1台の計2台への交換を
考えていたが、検討を重ねるうちにT社の最新鋭機が高効率である上に、連結
システムで、規模も自由に変更できるし、自分自身がバックアップ機器にもな
るという「優れもの」であることがわかり、それを1台設置することになった。
7連結なので7台というべきかも知れないが、当初見込みより、予算もぐんと
減らすことができた。私たちが環境省に「紹介した」からでもないだろうが、
T社のこの機器は今年の環境省「省エネ大賞」を受賞した。
 通常なら飯田市の行政予算(税金)で行われる美術博物館の改善改修工事が、
おひさまが「省エネ事業」として受注することによって、「まほろば」補助金と
市民出資資金を投入されることになった。この仕組みは、まさに「公共工事へ
の民間資金の導入」である。
 実際の工事はおひさまから工事業者に発注され、おひさまは資金面ではリー
ス事業者のような役割を担う。一方で工事内容に関しては、省エネ設計・監理
事業者のような役割を担う。通常は一緒になることのない二つの役割を担う、
まさに「エスコ」の形なのである。
 ただし、美術博物館の省エネ改善工事は、電力削減額を機器工事費がはるか
に上回っており厳密な意味でエスコと呼ぶことはできないかもしれない。しか
し、二酸化炭素の排出削減は35%以上と絶大な効果を発揮する。飯田市はそ
れを初期投資費用ゼロで実現し、これまでかかっていた修繕費用が不要になり、
電気代は500万円以上安くなり、しかも10年間は機器の機能維持をおひさ
まから保証されるのである。とても大きな成果と考えるべきではないだろうか。

・ストレートに理解されなかったおひさまシステム

 最初はこのリース事業者と設計監理事業者が一緒になった、おひさまエスコ
の仕組みが飯田市側に理解されず、おひさまが出した見積書に対し、単なる工
事施工業者の相見積を示してもっと安くせよと要求されたり、飯田市の独自起
債の方が金利は安いと詰問されたり、とてもギクシャクした。
 単純な工事施工業者であれば資金面でリース業者のような役割は担えないし、
単に起債で資金を集めただけでは省エネ設計監理という部分の支出はさらにそ
の中から発生する。この省エネ設計・施工管理部分の役割評価についても、最
初はとても低い評価しかいただけず、このままでは事業断念もやむなしという
ところまで追い込まれたこともあった。
 いちばん苦しかったのは、本来のエスコではなくコスト削減額を機器工事費
がはるかに上回っているために、おひさまの取り分が捻出できなかったことで
ある。おひさまエスコの事業モデルは、省エネ改善によって電気料金などのコ
ストを削減し、そこから機器工事費やメンテナンス費などを引いて、残ったメ
リットを事業者と顧客とでわけるというものである。このメリットが出ないと、
おひさまは取るところがないのだ。それにもかかわらず、省エネ設計監理の部
分も高すぎると減額を求められ、「ほんとこれでは倒産します!」と訴えたこと
もあった。
 最終的には、おひさまエスコの仕組みを飯田市の担当者にもよく理解してい
ただき、飯田市長の大英断でこの事業に踏み込んでいただけた。おそらく、飯
田市にとってもおひさまにとっても、そして美術館スタッフの皆さんと来訪者
の皆さんにとっても、とてもハッピーな省エネ改善となったものと思う。

・小規模商店街エスコの難しさ

 さて、もともと、おひさまエスコは小規模の商店街エスコの実現をめざして
事業化を図ろうとしたものである。しかし現実には、小規模商店の場合、ベー
スとなるエネルギー消費量が毎月数万円と少ないため、削減額が大きくできて
もその額は非常に小さい。毎月2万円の電気代を1割減らせても、10年で2
4万円にしかならない。この額では大きな省エネ効果を得られる工事はできな
いし、あえてやれば赤字となる。
 実際にいくつか小規模商店のエスコを実施したが、収支計算で顧客を赤字に
するわけにも行かず、その部分をおひさまが負担するものばかりだった。少な
い投資で最も省エネ効果を上げることができるのは、省エネの基本中の基本の
電球から蛍光灯への交換である。ところが、いずれ交換する器具であり、顧客
の自費で順繰りに交換していけるレベルのもので、これだけの提案だと顧客が
自分で実施してしまうのである。
 小規模商店でもう一つ難しさを実感したのは、契約期間が10年というエス
コサービスの長さである。10年間も店内改装もせず同じように営業し続ける
店舗は少ないということだ。中には自社建物ではなく貸ビルや貸店舗で営業し
ているお客もある。改装どころか移転もあり得るわけで、こういう条件のお客
と10年のサービス契約を結ぶことはほぼ不可能だ。5年契約が限度というの
が実感である。
 さらに地方都市の衰退という現実がある。ほとんどの店舗の売り上げは年々
悪くなっており、小規模商店主の意識は地球温暖化問題より売上げの回復と経
費節減にある。おひさまエスコは、まさに経費節減なのだが、大きな削減効果
が提案ができたところですら、そのメリットをなかなかわかってもらえなかっ
た。
 しかし一方で、この3年間のまほろば事業の格闘の中から、小規模エスコは
どのようにやれば良いのか、薄っすらとではあるが、その形が見えてきた。商
店街活性化の方策として登場した「さんぽちゃん商店街」プランの中で、その答
えが見出せるかもしれない。
 おひさまエスコは、いままだ進化中なのである。

                  竹村英明(おひさま進歩エネルギー)


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