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4.「お笑い原子力ムラ敦賀」(12)
                   日野行介(毎日新聞大阪社会部記者)

 まずは長期にわたり休載をしてしまい、読者の方々、そしてSEENの編集
の皆様にご迷惑をかけたことをお詫び申し上げます。今年4月以降、本業が急
に忙しくなり、まとまって執筆する時間が取れなくなったこと、そして敦賀か
ら離れて1年以上が経ち、ネタが少なくなってきたのが理由です。いずれにせ
よ、私自身の勝手な都合であり、重ねてお詫びいたします。

 さて終戦の日の8月15日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に批判的なコメ
ントを繰り返していた加藤紘一衆議院議員の実家が放火によって全焼した。こ
の文章を書いている段階で理由ははっきりしないが、実家付近で腹を切って倒
れていた男性が右翼団体に所属していたことから、火災が加藤代議士の言動に
対する「テロ」だったことが想起され、問題は今後も尾を引きそうだ。

 私もこの連載に対して、政治団体と思われる団体名を名乗る男性から複数回
にわたり勤務先に質問状が送りつけられた。会社の了承を取って連載している
ことや報酬を受け取っていないことを上司が返答したが、どうやら納得してい
ただけなかったらしい。そもそも筆者の勤務先に一方的に質問状を送りつけ、
「誠意ある回答」を求めるような卑怯な手法に憤りを覚える。何が目的なのか
理解に苦しむ。

 昨今、HP上で政治的発言を明らかにすると、中傷としか思えないような批
判が集中して書き込まれ、やむなくHPを閉鎖するケースも多いと聞く。こう
した状況を「炎上」と言い、こうした書き込みを繰り返す人々を「ネット右翼」
などとも言うらしいが、こうした中傷を恐れて「口をつぐむ」傾向が強まると
したら、社会全体が暗くなっていると言うほかない。

 これまでにも何度か書いたことだが、原子力は「靖国」と同様、どのように
発言しても批判を受けやすく、タブー視されがちな分野である。そんな原発の
集まる地域で原発反対運動をする人々は、他の住民から白眼視され、経済的に
も圧迫されてさぞ大変であろうと、虐げられながら闘っているのではないかと
思われがちだ。

 確かにそんな面はある。40年に及ぶ原発反対運動の歴史を聞くと、さまざ
まな嫌がらせを受けたり、商売上の不利益を受けたなどという話には事欠かな
い。だが原発立地から40年が経ち、反対運動を取り巻く環境も変化している。

 まず反対運動を担う人々が高齢化した。「原発銀座」とよばれる福井県の若狭
湾岸地域でも運動の中核は60~70代で、運動に加わる若者もいない。そも
そも若者は、原発を取り巻く閉鎖的な社会に辟易としてか、職を求めて次々と
都会に出て行く。地元には人気ある進学先もないため、社会全体の高学歴化が
若者の流出に拍車をかけている。

 そして、何度も書いたことだが人口流出も手伝い、地元経済は原発産業への
依存を強めている。地元の雇用は定検の下請け作業員と原発マネーでハコモノ
を作る建設業界に次第に集中していく。経済的な依存が強まれば強まるほど、
反対運動も先細りが避けられなくなるのは自然の流れだろう。

 では、地元の大半を占めるいわゆる「原発推進派」は「反対運動」が弱体化
したことを本心で喜んでいるのだろうか。

 現在は埋め立てなどの基礎工事が続く日本原電の敦賀原発3、4号機の増設
工事。この着工までの経緯を振り返ると奇妙なことに気付く。

 建設工事に伴う特需を当て込み、喉の渇きに喘ぐ人が水を求めるかのように
早期着工を求める地元の経済界。一方、製造業の国外移転に伴う電力需要の長
期低迷を受けて、電力会社は何度も計画を先送りし、着工予定時期を書き換え
た。将来への不安から腰が引けているようにすら見えた。

 40年前の原発黎明期、電力会社は巨額の工作資金を地元に投下し、反対が
強い地元住民を切り崩して建設までこぎつけた。カネを使い、地元にへりくだ
って建設をお願いしていたのだ。今も形のうえでは電力会社が地元に対して建
設を「お願い」する構図だが、3、4号機増設計画の経緯を見る限り実態は完
全に逆転している。

 そんな変化を知る地元の建設会社の幹部はこう打ち明けた。「本当は6対4
でわずかに推進派が多いくらいが丁度いい。もう少し反対派が強くないと、原
電(電力会社)が我々(推進派)のことを大事にしてくれない」。


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