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5.NGOの視点より:「不都合な真実」
                      大林ミカ(ISEP副所長)

「An Inconvenient Truth:不都合な真実」。米国大統領候補で、クリントン
政権の副大統領だった、アル・ゴアの書籍・映画のタイトルだ。どちらも静か
なブームを起こし、全米に広く拡がりつつある。書籍(現在英語版のみ)は、
話題になると同時にネットで購入していたが、映画は、先日米国に行った際に
ようやく観る機会を得た。残念ながら日本での公開はもう少し先、2007年
新春だという。

内容は、地球温暖化問題をライフワークとして活動するゴアの、地球温暖化問
題と現在起こっている影響についてのレクチャーである。

と書くと、まったく退屈に響くが、実際には、月から見た地球、アルプスの氷
河が融解していく様子など、有名な写真や豊富な図を駆使しつつ、テンポ良く
わかりやすく説明していくので、全然飽きることがない。

書籍も映画も、デザイン的に非常に優れた画像で人目を惹きつける。しかし、
そこで明らかにされる地球温暖化の深刻な影響が大変衝撃的だからこそ、目が
離せないのである。この、最新の科学的データと共に次々に明らかにされる事
実は、多くの人々にとっては、信じがたい出来事でもあるだろう。

タイトルの「不都合な真実」とは、未だに地球温暖化は起きていないと否定し
続ける政府や産業界などの、国際政治で大きなパワーを振るう人々にとっての
「不都合さ」であるし、わたしたち一人一人が、自覚しつつも直視していない
現実を表す言葉でもある。

英国政府の報告書「危険な気候変動を避けるために」("Avoiding Dangerous
Climate Change,” Hans Joachim Schellnhuber, 2006)では、地球温暖化
の進行した状況を、次のように分析している。

◆産業革命前に比べ1℃~2℃の気温上昇:世界レベルで危険性がかなり高ま
る。生態系のうち10%が影響を受ける。氷河の溶解による南米大陸での飲料
水、エネルギー、農業への深刻な影響。 グリーンランドの氷の溶解開始により
数世紀にわたる7メートルもの海面上昇、など。
◆産業革命前に比べ2℃の気温上昇:危険性が一気に高まる。夏のあいだ北極
海の氷が完全に溶解、北極熊やセイウチが絶滅する。珊瑚礁の97%が消失す
る。砂漠化が進行、食料・水不足、貧困が進み北アフリカで大量の気候変動難
民が発生する、など。

そして、すでに0.6℃の温度上昇を招いている現在、取り返しのつかない異
変が起き始めている。

ここ一、二年にまとまりつつある世界の科学のコンセンサスは、2050年ま
でに、世界全体で60~80%の温室効果ガスの削減が必要というものである。
一方で、日本の状況をみると、つい先日発表された日本の京都議定書第一約束
期間5年間における割当量は、約59億トンであるという。割当量とは、この
量を超えてはならない枠を示すものだ。また、2004年度の総排出量(約1
3億5500万トン)は1990年基準年の総排出量(約12億6100万ト
ン)と比較して約7.4%増となっており、公約である6%を削減するために
は、これから13~14%の削減が必要とされていることになる。

世界の自然エネルギー普及を牽引するドイツは、基準年に比べてすでに19%
の削減を達成(ドイツの目標値はマイナス21%)、自然エネルギーだけで
8300万トンの二酸化炭素を削減している。単純には比較できないが、前述
の日本の基準年と現在の排出量の差が9400万トンだから、ドイツと同じよ
うに自然エネルギーで二酸化炭素が削減できたと仮定すると、その多くが自然
エネルギーで達成できたことになるし、増加分は0.8%にとどまったという
言い方も出来る。

もちろん省エネルギーも重要な両輪であり、あらゆる手だてを尽くして地球温
暖化防止に立ち向かう必要がある。日本では今秋から新エネ利用特措法の
2014年の目標値を議論する審議が開始され、来年は京都議定書目標達成計
画の見直しの年である。議定書の公約だけではなく、これから中長期の日本の
温暖化防止政策の礎となる年にしなくてはならない。

ゴアの書籍の副題は「地球温暖化による惑星の緊急事態とわたしたちにできる
こと」である。映画の最後には政策的取り組みで社会を変える必要性と、一人
一人にできることが紹介される。より多くの人に、不都合な真実を直視し、日
本にもできることが沢山あることに気づいていただきたい。

See the Truth:
http://www.climatecrisis.net/
(英語のHP。資料など豊富。予告編のダウンロードもあり)
http://www.futsugou.jp/
(日本語のHP。字幕付予告編をみることができる)

                      大林ミカ(ISEP副所長)


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