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3.NGOの視点「G8サミットと市民参加」
                     大林ミカ(ISEP副所長)

9月初め、イギリスのチャタムハウスが主宰する、グレンイーグルズ・ダイア
ログのフォローアップ会議へ参加した。昨年イギリスで開催されたグレンイー
グルズG8サミットで合意されたG8諸国と主要途上国間が京都議定書の将来
枠組みについて話し合う「気候変動、クリーンエネルギー、持続可能な開発に
関するダイアログ」を受けて、イギリス政府を囲んで、メキシコで10月に開
催される閣僚級会議へのNGOの意見を話し合うものだった。

G8サミットは、日本、フランス、イギリス、米国、ドイツ、イタリア、カナ
ダ、ロシアの先進国八ヶ国が集まる首脳会議で、毎年回り持ちで開催される。
表面的な外交の場として批判されることも多い会議だが、各国首脳と公的意見
交換の場が少ない日本にとっては、重要な意見調整の場と言えるだろうし、先
のグレンイーグルズ・ダイアログのように他の国際交渉にも影響を与える取り
組みも生まれている。昨年はイギリスで気候変動と貧困が取りあげられ、今年
はロシアでエネルギー安全保障がそれぞれ中心議題として議論され、来年はド
イツ、再来年は日本での開催が決定している。

G8では、「シェルパ」(登山の道先案内人)と呼ばれる各国の政府担当官たち
が、サミット(山頂)に向けて、国々の意見調整などの準備作業を事前に行う。
最近の傾向では、主宰国シェルパは各国を巡回し、政府だけではなく市民社会
と意見交換をすることが慣例となっている。昨年は、ISEPを含めたエネル
ギー・気候変動関係のNGOは、日本を訪れたイギリス政府シェルパと、G8
で取りあげるべき気候変動問題の論点について意見交換を行ったし、本番のサ
ミット開催以前に、チャタムハウスの主宰する会議に日本からもNGOが招か
れ、受け身ではない市民参加の機会が設けられた。

今年のロシアのシェルパとは、日本政府との連絡が上手く行かずに残念ながら
意見交換ができなかったが、今回は、ロシア現地で二度にわたって「シビルG
8」が開催、世界中から500を超えるNGOが政府によって招聘され、エネ
ルギー気候変動からもISEPが参加した。シビルG8の運営では、世界中か
ら「普通のNGO」が多数参加したが、政府系NGOと「普通のNGO」との
確執が存在したし、議論された内容はプーチン大統領や各国シェルパに届けら
れるに留まり、本番のG8へ直接意見を反映する届けることはできなかった。

2回目の本番直前に開催されたシビルG8で、プーチン大統領との直接の意見
交換の場が設けられた。世界中からの数百の活動家が集う会場に姿を現した大
統領は、同じ円卓に座り、エネルギー気候変動、遺伝子組み換え問題、貧困、
人権など、市民社会からのそれぞれの意見について、2時間にわたって意見交
換を行った。内容面では「地球温暖化は科学的に証明されていない」と発言す
るなどの大きな隔たりが目立ったが、意外に気取らない様子は、少なくとも市
民社会に好印象を与えた。実際、チェルノブイリから10年にあたる今年に改
めて原発の推進を打ち出す大統領の持論に対して、ウクライナの活動家たちが
無言で椅子に立ち上がって反対の意思を表した時に「どうぞお座りください。
それともそのまま立っていてもいいですよ。そのままにしておきましょう、彼
らは彼らの意見を言うためにここにきているのだから」と言って慌てずに話を
続けた大統領は、NGOの間で明らかに株を上げたのである。

来年開催予定のドイツでは、すでに市民社会が活発化し、連合体が組織され、
これから半年の間にも、大臣も参加する複数の国際市民集会が予定されている。
ISEPも10月中旬にベルリンで開催されるG8: Energy Agendaに参加を
予定している。そして、2008年の日本のG8については、開発系のNGO
を中心に市民連絡会を組織する動きが始まっている。先のグレンイーグルズ・
ダイアログは、日本での結果報告が予定されているため、京都議定書の第一約
束期間の始まる2008年の日本のG8では、気候変動問題は、単なる議題の一
つを超えて主要な議題として取りあげられる必要があり、エネルギー気候変動
系も、政府との話し合いを開始している。

日本だけの課題ではないだろうが、今まで日本で開催されたG8では、政府との
意見交換は表面的なもので情報提供はセレモニーであり、実際のG8へのイン
プットは皆無、市民社会そのものも連携して効果的な活動が出来たとは言い難
いと聞く。日本政府には、せめて他の国々と同じように、各国にシェルパを送
り、市民社会と直に意見交換する場を設けて欲しい。国内についても、できる
だけ早く、政府横断的な定期意見会合の場を設け、率直な意見交換を実施し、
2008年へのプロセスを透明にすることを望みたい。そして、NGOも、そ
れぞれの活動分野が深化され焦点化するように努力するだけではなく、分野横
断的に市民社会全体の底上げを念頭に置いて活動すべきである。市民参加が健
全に機能することこそが持続可能な社会の基本となる。

Gleneagles G8:http://www.g8.gov.uk/
St. Petersburg G8:http://en.g8russia.ru/
Civil G8:http://en.civilg8.ru/

                     大林ミカ(ISEP副所長)


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