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1. 風発 ガイアの勘違い逆襲
                        飯田哲也(ISEP所長)

10月29日の朝刊に、ジェームス・ラブロック博士へのインタビューを題材
にした広告記事(提供:財団法人日本原子力文化振興財団)が一面で掲載され
ていた。ラブロックといえば、1960年代に地球を一つの生命体とみなす
「ガイア仮説」の提唱者として知られ、新環境主義の教祖の一人であった。そ
のラブロックが、2004年に「原子力だけが(気候変動に対する)唯一のグ
リーンな解決法だ」という寄稿
http://comment.independent.co.uk/commentators/article61727.ece
を寄せて、環境コミュニティに論争と批判を巻き起こしている。原子力ムラは、
この思いがけない「転向者」の出現に大はしゃぎで、ついに日本にもご招待し
たと言うわけだ。

ただし、ラブロックには「前科」があり、急に転向したわけではない。
1973年にフロンはオゾン層に無害だと主張したり、1987年にはチェル
ノブイリ事故で深刻な放射能影響は出ないなどと発言している。1984年の
インタビューですでに原子力支持を主張しており、実は、筋金入りの「反環境
主義者」であり、「原子力推進者」なのだ。ラブロックの主張を見ても、エネ
ルギー政策への無理解が目立つ。とりわけ原子力の本質的な問題点と再生可能
エネルギーの近年の急進化については、まったく理解していないようだ。それ
はそうだろう。ラブロックは地球科学者であり、環境エネルギー政策ではシロ
ウト同然だからだ。同じ過誤が、たとえば日本の地球科学者である松井孝典東
京大学大学院教授の言説にも見られる。

それはともかく、こうした動きの背景には、「原子力ルネサンス」と呼ばれる
原子力ムラの機運がある。近年、欧州や米国で原子力発電の見直しと建設計画
の動きが見られる動きだ。具体的には、02年5月に原発増設を決めたフィン
ランドや米国ブッシュ政権による原子力新設計画と「グローバル原子力パート
ナーシップ」、フランスの欧州加圧水型炉(EPR)の建設計画、英国ブレア
政権による06年のエネルギーレビューにおける原子力再評価などを指す。

原子力発電は政治的な批判や一般市民からの不安感の根強さに加えて、電気事
業の民営化・自由化・規制緩和の流れの中で、経営面・投資面からも魅力を失
って、中国など一部を除いて原子力開発は停滞や脱原発に向かい、日本でも
90年代末から急速に停滞した。しかし、(1)米国で原子力発電所の統合に
よって規制緩和環境下で競争力のある原子力発電事業が登場したこと、(2)
地球温暖化防止や原油価格の急騰、エネルギー安全保障への対応策として見直
されたこと、そしてやはり(3)エネルギー既得権益の巣窟であるブッシュ政
権の強い後押しなどを背景に、原子力ルネサンスの動きが意図的に言説操作
(スピン)されたことが明らかだ。とはいえ、飛躍的な拡大というよりも、既
存原発の寿命延長や建て替えが主な市場に過ぎず、原子力の抱える根本的な課
題である巨大事故のリスクと核廃棄物の最終処分問題は何も解決されておらず、
原子力ルネサンスの内実は空っぽだ。

さて、晩秋の小春日和のもと、千葉県旭市の滝のさと自然公園で市民風車オー
プニングイベントに協力団体代表として参加した。三百名余りの参加者でこぢ
んまりとしていたが、白井貴子さんのミニライブも織り交ぜ、自然公園という
立地のおかげで子供たちや家族連れが目立つ、終始和やかな集まりだった。そ
の場で「かざみ」と名付けられた市民風車は、全国では9番目、関東では初め
てとなる。まだ日本の風車の1%、出資者も1万人に届かないが、出資した人
たちはコトの本質を見抜いている。ラブロックのような高見から人と社会を見
ない言説は打ち捨てられ、人と社会を都合良く操作(スピン)する原子力も衰
えていく。そして、人と社会に支えられた自然エネルギーこそが本流となる・・・
力強く回る市民風車を見ながら、あらためて確信したのである。

                        飯田哲也(ISEP所長)


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