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2.寄稿 米国内で進む、温室効果ガス排出削減の制度
                     井田徹治(共同通信社 科学部)

 米カリフォルニア州で、発電所や工場などに地球温暖化の原因となる温室効
果ガスの大幅な削減を義務付ける法律が成立した。新法は、2020年までに
温室効果ガスの排出量を現状から25%削減しで1990年レベルに下げ、
50年までには90年比で80%の大幅削減を目指す内容だ。発電所や工場な
どの大規模事業所に、12年から具体的な排出削減策の実施を義務付ける。
 これには、単なる米国の一州の取り組み以上の大きな意味がある。カリフォ
ルニア州の経済規模を他の国と比較すると、イタリアより大きく、世界第6位
になる。温室効果ガスの排出量では世界12位と言われているから、削減量は
決して小さくない。
だが、それよりも大きな意義は、米国内で温暖化対策に熱心な多くの州政府の
取り組みへの刺激になるという点だ。クリントン政権時代、国務次官補として
京都議定書の交渉にかかわったこともある米ピュー気候変動研究センターのア
イリーン・クラウセン代表は「米国の環境政策では州政府が先に進み、それが
後に連邦政府の政策となった例は少なくない」と言う。企業は州ごとに違った
規制が導入されることを嫌い、統一された環境対策を望む、というのが理由の
一つだ。
 米国内で温室効果ガスの排出削減目標を持つ州はカリフォルニアを含め、ニ
ュージャージー、オレゴンなど既に12州もある。中でもニューヨークなど北
東部の九州は、企業に排出削減を義務付け、事業所間で排出枠の取引を認める
という京都議定書そっくりの制度を共同で導入することを決めている。
 デュークエナジーやパシフィック・ガス・アンド・エレクトリックなど規模
の大きい電力会社などの中にも排出削減の義務付けや炭素税の導入を支持する
声が出始めた。早めに省エネなどを進めている企業にとっては、強力な公的対
策の導入はむしろプラスになるからだ。
 ある米国の議会筋は「相次ぐハリケーンの被害などもあって、有権者の温暖
化に対する関心が高まっている。議会内では共和党、民主党を問わず、ブッシ
ュ大統領の温暖化対策は不十分だとの考えが多数になっている。次期政権下で
思い切った温暖化対策法案が可決される可能性は十分ある」と話す。
 これらの米国の動きが示すのは「米国政府が温室効果ガスの大幅な削減に乗
り出す可能性は低い」との先入観で国際交渉に臨み、国内対策を議論するよう
な対応が誤りであるということだ。
 思い切った温暖化対策を進めることへの反対理由に米政府の消極姿勢をあげ、
米企業との国際競争で不利になることを指摘する声が、日本国内ではいまだに
ある。
 十年前、京都議定書の採択の時もそうだった。会議直前まで米国は大幅な排
出削減に難色を示し、国内の産業界も通商産業省(当時)もこれを根拠の一つ
に、大幅な排出削減で合意することに反対していた。だが、米国は会議にゴア
副大統領(当時)を送り込み、態度を転換して大幅な削減の受け入れを表明。
一挙に交渉をリードする立場に立った。米欧からのプレッシャーの中、日本は
当初の想定を大幅に超える6%の削減を飲まざるを得なくなったのだった。
 新たな議定書に法的な拘束力を持たせるべきかどうかが議論になった前年の
第2回締約国会議をはじめ、地球環境問題に関する国際会議の取材で「気が付
いたら後ろにいたはずの米国が先を走っていて、置いて行かれた日本が恥をか
きながらあたふたと譲歩を迫られる」という局面を何度も目撃した。
 こんな過去の交渉と同じ過ちを今後の国際交渉で繰り返さないようにするた
めには、行動をしないための言い訳を海外に探す姿勢を改めることが何より必
要だと考える。

                     井田徹治(共同通信社 科学部)


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