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5.デンマークから学ぶ持続可能なエネルギー社会
                  第二回 低エネルギー社会のすすめ
        細川和朗(ISEPインターン 神戸大学国際文化学部)

前回はサムソ環境エネルギー事務所のソーレン・ハーマンセン氏に伺ったサム
ソ島の再生可能エネルギー100%供給の取り組みを紹介した。今回は、環境
エネルギー政策研究所の顧問でもあり、『エネルギーと私たちの社会-デンマー
クに学ぶ成熟社会-』(新評論/2002年/飯田哲也訳)の著者でもあるデン
マーク工科大学教授のヨアン・ノルゴー氏に伺った低エネルギー社会について
紹介したいと思う。

まず、同じエネルギー問題を考えるときにでも、「供給」と「需要」の2つの視
点で見るとアプローチの仕方が異なってくる。例えば、気候変動対策として化
石燃料の消費削減が挙げられるが、サムソ島のように再生可能エネルギーの普
及を試みるのは「供給」側からのアプローチである。しかし、逆に「需要」側
からの見てみると、対処の仕方は異なる。つまり、省エネルギー対策の促進な
どを通じてエネルギー需要自体を減少させることが「需要」側のアプローチと
なる。

この「需要」側のアプローチをまず進めるべきだと、ノルゴー氏は考える。も
ちろん彼は再生可能エネルギーの普及を完全に否定しているわけではない。た
だ人々がより少ないエネルギーを求めることになればより少ないエネルギーを
供給すればよいわけだから、供給に至るまでの各段階における従来の環境影響
はその分減少することになり、さらに新規発電所の建設等の必要性がなくなり
資源・エネルギーの節約になるということを主張する。つまり、理想とすると
ころは、エネルギーに対する需要をできるだけ減少させ、必要不可欠な部分を
再生可能エネルギー源から供給するということになるだろう。

そのひとつの手段として、ノルゴー氏は「パッシブソーラー」(Passive
Solar)という例を挙げてくれた。太陽エネルギーを利用するソーラーシステム
のうち、集熱器のような特別な装置で太陽熱を濃縮したり太陽光パネルで電力
に変換したりするのがアクティブソーラーで、これに対して、建築の工夫によ
って太陽エネルギーを活かす仕組みをパッシブソーラーという。窓の採光・断
熱の効率性、壁の断熱構造、建築全体を考慮した風通しや採光など包括的にパ
ッシブソーラーの考えで捉えられた建築は、その空間内で必要とするエネルギ
ーを従来建築の10分の1に抑えることが可能であるという。

ただ問題として指摘されるのが、経済的余裕がなければ誰も建築の改善に取り
組まないし、また取り組むだけの資金をなかなか確保できないということ。さ
らには経済的余裕が生じたとしても、それぞれ個人の選好によって、ある人は
より充実した家具を揃えたがるだろうし、ある人は趣味のガーデニングに力を
入れるだろうということ。つまり、すべての人が揃って省エネルギー対策に投
資することはなかなか考えがたいということである。だからここで重要となる
のは、パッシブソーラーなど省エネルギー対策に対して補助金を出すなど経済
的なインセンティブを働かせる政策手法やESCOのような経済的利益を生み
出すビジネスモデルだと思われる。

もちろんパッシブソーラーなどの省エネルギー対策のみが低エネルギー社会に
向けた取り組みではない。低エネルギー社会への挑戦は、私たち個人の生活や
日々の選択にも大きく関わってくる。何度かノルゴー氏のお宅を訪問し、食事
もご一緒させていただいたが、その生活の中にヒントは隠されていた。例えば、
食事。市販の加工食品は加熱や冷凍、保存のためにエネルギーや添加物を必要
とするので選ばない。無農薬のものや自家製がほとんどである。また、移動。
自動車や飛行機は最終手段である。これら日々の生活に関わることは、自らの
ライフスタイルを見直すことや自らが消費する財やサービスのライフサイクル
を考慮することで、おのずと改善すべき点が見つかるはずである。"いかにエネ
ルギー消費を抑えて生活の満足性を維持もしくは向上させるか、"これは私の低
エネルギー社会へ向けた日々の挑戦である。

前回のサムソ島における再生可能ネルギー普及、そして今回のノルゴー氏の考
える低エネルギー社会、供に今後の目指すべき社会に必要不可欠な要素である。
最終回の次回は、未来を自分達で選び取るという政治の必要性を力説してくれ
たフォルケセンターのプレーベン・マガード氏の取り組みを紹介したいと思う。

        細川和朗(ISEPインターン 神戸大学国際文化学部)


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